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俺をNTR系チャラ男と勘違いして上官口調の僕っ子生徒会長があからさまに口止め料のキスを毎日してきて困る。しかも月日と共に愛が重い通い妻化してメチャ可愛い  作者: 神達 万丞
第二話『分からなくなってきた、君は何でそんなに優しくするの?』警戒対象→とても不器用ないいやつ
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17「キス十二回目。会長のキモチ」


☆★


 七月二十七日


 取り引き十二回目。


『雪ちゃん雪ちゃん、竜石堂ちゃん達海水浴だってさ。いいなー。ばあちゃんのしゃがれ声聞きながらせんべい食べるのももう飽きた。そろそろピチピチした声を聞きたい。巨乳揉みたい』

『煩悩まみれのその話聞き飽きたわ』


 スマホで親友の流星からくだらない愚痴を聞きながら、今日はバイクに乗り湾岸沿いを攻めていた。

 メットのインカム通話はツーリングの時便利だな。


 磯の香りを含んだ浜風、リゾート感を演出しているヤシの木、ギンギンに滾っている太陽の陽射し、道路に映し出される逃げ水。

 そんな夏限定版の醍醐味を満喫する。


 人間の本能なんだろうか、無性に海を脳裏に焼き付けたい時がある。

 本能かどうかは知らんけど、どこまでも続く海岸を走行していると俺の憂いが実にちっぽけだと強く認識する。


 だからたまたまお竜から聞いたからと、プロポーション抜群のバスケ部メンバーによる水着パラダイスをお目にかかろうなんて邪な心は一切ない。

 ニ時間ぐらいウロウロしたがない。

 そんな心の葛藤に打ち勝った帰り道。

 信号待ちしていると夕刻に想定外の人物が、浜辺の道路側にあるベンチで呆けていた。


「おいおい鹿伏兎会長? たまげたぞ、妙なところで会う。どんな確率だよ」

「神無月こそ海に死体でも捨てに来たか?」


 可愛らしい笑みを浮かべる。


「誰がそんな物騒なことするかよ!」

「しかもとうとうバイクの窃盗までやったか。今からでも遅くはない、大人しく自首しよう」

「違うわい。これは俺のバイクだ」

「だとしても無免許運転は御法度だ。ちゃんと免許を取らないと駄目だぞ」

「持っているからな。それでなくても人相で損しているんだぞ。そんな馬鹿な真似はしねえ」

「確かに説得力ある」


 嫌な予感がした俺は放っておけないので、流星との通話を切りバイクを止めて会長の隣へ腰掛ける。


「どうしてこんなところで会長は絵画の一部みたくフリーズしていたんだ?」

「彼方に頼まれてゲームショーに付き合ったんだ。買い物頼まれたけど分からないから、彼方に財布預けたら一向に帰ってこないんだ」


 手に持っているのはその激闘を勝ち抜いた戦利品というわけか……。 


「長野? あいつなら友達と東京で遊んでいるって流星が言っていた」

「ああ。暫くしたらメールがきて一人で帰ってだってさ。でも帰りのお金ないから 頭の思考が止まってしまった」


 長野よ、何処までお前はクズなんだ?


「幾らなんでも酷すぎないか?」 

「僕なら苦境を打開すると信頼しているんだろ?」

「その大量の買い物を抱えてか?」

「確かに出来る事と出来ない事があるな。もう少しでトラックの運転手さんにヒッチハイクして強姦されるところだった」

 

 トラックの運ちゃんに謝れ。

 大体、長野はおかしい。

 普通大切なものだったら絶対に他人には預けないだろ? 

 あいつの思考がイマイチ読めない。


「それにしても会長は口がよく回る。ピンチなのに余裕さえ感じ取れる」

「それは買い被りだ。弁舌に長けているのは生徒会長の必須スキルに過ぎない。内心は心臓バクバクだった」


 会長やってるだけあって社交的で弁舌に長けている。

 基本どんなやつでもマイペースに自分の意見もぶつける。

 なので俺のことを本当に嫌ってるのかどうか分からなくなることがある。

 基本的に事務的。

 そこへ感情は一切ない、だから真意はどこにあるのかわからなくなる。

 長野のことを守りたいのはわかる。

 でも慌て者と言うか、キスのことといい、使わなくてもいい気遣いをして逆に空回りしてるのは会長らしいといえば会長らしい。


「よかったら乗って行くか?」

「君の力を借りたくない」

「でも歩きで帰れる距離じゃないぞ」

「何とかする」

「無茶をいうな」

「別に意固地になってるわけじゃない。契約のこともある。君とは対等な関係でありたい。また君に弱みを握られたら今度こそ逃げ道がなくなってしまう」

「考えすぎだ。俺はただ単に困ってる人間を見捨てておけないだけ。ウダウダ言ってないで乗ってけ」

「あいわかった。仕方ない、お言葉に甘えよう」


 こうしてバイクで送ることになる。

 偶然とは重なるものだな。

 サイドカーに会長が乗るとハンプキャップのヘルメットを渡す。


 走ってる途中、「君は悪なのか、それ善なのか。毎日顔を突き合わせているのに答えには中々辿り着けない。噂と本物が合致しないんだ。澄んで綺麗な瞳の持ち主が乱暴狼藉を働く不届き者とは考えにくい」と俺へ質問しているらしいが、高速に乗っているので風圧が邪魔して聞き取れなかった。


「会長すまない何言ってるか聞こえない。もう一度話してくれ!」

「ホテルに連れ込まれて神無月に玩具のように扱われるかハラハラしていた!」

「ばっ! 馬鹿野郎そんなことするかよ!」


 そんな感じで休憩を挟みながら地元まで戻った。


 気がつけばもう夜だ。

 辺りが薄暗い。 

 近くの住宅街でバイクを止める。


「会長ここでいいのか?」

「ああ。助かったよ」

「会長は美人だが夜道気をつけろよ」

「分かってる」


 本当だったら家まで送ってあげたいんだが、噂になったら大変なんでここがボーダーラインだった。


「そういえば今日の分まだだったな」

「そうだね。明日に持ち越して延長戦になるのは嫌だからやってしまおうか」

「どこか見えないとこに——」 

「面倒だからここでいい」

 

 生徒会長は俺にキス。お礼もかねてと額にしてくれた。

  ゼロ距離で目があったのでドギマギ。

 何度俺の心臓を鷲掴みにすれば気が済むんだこの会長は……。


「………………」

「神無月また明日……」

「ああ、また明日な」

「ちなみに竜石堂に神無月へニセ情報のリークを頼んだのは僕だ。あのムッツリのことだから絶対にくると読んでいた。来てくれてありがとう」


 ハメられた……。じゃあ水着パラダイスもデタラメか。お竜め覚えてろよ。

 大体、そんな姑息な手を使わなくても俺は行くけどな。

 それだけ信用してないということか。


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