第41話 やっべ、バレた……。
ずんずん、のしのし。
整体院への道を、メーメーを連れて意気揚々と戻る。
かなりでかいから、すれ違えば間違いなく二度見ものだけど、みんなイベントのほうに行っているせいか、整体院まで、モブの猫や犬以外、誰にも見られずに帰ることができた。いや、存在すらも定かでなかった格闘家と整体院のスタッフと、いまだ誰も倒せていない最強モンスターが仲良く歩いてるってどういう構図だよ。
「誰もいなくって、ホントに良かったですね。」
「ああ。でも、こんなにでかい図体がここの庭にいたら、遅かれ早かれ噂は広まるだろう?」
整体院に戻ると、庭にはなぜか、「メーメー」と書かれたどでかい小屋があった。メーメーをとりあえず収容し、そばにあった杭に鎖をつなぐ。ここに庭も、そんなに広いわけではないので、メーメーとその小屋は否応なしに目立つ。
「いや、そこは……アオバさん、何とかしてくれません?」
「なぜ私が!」
「アオバさんいつも、自分のことも私たちのこともバンバン透明にしてますよね?あの要領でどうにか。」
「……まったく、世話の焼ける。」
自分以外のものだけ透明に……か。まずは自分ごとメーメーを透明にして、そのあと自分を対象から外せば……。んで、メーメーは対象から外さないことに留意して……。
「よし、できた。」
「わぁ、さすがアオバさんですね!」
「いや、それほどでも。」
サクラは鍵を開け、整体院に入る。
「じゃあ、イベントとか、本当にお世話になりました!お疲れさまでした!」
「いや、こちらこそだ。」
お互い頭を下げあう。
「じゃ、私はもうログアウトしますんで!」
「おう。」
私は、それを背中で聞き、怪しまれないよう透明になって階段を上る。行先はもちろん、院長室だ。アオバの服のままだと、コユキになったときに体のある一部分がしんどいので、先にピンクの白衣を着て……。
ガチャ。
ふいにドアが開く音がした。
「……え?」
「え?」
サクラと、白衣を着た私は、しばし沈黙して向かい合う。
「……あああああああああ~!!!」
「……で?話すことはそれで全部ですか?」
「この件に関しては……。」
十数分後。
私は、コユキしか鍵を持っていないはずの院長室にいたこと、そしてコユキの白衣を着ていたことについて、サクラに問い詰められてことごとく吐かされていた。
「なるほど、まとめると、アオバさん=コユキ院長で、アオバの存在は内緒だから別々に活動していたと……。」
「まあ、そういうことで。」
「で、どうしましょっかねー。このままアオバの存在を思いっきりばらすってこともできますけど。」
「それだけはやめてくれ!」
「……っていうと思いました。私も鬼じゃないんでそれはやめときます。それに、メーメー君の件では、色々お世話になりましたしね。」
「じゃあ、この件は黙っていてもらえるのか?」
「はい。」
「ああ、サクラ、お前なんて優しいんだ!」
「いえいえ。……話がついたので、もうほんとにログアウトしちゃっていいですか?時間、いよいよまずいんで。」
「ああ、本当だ。では、今度、コユキとしてまた会おう。」
まさか、サクラにバレるとは予想外だったな。口は堅そうだから、大丈夫だと思うけれど……。




