↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
change the World  作者: 音神 蛍
第一章
PR
34/41

第三十三話

「明!散歩行かない?」

 私はいつものように夜明け前にベッドから起き上がっていた。久しぶりに吸う地元の朝の空気がどこか心地よかった。

「えー?」

明はまだ瞼を擦っていた。カーテンを開けると眩しそうに目を細めた。

「おはよう」


 幼い頃に怜利と一緒に走り続けた道を、明と一緒に走っていた。木々の間から漏れた光が目を刺激してくる。肌が温かくなっているのも分かった。心地がいい。


 頬を過ぎていく風の温かさが体を少しずつ起こしてくれる。隣で走る明の髪が風に靡いて茶色のカーテンを作った。


「いいね、朝のランニング……」

 明が息を切らせながら後ろをついてくる。息を切らすほど速い訳でもないのにな。


 屋敷に帰った私は食堂に誰よりも早く入った。彩はいないけれど、二人で座っていた席に座った。朝食の準備はアキがやっていた。門番はハル一人らしい。

「おはようございます」

 アキが私を見てすぐに厨房から出てきた。小鉢と、おかゆ、平皿に寄せられた鮭が何枚も。

「わ、いっぱいだぁ。どうしたの?」

厨房からどんどん料理を持ってくる。アキは止まらない。

「だめですよ、いっぱい食べてください!料理長殿によく言われてるのです!」

あー、彩か。彩もそんなこと言ってたな。

 アキにあーんされながら、大量の朝食を食べ尽くした。後から入ってきた一瀬さんに目を剝かれた。恥ずかしい。


 朝食の後、一瀬さんに誘われて筋力トレーニングを始めた。重り服を着て腕立てを延々とやる。

「ほらほら、まだまだ。まだ五十回だな?成羅くん、気張れ!」

つらい、今までならこんなもんじゃ疲れないのに。

「まだまだですね……!」

 横から一瀬さんが逆立ちで腕立てをしていた。あの太い腕が赤く、さらに太くなっている。

「まあ、あまり無理をするな。人間の体はきついだろ?」

一瀬さんの目が私を見据えていた。前髪から汗が垂れて目に入ってくる。

「いえ、体は同じです……!」

ふっと笑った一瀬さんが両目を瞑って、片手逆立ち腕立てになっていた。


 腕立てが終わり、腹筋を七十回くらい続けた後、一瀬さんが立ち上がって、口を開いた。

「成羅くん、君はまだ幼い。あまり無茶するなよ」

掌を出してきた。そこには飴玉。

「いただきます、」

これは、怜利にもらったことがある。妖力を少し取り戻す飴玉。

 口の中に広がったのは抹茶の味。疲れていた全身が一気に軽くなる。一瀬さんは顎に手を当てて虚空を見つめた。怜利と同じ癖だった。

「ふぅん、そうか……。まあいい、今日も庭で鍛錬があるがここで三人か?」

「はい」

 私は一人になった訓練場で少しだけ横になった。次はランニングにでも行こう。


 髪が頬に張り付いて邪魔。

 怜利は、この髪どう思ってたのかな、そういえば聞いたことも無かった。


「成羅、生きてるか?」

バカ二号、もとい、陽が脚で訓練場のドアを器用に開けた。臭いシューズを持っていた。超大きい水筒をぶら下げていた。

「別に?」

 ヘアゴムで髪を結んだ。さあて、どうしようかな。

「ね?なにする?走る?」

立ち上がって、構えをとる。

「それとも、やる?」

 陽が妙によそよそしくなった。

「は?いや、だって、俺。明がいるし……」

「は?何言ってんの……?」

陽の顔が真っ赤になった。

「お前さ、そういう言い方すんな」

「なんで?」

「なんでもねぇ」


 私は明が来るのを待って、陽と組み手をしまくった。


 季節はいつの間にか夏が終わりを告げていた。私は怜利たちが帰るその時まで、鍛錬を重ね続けた。


「遅いよ!」

 私は屋敷裏の山で鬼ごっこ。本当の『鬼ごっこ』だ。一瀬さん主催で屋敷の全員と増やし鬼をする。鬼がタッチした者もオニになる。単純明快、バカ一号の疾風でも出来る。


 ルールは二つ。

一つはずる無し。二つ目は『相手に対する術無し』。要するに術を使わずに追いかけっこだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。