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冷遇された伯爵令嬢、公爵令息に拾われ人生逆転します  作者: もも


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11/18

11 疑ってしまいました

 あれからウイルフリード様には会っていない。離宮での勉強もお休みしている。真実を知るのが怖くて顔を合わせたくない。

お見舞いの花束とメッセージカードは毎日贈られてくる。


  ーー君が笑顔でいてくれますようにーー


   会いたい 

   

   愛を込めて    ウイルフリード



私は何と書けばいいのだろう



お花ありがとうございます。ここまでしかペンが進まない。


本当はあの日の人は誰ですか?何をして赤くなったのでしょうか?私のことはどう思っていますか?聞きたいことは沢山あるけど、聞いてしまったら終わってしまうかもしれない。

臆病すぎる。


一度見てしまった夢は中々忘れられない。
















「ローズマリーが会ってくれないから来てしまった」


ウイルフリード様が現れたのは一週間ほど経った良く晴れた初夏の日の庭園だ。


高く澄み渡った青い空には雲一つなかった。


「いつもお花をありがとうございます。カードも大切に取ってあります。返事が一行しか書けなくて申しわけございません」


そうなのだ。情けないことにお花のお礼しか書けていない。


顔を見ただけで愛しさがこみ上げてくる。でも苦しい。辛い。胸の高鳴りが抑えられない。



感情を押し殺し勇気を振り絞って聞くことにした。駄目なら仕方がない。潔く諦めよう。いつだって諦めてきたじゃない。


「ローズマリーが塞ぎ込んでいるのは私のせい?馬車で倒れる前に執務室に来たの?あの時中にいたのはただの親戚の子だよ」


「親戚の子……ですか?」


それだけ口にするとぎゅっとローズマリーは唇を噛み締めた。


ウイルフリードの指が唇の形をなぞる。


「唇を噛んではいけない。傷がつく。噛むなら私の指を」

色気が凄くてくらくらする。噛めるはずがない。指が口のなかに入って来た。

思わず吸い付いた。


「こんなこといつ覚えたの。悪い子だ」

見つめられると目が離せなくなった。


「昔から私を揶揄って遊ぶのが好きでね捻くれた性格をしているんだ。あの日も婚約の祝いを言いに来たと言いながら散々揶揄って帰って行った。もう二度と来るなと追い出したんだが、堪えてはいないだろうな」


抜かれた指が寂しい。



「仲が宜しいのですね。羨ましいです」

それだけをやっと口にできた。


今私は醜い。嫉妬で焦げ付きそうな顔をしているに違いないわ。見られないように俯いた。手が冷たくなってきた。


「仲は良くないよ。昔から苦手だった。何かと絡んでくる鬱陶しい奴だ。親戚付き合いがあるから我慢していただけだ。でももう直ぐ嫁にいく。やれやれだよ」


「嫁がれるのですか?ウイルフリード様にではない方に」


「なんで私に?あれが隣国の第三王子殿下に嫁ぐことは昔から決まっている」


「ではあの時の方は第二王女様……」


顔色が悪くなったローズマリーを抱きしめたウイルフリードは


「私が女性として見ているのはローズマリー君だけだ。私の目には君か君以外という認識しかないんだ。そんなに私が信じられないの?一刻も早く離宮に連れて帰りたい。養女に出したのは良くなかったのか。離宮全体に悪意のある者が入らない様に防御魔法を掛け直した」


ウイルフリード様は私のことを本当に好きなの?王女様の代役ではなくて。私でいいの?あの声には甘えがあったのに気づいていないのかしら。


苦しい。どうしてこんなに苦しいの。焼けるように胸が痛い。


「私を見て。この目に写るのは誰?私だよね。ローズマリーの瞳に写るのも私だけで良い。愛している」


「お慕いしています。ウイルフリード様。でも万が一他に想い人がおられるなら私のことなど捨ておいてください。恨んだりはいたしません。きっぱり身を引いてみせます」


「身を引くなんて言わないでおくれ。私が愛しているのはローズマリー君だけだよ。他に誰も愛するわけがない。

君は愛おしい女性で私の天使だ。君が寂しそうな瞳をすると私も悲しくなる。

腕の中に閉じ込めて甘やかすと言っただろう。忘れたのかい?

あれは二度と離宮に来ない様にした。いいかい、私が愛しているのはローズマリー君だけだ」



これだけ言われたのだ。いくら鈍い私でも頷かないわけにはいかなかった。


「疑ってごめんなさい。聞こえて来た言葉に嫉妬しました」


「嫉妬してくれたの?嬉しい。でも喜んではいけないね。君がこんなに傷ついたのに。私こそあれの罠にはまってしまって情けないよ。報復はきちんとしたからもう心配いらない」


仄暗い笑顔でもイケメンは素敵だ。もっと強くなりたい。いつか私が癒せるようになる日が来ると良いな。



 塞ぎ込んでいる内に第二王女様は隣国に輿入れされたようだ。

ウイルフリード様が何かされたのだろうか。

昔から決まっていたという話だからそれはないかな。

シルビア様から聞いたところでは彼の方を嫌っていたのは本当だった。

執拗に絡まれていたようだ。好意があるのが厄介だったとお聞きした。

好きでもない人に絡まれるなんて嫌だっただろうな。


なのに嫉妬をしてしまった。情けなさすぎる。


読んでいただきありがとうございます。楽しんでいただけていると嬉しいです。

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