権力/関心グリッド(Power/Interest Grid)〜味方と敵の配置図〜
「また業務部長からのちゃぶ台返しか……」
プロジェクトが軌道に乗りかけた矢先、他部署の強力な部長が会議で急な仕様変更を要求し、現場がパニックに陥った。彼はプロジェクトの担当役員ではないが、社内での発言力が絶大だ。
「どうしてあの人はあんなに横槍を入れてくるんだ?」
参った新は、ノートに大きな十字のグラフを描いた。ステークホルダー(関係者)を分類する手法だ。
【PMP試験の重要知識:権力/関心グリッド(Power/Interest Grid)】
ステークホルダーの「権力(影響力)」と「関心(興味の強さ)」の2軸で4つの領域に分類し、対応戦略を変えるツール。
1. 権力高・関心高: 【密接に管理 (Manage Closely)】 最優先で関与させ、期待値を管理する(例:プロジェクトスポンサー、鍵となる役員)。
2. 権力高・関心低: 【満足させておく (Keep Satisfied)】 要求を満たし、味方にしておくが、過剰な情報で不快にさせない。
3. 権力低・関心高: 【常に情報を伝える (Keep Informed)】 進捗報告などを定期的に行い、安心させる(例:現場の利用ユーザー、影響を受ける他部署)。
4. 権力低・関心低: 【監視のみ (Monitor)】 最小限の労力で状況を監視する。
試験での出題ポイント: 全員に同じ対応をするのは間違い。相手の権力と関心の度合いに応じて、コミュニケーションの頻度と密度を変えるのが正解。
新は付箋に業務部長の名前を書き、グラフの右上に貼った。
「権力:高、関心:高……完全に『密接に管理』の枠だ。今まで煙たがって報告を避けていたから、不安になって横槍を入れてきたんだ」
原因が分かれば対策が打てる。新は翌朝から、部長のもとへ毎朝「1分間の立ち話報告」に行くようにした。
「部長、本日の進捗です。懸念されていたリスクは事前に抑え込みました」
関心が高いからこそ、先回りして情報を渡す。二週間後、部長の態度は激変し、横槍を入れる「敵」から、予算交渉を助けてくれる強烈な「味方」へと変わっていた。
新はノートの四分率の図を見つめ、「人は分類して戦略的に付き合えば、必ず味方にできる」と確信した。




