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『相打ちの虚無、地獄の端にて』

「……狂っているね、君は」リッパーが、初めて顔を歪めた。俺が突き出した剥き出しの『核』。そこから溢れ出す黒い毒が、あいつの純白の体をヘドロのように汚していく。設計者が絶対とする『効率』。それを俺の『命』という名の不純物が、根底から腐食させていた。「が、はっ……あ、あああああッ!!」心臓を直接握り潰されるような激痛。視界は真っ赤に染まり、設計図がバキバキと音を立てて崩壊していく。俺の存在そのものが、設計者のサーバーから物理的に引きちぎられていく感覚。だが、その苦痛以上に、俺を侵食する黒い腕が、リッパーの喉元を確実に捉えていた。「消えろ……ッ! お前も、そのふざけた世界も……全部、地獄へ道連れだ!!」黒いノイズが爆発し、屋上のすべてを飲み込んだ。光と闇が混ざり合い、物理法則が悲鳴を上げる。「……チッ、ログの汚染がひどいな。……今回はここまでだ、バグ」リッパーの苦々しい声が響く。あいつの体が霧のように霧散し、同時に俺の意識も、深い闇の底へと真っ逆さまに落ちていった。どれほどの時間が経っただろうか。冷たいコンクリートの感触で目が覚めた。空は白み始め、屋上には誰もいなかった。リッパーも、あの魔法少女も。ただ、俺の右腕の異形は消え、代わりにそこには死人のような、感情を失った灰色の痣が残っていた。「……生き、てるのか」体の中が、空っぽだった。巴先輩の鼓動も、あの激しい憎悪も、今は遠い。相打ちの代償は、俺の『心』の一部を、リッパーと共に地獄へ置き去りにしてきたことらしい。ふと見ると、俺の横に、折れた光の剣の破片が落ちていた。それはあの魔法少女が、最後に残した「バグ」の証明のように見えた。俺は力なく笑い、動かない体を引きずって、誰もいない街へと歩き出す。決着は、まだ着いていない。俺の魂が、一滴も残らなくなるまで。設計者を地獄へ引きずり下ろすまで。この『死に損ないのバグ』の歩みは、止まらない。

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