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『二つの天秤、地獄の選択』

爆風が校舎を揺らし、理科室の壁が崩落する。湊が光の中に飛び込んだとき、そこには残酷な「天秤」が用意されていた。白銀の閃光に身を焼かれ、ついに膝をついたリッパー。あいつの首筋には、白雪が命を賭して生じさせた「修復不能な亀裂」が走っている。今なら、あの漆黒の鎌でその首を撥ね、設計者の上位個体ごと完全にデリートできる。復讐の完遂まで、あと一歩。だが、その数メートル先。自爆の反動で全身から光を漏らし、透け始めた白雪が、崩れ落ちる瓦礫の下敷きになろうとしていた。【個体識別:白雪/状態:崩壊まで残り10秒】彼女を助ければ、リッパーを仕留める機会は永遠に失われる。あいつは再びバックアップから蘇り、さらに強大になって湊の前に立ちはだかるだろう。『さあ、選ぶといい、湊くん』リッパーが、亀裂の入った顔で歪に笑う。『仇を討ち、僕を殺して絶望を終わらせるか。それとも、また一人、守りきれないゴミを抱えて泥沼を這いずるか。……どっちが効率的な「救い」かな?』「……っ!!」右腕の黒い異形が、リッパーの喉元を求めて脈打つ。健太の声が「殺せ」と叫び、巴先輩の血の匂いが「終わらせろ」と背中を押す。だが、薄れゆく光の中で、白雪の瞳が最後に湊を捉えた。彼女はもう声も出ないまま、ただ「生きて」と願うように微笑んでいた。復讐という名の甘美な出口か。絶望が続くとしても、その温もりを離さない地獄か。湊の右腕が、激しく震える。設計者が、リッパーが、そして運命が、湊の決断を嘲笑うように見つめていた。「……効率だと? 選択だと……?」湊は、自らの右腕を噛み切らんばかりに食いしばり、一歩を踏み出した。その先にあるのは、復讐者の刃か、あるいは。

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