数字は残酷に嘘をつかない〜EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)〜
「進捗率は80%! 予算もまだ半分残っていて絶好調です!」
進捗会議で胸を張る陸に、新は渋い顔で電卓を取り出した。
「陸、プロジェクトの健康状態は『感』や『パーセンテージの自己申告』で測っちゃいけない。PMPの世界的標準、『EVM』の指標を計算するぞ」
【PMP試験の重要知識:EVM(Earned Value Management)】
概要: スケジュールとコストの進捗状況を、すべて「金額」に換算して客観的に測定・評価する手法。
3つの基本値:
PV(Planned Value:計画値): 計画段階で「現時点で完了しているはずの作業の予算」。
EV(Earned Value:出来高): 実際に「完了した作業の予算価値」。
AC(Actual Cost:実コスト): 完了した作業のために「実際に使った費用」。
効率指数の評価(1.0が基準):
CPI(コスト効率指数) = EV ÷ AC
1.0より大きい:予算内で順調(黒字)
1.0未満:予算オーバー(赤字)
SPI(スケジュール効率指数) = EV ÷ PV
1.0より大きい:予定より前倒し(前倒し)
1.0未満:予定より遅れている(遅延)
「よし、数字を入れはめるぞ」新がキーを叩く。
「現在までの計画予算 PV は 100 万円。だが実際に終わった作業の価値 EV は 50 万円分だ。そして、その作業にかかった費用 AC は 100 万円だ」
陸が数字を直視して青ざめる。
「計算すると……SPI(進捗)は 0.5、CPIは 0.5……!」
「そうだ。言葉を選ばずに言えば『予定の半分しか進んでいないのに、お金は計画通り全額使い切った』ということだ。1.0 未満は危険信号。進捗率80%というのは、未完成の作業を都合よくカウントしていただけの幻だったんだ」
数字という客観的な鏡を突きつけられ、チームは浮かれた勘違いから目を覚まし、本当の挽回計画へと動き出した。




