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俺をNTR系チャラ男と勘違いして上官口調の僕っ子生徒会長があからさまに口止め料のキスを毎日してきて困る。しかも月日と共に愛が重い通い妻化してメチャ可愛い  作者: 神達 万丞
第二話『分からなくなってきた、君は何でそんなに優しくするの?』警戒対象→とても不器用ないいやつ
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15「キス十回目 本当に嫌っているのなら何回も続けて雪ちゃんの所に来ないよ」


★☆


 七月二十五日


「会長、また生徒会手伝えなくてごめんな。マスター厳しいから他のバイトがすぐ辞めていくんだ」

「構わないよ。元々ほとんど僕一人でこなしていたから、君がいようがいまいが大差ない。それどころか、密室に二人っきりだ、いつ孕まされるかハラハラしながら仕事するより気楽だ。まだシングルマザーになる覚悟は出来てないからな」

「俺はそんな鬼畜じゃねぇ。ちゃんと責任とるわ。というか手は出さんけどな。ごほん……お客様お待たせしました、ブレンドのおかわりとリンゴのタルトです」

「〜〜♪」


 今日も喫茶店のバイトだ。

 ピークだった時間帯過ぎて夕方なのでだいぶ客足が落ち着いてきている。

 今も二人のみ。

 珈琲ガチ勢と暇つぶし客だ。


 その珈琲好きはおかわりブレンドを堪能しながら今日三皿目のタルトを頬張っている。

 長い黒髪にメガネ。

 服装は定番の帽子&ダボダボシャツ&デニムパンツ。

 

 鹿伏兎会長が再度来訪していた。

 お客さんの為に腕を振るっているマスターへ失礼だから今度は自分で支払うと宣言。

 

 昨日俺が薦めた同じ物を頼む。

 余程美味かったとみえる。

 タルトをお代りして、更にリンゴのシロップ煮とアップルパイにも挑戦。

 幸せそうにくー! と可愛い声を上げた。


 会長は女の子というより、甘いものに目がないのではなかろうか? 

 また俺は堅物生徒会長たる鹿伏兎乙環の新しい一面を発見。

 あの食いっぷり、もしかして俺は開けてはいけないパンドラの箱を開放してしまったかもしれない。


 そんな会長との取引はついに十回目を迎える。

 さりとて記念に何かするわけでもない。やることは普段通り。

 先程、休憩室でキスをしてもらう。今回は脇の下なので中々背徳的。

 よくもまあこんな難易度の高い場所をチョイスした。

 入念にスプレーしておいて正解。

 ただ今回は間違ったのか、一回じゃなくて数回唇が触れたせいで興奮した。

 無論心臓がバクバクしたのは誰にも告げず墓場まで持っていく所存。


 会長はそしてそのまま席へ戻り何事もなかったように、スイーツ三皿目を平気で食らい今に至る。


 今日は談笑する雰囲気でもなかったので、優雅な一時を過ごしてほしい当店の基本理念に基づき、会長へ気を使い必要なとき以外声をかけることはなかった。


 それに今日はもう一人の客がいるのも関係している。

 俺の知り合いというかマブダチ。


「雪ちゃん、鹿伏兎会長と上手くやっているみたいだね。不良の天敵たる氷の女帝相手によくやる」

「たまたまここのメニューが好みだっただけだろ。あとおれは不良じゃねぇからな。大体坊主の仕事サボっている流星がいっちょ前なこと言うなや」

「時間調整だよ。実入りのいい葬式の依頼がこのあとあるからな。年齢詐称しているから誰にも言うなよ」

「なら口止め料よこせ、この詐欺師」 


 ——と銀髪を隠す坊主のカツラを取り出す。ワルだ……。


 そんなこいつの頼んだものは珈琲とあんみつ。

 会長がブラック派に対してこの破戒坊主は多量の砂糖・ミルク派、珈琲豆本来の味をぶち壊す冒涜した飲み方をしている。

 珈琲生産者に謝れと言いたい。

 ここに来ないで銭湯でコーヒー牛乳でも飲んだほうが効率的だろうに……。


「生徒会で毎日一緒にいればゆきちゃんでもさすがに情が移ったんじゃないの? 美人と二人っきり羨ましいなぁ」

「それはないな。俺のことを不良だの何度も言ってるやつに興味がない。大体俺のことを拒絶してるから仲が進展することはないだろ」

「雪ちゃん自身は会長のことどう思ってるの?」

「融通が効かない頑固者、人の話に耳を傾けない、余計なことには知恵が回る。俺にとってただの疫病神だ」


 幸い会長は入り口前のカウンター席、流星は一番奥のテーブル席なので俺達の会話が聞こえることはない。

 なので遠慮なく本音で語っていた。


「最低評価だね。会長が可哀想」

「学園最大の厄災と喧伝されているのだ、秩序を守る側として警戒しているのは理解する。しかしもう少し心を開いてくれると色々とやりやすいんだけどな」

 

 ちなみに流星は会長の厄介事に巻き込まれているとしか認識しておらず、俺達がキスする関係だということは伝えてない。

 このエロ坊主にバレたら血の涙を流すだろう。


「難しい問題だ。でも雪ちゃんのことだからあの長野ちゃんのこと何とかしようとしているでしょ?」

「まあな。そうすれば何か化学反応が起きるんじゃないかと期待している」

「でも、雪ちゃんのこと嫌っているのにそこまでする理由はあるのか?」

「ないな」

「ましては生徒会は天敵じゃないか。いつ寝首をかかれるか分かったもんじゃない」

「それでも俺の考えが変わらないのは知っているだろ親友?」


 流星に坊主のヅラをかぶせてLINEを使い写メをお竜に送った。

 瞬間に爆笑スタンプが付く。


「巻き込まれたのにそれでも助けてあげたいと? 酷なことを言うようだけど、雪ちゃんには関係ないことだろ。特に男女間のことだ。第三者が入っていい領域じゃない」

「そんなことはわかってる。でもだからとしてただ見てるだけというのも苛立つというものだ。協力してくれとは頼まない。俺一人でなんとかしてみる」

「みくびるな相棒。気は進まないが、雪ちゃんが動くなら俺も協力するに決まってんだろ」

「すまん」

「いいさ、あの甘ったれイケメン、前から気に食わなかったからな。それに女の子が拒絶しているのなら幾らここの店がうまくても来ないとおもうけどな」


 後半が小声になり聞き取れなかった。


 会計時、鹿伏兎会長はまた来ると告げる。

 俺のいる時間帯を聞いてきたので教えた。

 そんなにここのケーキ美味かったのか?   

 それともスタンプカード目的かもな。



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