炉を解体する
僕は水盆で、帰巣炉から落ちた最初の煉瓦を受けた。
ガルドが広間へ飛び込んできたとき、僕は炉辺にしゃがみ、裂け目を見ていた。
「誰が触っていいと言った」
「自分で落ちた」
「落ちても製造組合の管轄だ」
「ならお前が受けろ」
二枚目の炉煉瓦が落ちる。
ガルドがしっかりと抱え、髭が火で巻かれかけた。
主炉の火は空中に懸かり、黒日に東へ真っ直ぐ引かれている。壁の十二城地図は半分暗くなった。広間は冷えていない。
火の近くにいる者は、まだそれを感じられる。
目を閉じる。
旧風笛の部屋はある。二階七号には銅湾から来た母子が泊まり、三階の直したばかりの星見部屋はフィアの風向紙で埋まっている。厨房では誰かが漬物樽を閉め忘れている。
感知は、院壁までしか届かない。
黒日が奪ったのは、炉に集めた魔力と、主炉を借りて十二城へ伸ばしていた手だ。
誰かが帰りたいという気持ちまでは、奪っていない。
「炉火を地下へ移せ」職人が一人言った。「遮断を三層足す」
フィアが首を振る。
「方向が同じなら、どれだけ埋めても同じだ」
「炉門を全部切れ」とセインが言った。
「すでに八割切っている」ルミラが最新の報告を渡す。「黒日はまだ吸っている。狙いは使用中の門ではない。炉種そのものだ」
落ちた煉瓦の跡に触れる。
炉壁の中に、想像していた魔法の核はなかった。
灰と、古い木炭と、何年も前にスープが跳ねて入った干し月豆が一粒。
最初の夜、十六人の灰耳族と僕は、最後の食べ物でここでスープを煮た。
炉火が認めてきたのは、煉瓦ではなかった。
鉗で、すでに焦げたその豆を摘む。
「黒日は火を奪えるのか」とアランに聞く。
「術式で集め、登記し、所有権を宣告された火は奪える」
「登記していないものは」
「方向がわからない」
「なら主炉を解体する」
広間で、先に椀が割れる音がした。
ボニーが足元を見る。
「手が滑った。続けて」
ガルドが炉煉瓦を地面へ重く戻した。
「この炉がどれだけ古いか、わかっているか」
「お前より古い」
「そこが要点ではない!」
知らせが議会へ届くと、反対は賛成より多かった。
帰巣炉を晴風の街心だと言う者、炉が消えれば分火もすべて無効になると心配する者、もっと直接な者もいた。主炉がなければ天野陸は都市領域を維持できず、連合領は最強の防御を失う。
旧風笛の庭で、公開説明会を開いた。
台はない。
台は解体して、難民のベッド枠になった。
第一巻から晴風に住む灰耳の老人が手を上げた。
「あの夜、僕たちが入ったのは、ここに炉火があったからだ。解体したあと、同じ宿なのか」
「同じだ」
「何を根拠に」
振り返って、広間を指す。
「門はある。ベッドはある。ルミラは明朝何椀か聞く。ガルドは窓直しで予算を二割多く出す。ジェリーは月末に失くした硬貨を吐き出す。炉が一つ減っても、それは消えない」
ガルドが抗議する。「予算は一割八だけ多い」
長く笑う者はいなかった。
別の工房主が聞く。
「分散したあと、誰が管理する。どの宿でも炉門を開けられるのか」
「開けられない。分火は安全、方角、救援だけを出す。都市を跨ぐ道路を開くには、両端の管理者と現地代表の同意が要る」
「申請の基準は」
セインが話を受けた。
「実運営が満一年、公開の宿泊と消防記録があること。住民を炉火へ強制算入しないこと。離脱権を残すこと。毎月、公共安全の検査を受けること」
「学校は」
「申請できる」
「病院は」
「申請できる」
「うちのパン屋も毎日人を助けている」
「今はだめだ」ルミラが言った。「夜間ベッドもなく、衛生区画もない。先月の粉にはベリーの歯型があった」
窓の外で、ベリーが頭を引っ込めた。
議論は深夜まで続いた。
最後に、先に分火の試験を一箇所やることになった。
主炉から火を一把取り、古代の炉種には入れず、普通の厨房灯へ入れて晴風病院へ送る。
病院は、自分で受け入れるかどうかを選ぶ必要がある。
当直医、患者代表、近くの住民が登記簿へ共同で署名した。灯が点いても、金色の光柱は出ない。力が僕の体へ流れ込むこともない。
手術を終えたばかりの子供が「お母さんはいつ戻る」と聞いたとき、灯焰が入口のほうへ小さく傾いただけだ。
母親が、ちょうどそちらから走ってきた。
帰途は、まだある。
二箇所目の分火は学校へ行った。
三箇所目は半山杯旅館へ。
銅湾はすでに連合領を離脱している。分火は、それでも点いた。
四箇所目は赤盾公国の国境病院へ送った。そこの管理者は六時間かけて審査し、申請書から晴風の管轄と読める文言を三箇所削ってから、点灯に同意した。
それも点いた。
炉火が認めるのは受け入れであって、旗ではない。
続く三日、申請が旧風笛の広間を埋めた。
宿、学校、病院、大衆食堂、鉱山の休憩所、河船の救護所。セインが一件ずつ審査し、ルミラが実際の糧食とベッドで規模を限り、ガルドは灯が一つ倒れても棟を焼かない分火箱を設計した。
最初の製品試験で、三十個の箱が同時に弾き、彼の髭を黒く燻した。
「構造は信頼できる」と彼は言った。「開く方向は微調整が要る」
火を無条件で全員に配りはしなかった。
ベッド数を偽った宿は却下された。
分火を私有財産にしろと要求した領主も却下された。
教室が二間しかない村の学校は、過去五年の吹雪で通る人をすべて泊めていた。それは一枚受け取った。
千箇所目の分火が点いたとき、黒日の主炉への引きは明らかに弱くなった。
一つの器物に集まった火が減った。
各地の選択の中にある火が増えた。
解体の採決は、ようやく通った。
六割賛成、三割反対、一割棄権。
全員が歓呼したわけではない。
解体の当日、多くの住民が庭の外で泣いた。ガルドが一枚ずつ番号を付け、ルミラが炉灰を十二の陶壺へ分け、ジェリーが一把飲み込もうとして、公衆衛生局の職員にその場で抱えられた。
最後の炉煉瓦は、僕が自分で取り出した。
空中に懸かっていた主火は消えなかった。
無数の小さな光点に砕け、すでに承認された道路を伝って各地へ飛んだ。
旧風笛の広間が暗くなる。
壁の十二城地図が、完全に消えた。
遠い旅灯は聞こえない。どの都市も感じられない。
楼上のどの窓が閉まっていないかさえ、もうわからない。
四年、そばにあり続けた故郷の感知が、止まった。
黒日は、まだ東に懸かっている。
アランがカウンターの上で十二色の剣紋を点けた。
「今だ」とそれは言った。「オードランを探しに行く番だ」




