金の口出しと金の責任〜プロジェクト・スポンサー〜
「高橋君、追加の予算が必要だって? 頼むからこれ以上、経営陣を刺激しないでくれよ」
プロジェクトマネージャーである新の前に立ちはだかるのは、事業部長であり本プロジェクトの**スポンサー(Sponsor)**でもある大野だ。システム開発の予期せぬトラブルにより、追加予算の確保が必要になっていた。
新はノートを開き、「スポンサー」の定義を書き下す。
【PMP試験の重要知識:プロジェクト・スポンサー(Project Sponsor)】
概要: プロジェクトに資金や金銭的リソースを提供し、成功に対して最終的な責任を負う個人またはグループ。
主な役割・責任:
事業価値の承認と維持: プロジェクトが組織の戦略目標に合致しているかを保証する。
憲章(Project Charter)の承認: PMを正式に任命し、権限を与える。
エスカレーションの受け皿: PMの権限を超える問題(巨額の追加予算、法的リスク、重大な仕様変更など)の最終意思決定を行う。
外部からの防護壁: 経営陣や政治的な圧力からプロジェクトやPMを守る。
試験での出題ポイント: 「予算の追加・削減」「プロジェクトの継続・中止」「憲章の変更」の権限を持つのはPMではなくスポンサー。PMは課題を分析した上でスポンサーに判断を仰ぐ(エスカレーションする)。
新はただ「お金をください」と頼むのをやめた。PMPの教えに従い、追加投資によって得られる「ビジネス価値」とリスク分析をまとめた提案書を作成した。
「大野部長、追加予算を投入すれば、リリース後の顧客離脱を20%防げます。これは初期のビジネスケースに合致する投資です」
大野部長は目を細め、提案書にサインした。「分かった。役員会には俺から話を通す。君は現場に集中しろ」
スポンサーとは、単なる「うるさい出資者」ではない。プロジェクトという船の「オーナー」なのだと新は理解した。




