報告-17の月、8日、2枚目
作者の技術は追いつけませんでした・・・
「なん・・・なんだ・・・これ」
王城に忍び込む形となった六人と、平民の代表としてクーデターを起こした『金の亡者団』の者たちは、目の前で繰り返される惨劇を、ただ見守るしかなかった。
西の国の王城、その大広間は扉から玉座に向かって半分ほどから先に進めなくなっていた。
本来ならば、豪華絢爛な大広間に、大勢の貴族が集まり、最高級の食材によって贅沢な食事が用意されたパーティーが行われているはずであった。
しかし、明かりが消え、しっちゃかめっちゃかに壊された椅子やテーブルが見える。
そして部屋の半分には強固な魔力の結界が張り巡らされているようだ。
中には西の国王とその息子の王子が小競り合いをした挙句、剣と魔術により互いをに命を奪っているのだ。
血しぶきが飛び、目の光が失われていくその様は、幻想とは思えない。
しかし、二人が目を閉じた後、結界内が眩しい光に包まれると、また二人の小競り合いが始まるのだ。
時間にして五分程度だろう、三回目が始まるときに何とか止められないかと、コッヘルは結界を叩いた。
軽く叩いた瞬間、結界が薄い魔石に変わり、細かく砕け散った。
その先には、息絶えた国王と王子、巻き込まれたであろう貴族数名の亡骸が横たわっていた。
「なん・・・なんだ・・・これ」
ゴッセは呆然と肉親の変わり果てた姿を見つめる。
「君たちが次の王位を望むものかしら?」
玉座の上に輝くシャンデリアに座るドレスの女性から声が落ちて来る。
扇子に寄って顔の全容は見えないが、なぜか一目見れば誰もが目を奪われるような美しさがあると予想できるのだ。
その口元から零れ落ちる言葉はゴッセたちには機嫌よく、けれど、少し低く感じるものであり、平民たちにとっては媚薬であった。
取り乱し始めた男たちを、ゴッセは歌の魔術で落ち着かせようとし、アドソンは回し蹴りで意識を奪う。
同時刻にスタンツェは騎士の姿をした使い魔を30体召喚し女を取り囲む、エレバは女を土の絵画の魔術で捕縛を試みる。
ラスパとコッヘルは壁際に下がり、全体の把握を試みる。
コッヘルの歌の魔術により、他の五人の攻撃力を増加させ、物理防御力を上げる。
スタンツェの使い魔のうち五名が、アドソンから平民を受け取り、ラスパの元に届けている。
捕縛された女は床に縛り付けられているが、笑顔を絶やさない。
「次の玉座は王?王子?私の寵愛を受けいれれば、この国の王になれるわ。魅力的でしょ?」
離れているのに耳から脳に届くような甘い囁き声がする。
ふらりと体を傾かせたのは誰なのか、ゴッセには見えなかったが、全力を持って攻撃を仕掛ける。
「この国にもう王はいらないんだよっ」
風の攻撃を女は顔を横に振るだけで無効にする。
笑みを絶やさない女は、心底不思議そうな顔で、ゴッセに繰り返す。
「貴方はいらないの?皆欲しがるのに、私のために働けば一国の王になれるのよ?」
消費魔力以上の負荷がかかり、ゴッセの体が傾く。
この時点で、室内の空気中に何かがしこまれていると、意識のある人間は気づくのだった。
「ねぇ、他の人は私を欲しいんじゃ・・・」
ゴッセから視線を動かそうとした女の首が、突如胴体から離れる。
驚く六人の前にペアンが現れ、にらみつける。
「・・・何をしている。この者は絵画の魔物ではない。この国の長たちはこの妖精に踊らされて死んだ。これから国のかじ取りを始めるのであろう?人間どもの争いなど、今すぐ落ち着かせろ」
「あっ・・・あぁ・・・分かった。すまない」
ゴッセはやっとの思いで言葉を発する。
「ふん。サクラはこういうときには『謝罪ではなく感謝を』延べよというだろう。お前たちが戻ってくるまでに、彼女は多くの課題をこなしているぞ」
