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如月さんの一人語り  作者: 金木犀
11/17

口が裂けても言えない(1)


いつもと同じ曜日、同じ時間に、いつもの服装で男は動画を投稿する。


「はい、どうもこんばんは……如月です。

 今日は、皆さんが知っている有名な《口裂け女》の話を語ろうと思います。皆さんは《口裂け女》と言う都市伝説を聞いて、何を思い浮かべますか?

 ポマード、べっこう飴、色々ありますね

今回、僕が話すのは“少し”変わった口裂け女の話をしたいと思います。【喋るな】」



あー疲れた。

ったく、つくづく、作業の効率が悪い自分を恨む。

残業はあまりしないようにしていたんだが……

すっかり、夜遅くになってしまった。

もう夜の10時……家でご飯を作るのもめんどくさいし、どこかで、食べていくか。




飲食街を通るがめぼしい店はない。

しばらく歩き続けると、一つの店が目に入った。

その店は、飲食街から少し離れた所にあった。

【八岐】今時珍しい屋台だな。

おでん屋か… 入ってみるか……

屋台に近寄るとおでんの良い匂いがして余計に腹が減る。

さっきまで何も食べてないから、おでんがとても魅力的に見える。俺は我慢できなくなり、注文した。

「大将、大根、ハンペンひとつ。あとビールも」

大将は鉢巻で伸ばされているせいか、前髪が長く顔がよく見えない。

コトッ

目の前に皿が置かれた。

「あいよ、大根、ハンペンあつあつだよ。

 それとビール」

美味しそう……とても味が染み込んでそうだ……

パクッ

「あっっ、うっま」

見た目通りに味がしっかりと染み込んで美味い。

おでんを頬張っていると隣に若い女の人が座ってきた夏だと言うのに真っ赤なコートでとても暑そうだ。女性の髪はとても長く綺麗であったが、残念だがそのきれいな髪のせいで顔が見えない。多分美人だろう……

「親父さん、大根と卵ちょうだい」

「あいよ、ねぇちゃん、いつものね」

「親父さん……あのね……みんなね私の顔見ると逃げ出しちゃうの……好きな人ができても顔を見られると怖がられちゃうのよのよ。やっぱり人は顔なのね」

隣で大将と話していた女の人に俺はこう言った。

「何言ってんだ、お嬢さん人は顔より中身が大事なんだ。アンタ、そう言う人を大事にしなさい。」

酔いが回っているせいか絶対普段言わないことを言ってしまった……しかも初対面の相手に。

「……そうかしら?」

「あぁ、そうだ。人を見た目で判断するやつなんて根が腐ってる奴ばかりさ、だから、んなの気にすんな。」 

「……あなた、お名前は?」 

「俺かぁ?【村上 大河】

 お嬢さんは?」

「ふふっ……お嬢さん…ね

 そうね、内緒……また、会った時教えるわ」

「そうかぁー」


そのあと、俺はおでんと酒を食べ、飲み泥酔いしながら家に帰っていった。

「ふふふふっ…………」

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