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俺をNTR系チャラ男と勘違いして上官口調の僕っ子生徒会長があからさまに口止め料のキスを毎日してきて困る。しかも月日と共に愛が重い通い妻化してメチャ可愛い  作者: 神達 万丞
第三話『その加減知らない馬鹿みたいなお人好し、僕は君を昔から知っている気がする…』とても不器用ないいやつ→友達
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37「キス二十五回目、伊豆半島は複合巨大アミューズメントパーク」そのニ


 ——俺達は身支度を整え、早速レンタカーで東伊豆を南下する。

 湾岸道路なのでとても静かだ。

 取り敢えず、伊豆半島半周を目指すことにする。

 

 その理由は……


「今から河津七滝ループ橋にいくぞ!」

「だから何でぐるぐる回る為にわざわざそっちにいくんだ?」

「愚か者! その先にある浄蓮の滝や河津七滝に立ち寄りたいからに決まっている」

「海岸沿いの方が綺麗だろ?」

「ほほう、さては神無月は高い所苦手なのでは?」

「失敬だな乙環さん、こっちとら高層マンションの最上階に居を構えているんだぜ」


 このようにお互いの行きたいところが真っ向から割れたからだ。 

 乙環さんとこんなに論議するのも久しぶりな気がする。

 なので走っていればどこかの観光地に着くから悪い選択ではない。


「なら問題ないな。山だ、山」

「いやいや遊覧船に乗ろうぜ。もしくは動物園か植物園」

「そんなものは何処にでもある。僕はここにしかない物にこだわりたい」

「俺は峠とか廃墟とか静かすぎるところが苦手なんだよ。心霊現象がありそうで怖い」


 一人でツーリングしていたとき、群馬から新潟へ抜ける三国峠が過酷で静かすぎてめちゃ恐怖だった思い出。

 もう行かない。


 伊豆半島の観光はコース的に三つへ別れている。


 ・熱海から続く旅館と遊ぶところだらけ東伊豆湾岸コース。


 ・南伊豆から沼津まで続く西伊豆ジオパーク堪能コース。

 

 ・そして河津から伊豆中心地へ抜ける山岳越えコース。


 確かに見所も無数あって美しいらしいが、人通り少なくて俺には耐えられそうもない。

 だったら観光客が一杯いるところの方がゆっくり情景を楽しめるし落ち着く。


「硬派のくせに臆病だな。僕みたいなつまらない女と二人っきりはそんなに退屈か?」

「あのなぁ……その、楽しいぜ。移動しながらお喋りできる観光も中々乙だ」

「ふふ、そうかそうか。僕も神無月と共にいるから知らない土地だが安心して構えてられるんだ」

「言葉が詰まるから揶揄うなよ」

 

 乙環さんはすまんすまんと笑いながら窓からの風景を楽しんでいる。

 風で揺れる黒髪のポニーテールは風速を図る吹き流しみたいに踊っていた。


「でも、そろそろ何処に行くか真面目に決めないとな」

「山越えじゃ観光スポットが距離があって制限時間まであまり回れないぜ」

「制限時間?」

「いいか乙環さん、有名観光の鉄則は朝九時から夕方十八時の間にどれだけ効率よく回れるかなんだ」

「何故だ?」

「こういう所はほぼ、暗くなる前に店じまいするんだよ。残すは温泉街の酒場か、全国どこにでもあるコンビニとか有名チェーン店しか稼働してない。何が悲しくて有名観光地へ足を運んでファミレスや外食ハンバーガーやフライドチキン食べなければならないんだ?」

「海鮮丼屋とかやってないのか?」

「そういうのは高級だし、居酒屋も兼任しているから男子高生には敷居が高いんだよ」


 急勾配になったので二速へ落とす。

 音は多少うるさいがスムーズに登れた。

 それでなくても大きな道がここしかないから、一車線なので後続がすぐできる。

 こんな断崖絶壁で煽られたくはないものだ。


 借りたのがアウトドアというより、近所に買い物するのが似合っている軽自動車だから馬力はあまりない。

 観光地の場合本来なら4WDの大型車両がいいのだが、レンタカーの店主にNTRチャラ男ぽいからバンが似合うと暴言吐かれたから、意地はって小さいのにした。

 あんなしょうもないジョークに踊らされるなんて俺もまだまだ子供だな。 

 

「君の飲み物なくなったんだな?」

「販売機探す面倒だな」

「僕の飲むか?」

「くれ」


 差し出された乙環さんのお茶を遠慮なく飲む。

 前はあんなに嫌がっていたのに、今ではなんの抵抗もなく受け入れられる。

 慣れは恐ろしいものだ。


「あ、これはもうキスにカウントしないからな。二人きりだから間接キスはご法度ということで」

「もういいだろ?」

「嫌だ。反論は認めない」

「横暴だ。裁判長、俺は控訴する」

「神無月君の訴えを棄却します」

「なんの俺は最期まで戦うぜ」


 などと他愛ない話で盛り上がる。

 俺はプライベートはソロ旅しか経験ないから、隣に話す相手いるのも良いもんだな。

 ましてや、同じ喫茶店を愛する同志。幾らでも話題が尽きないので会話が弾んだ。

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