「・・・なるほど。魔物殿、ありがとうございます。サクラさんにはもう少しお待ち頂いてください。必ずや落ち着かせて戻ります」
「少しだけなら時間をやろう。ただ、サクラが我慢できなくなれば、ここに乗り込んでくるとだけは助言しておいてやる」
「あいつなら数日後に第一線で指揮を執っているだろうな」
「サクラって、やっぱおもしれーな」
「東の国王夫妻がお許しにならないのでは・・・」
「たぶんサクラちゃんなら、自力であの二人に気に入られて、城を出そうだねー」
「父上も母上も、そこまで自由にはさせないと思いますが、サクラさんは自力で脱出しそうです」
「んじゃ、まー、俺らの指揮官を早めに迎えにいきますかねー」
ペアンは少しだけ口角があがり、満足そうに頷いて消えていった。
なお、ペアンがサクラの元を離れられたのは、完全に周囲から遮断した空間魔術の中で、サクラが昼寝をしているからだそうだ。
全員の心の中に、サクラを幽閉しているのはペアンだと確信が生まれた。
首が取れて灰になった女の正体をペアンに聞けなかったため、慌てて呼び出したウィスカーにより、『色情の妖精』だと説明を受ける。
絵画の魔物は恐らく数代前の国王の頃、何らかの理由で妖精と入れ替わっているそうだ。
国政が乱れだしたのが二代前、ゴッセの祖父の時代であるので、そのころから王族を裏で操っていた可能性がある。
「あぁ、だから、あのクソ親父は娘にも手を出そうとしやがったのか」
「見境なく自分のものにしたかったんだろうねー。親子そろって」
「え・・・」
ゴッセがさらりと爆弾発言をしたことに、コッヘルが目を見開き、見つめる。
「ゴッセ―、口調が崩れてるぞー」
「あー・・・まぁ、落ち着いたら話すが、こっちにも色々あったんだ。だから、親が死んだって悲しみはないから、早いところ落ち着かせて、サクラを迎えに行こう」
カラカラと笑ってツッコミをいれるアドソンに、はたと気づいたゴッセが説明にならない説明を加える。
「・・・そうですね。僕たちはまだ互いのことを知らなすぎるようだ」
「まぁ、東の国の事情は今回の騒動で嫌でも目に付くだろうさ。俺達三人は国の改革を推し進めたい理由があることだけは知っておいてくれ」
「あと、ペアンとウィスカーもいるし、俺達もサクラを気に入っているから、裏切らないってのも覚えておいてー」
小さく頷いたコッヘルに、スタンツェとアドソンがそれぞれの立場で補足を加える。
眉を顰めて聞いていたエレバに対して、ラスパが朗らかに話しかける。
「エレバー、信じてみても良いんじゃない?少なくともサクラちゃんはコッヘルを大切にしてくれてるよー?ね?」
「そうですね。それだけでも昔に比べれば、良い環境です」
「うん。もっといい環境にしていこう」
「ラスパに指摘されたくはないです」
「そっかー」
ニコニコと笑うラスパに毒気を抜かれたエレバは、少しだけ唇を尖らせる。
コッヘルはその様子を見て、小さく二回手を叩く。
「・・・さて、皆さん、話がまとまったところで、どうこの騒動を纏めますか。そろそろ相手方が起きるころです」
六人は予定と大幅に変わっていく現状のつじつまを合わせる作戦会議を始める。
バトルシーンが描けない・・・
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
記念すべき100話なのに、グダグダ展開でした。
連日23時アップ予定に向けて、精進します。
連投し始めたころよりも一日平均のPV数が増えていて、励まされると共に、背筋が伸びる気持ちになります。
良いね、ブクマなど、かなり励みになっております。
ずっと読んでくださっている皆様へ日頃の感謝を。
最近読み始めてくださった皆様へ出会いの感謝を。
これからも宜しくお願いいたします。




