未来のモヤと物理法則〜コーン・オブ・アンサーティンティ〜
「新さん! 役員会議で『新システムの最終的な開発コストを1円単位まで今すぐ確定させろ』と詰められました!」
汗だくで戻ってきた陸が悲鳴を上げる。プロジェクトはまだ構想段階(超初期)だ。
新はフッと鼻で笑い、ホワイトボードに大きくメガホン(円錐)のような図を描いた。
「陸、慌てるな。初期段階で正確な見積もりが出せるわけがない。それは君の能力不足ではなく、プロジェクト管理の物理法則……『コーン・オブ・アンサーティンティ(不確実性の円錐)』のせいだ」
【PMP試験の重要知識:コーン・オブ・アンサーティンティ(Cone of Uncertainty)】
概要: プロジェクトの初期段階では不確実性が最も高く、プロジェクトが進む(情報が増える)につれて見積もりのブレ幅が小さくなり、円錐のように収束していくという法則。
見積もりの精度(幅)の推移:
構想・初期段階: 実際のコストや期間に対して 0.25倍 〜 4倍(−75% 〜 +300%) という極めて大きなブレ幅が存在する。
要件定義・設計段階: ブレ幅が徐々に狭まる。
プロジェクト終盤: 最終的にブレ幅は「1.0(誤差なし)」に収束する。
試験での出題ポイント: プロジェクト初期段階での精度向上には、詳細な情報が得られるまで段階的に見積もりを更新していく「ローリング・ウェーブ・プランニング(段階的詳細化)」が必要となる。
「いいか陸、プロジェクトの初期段階での見積もりは『4倍〜0.25倍』の誤差があって当然なんだ。今1,000万円と答えても、実際は2,500万円になることもあれば250万円で済むこともある」
新はホワイトボードの円錐の先(プロジェクト後半)を指さした。
「要件が固まり、設計が進むにつれてコーンの幅は狭まり、精度は1.0に近づく。役員にはこう伝えるんだ。『不確実性の円錐に基づき、現時点では概算(ROM見積もり)でお答えします。要件定義が完了する来月に、より精度の高い見積もりに更新します』とな」
正当な理論で武装した陸は、胸を張って役員室へと引き返していった。




