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銅貨一枚で廃駅舎を買っただけなのに、魔物の荒野で国ができてしまった  作者: Karr


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万能の案はない

連合議会は夜明け前、僕が反対する案を通した。


内容は単純だった。


まだ動かせる分城の炉種をすべて引き揚げ、晴風の主炉へ集める。すでに連絡が切れた東の三城は捨て、十二万人の火で黒日に抗う。


数字だけ見れば、妥当だ。


宿屋の経営で言えば、隣の三室が燃えているのに、店主が部屋札を先に外して総台を守るようなものだ。


会場に入ると、十二枚の都市机のうち九枚しか点いていなかった。


最初の七枚の可動円卓も後列に並び、北境七盟を表している。机の形で一日中争った人たちは、今も完全には揃えていない。


それは少し安心だった。


世界の終わりの前でも、家具の意見は残っている。


セインが中央で提案を読み終えた。


「賛成二十一票、反対十六票、棄権四票。戦時規程により、提案は総管理人の確認に入る」


視線がすべて僕の前に落ちた。


「確認しない」と僕は言った。


白礫井の代表がすぐ机を叩く。


「三城はすでに応答を失っている! これ以上延ばせば、黒日は本線を伝って残る九炉を吸い尽くす」


「だから、支配された本線を切れ」


「切ったあと、何で連絡する。もう一本開けるのか」


「開けない」


会場が一瞬止まった。


この答えは嫌いだ。


だが、あるふりをするよりは、少なくとも安い。


王都の代表が一人立った。


「では何の権限で拒む」


「分城の炉火は僕のものではないし、この机のものでもない。炉種を引き揚げるなら、先に現地の住民に聞け」


「聞けない!」


「聞けないことは、同意ではない」


ルミラが糧食の一覧を開く。


「天野陸、手続きには賛成する。でも受け入れ案も出して。三方向から退避者が来ている。晴風東区の水量は、新規二万人が上限。十九日で糧倉が底をつく。諦めない、だけでは足りない」


「わかっている」


「前回そう答えたのは第一巻で、四百人以上を入れて、椀一杯のスープを二杯に薄めさせたときだ」


「今度は少なくとも共同厨房がある」


「三百七十二箇所ある」声は相変わらず穏やかだ。「だが鍋では規程は煮えない」


地図を見下ろす。


水路、糧倉、宿、学校、病院、魔導車線、すべて細かく印がある。過去五巻で建てたものは、ここで皆を信じると言うためではなかった。


「晴風は単独では受けない」と僕は言った。「十二城の宿網を環状の受け入れに変える。西部四城は負傷者、北部三城は家族、南部の川沿いの都市は生産を続けられる人。各都市は水、糧、空きベッドの上限を出す。満員なら閉める。臨時の上乗せは禁止だ」


ルミラが目を上げる。


「家族を分けるかどうかは、誰が決める」


「分けない。ベッドが足りなければ、一組少なく受ける」


「物資は」


「総公会が戦時護送任務を出す。アイザックの商隊は公開運賃で徴用する。ただ取りはしない。農業協同は戦時種子庫を開けるが、借用証を書く」


ガルドが指節で机を叩いた。


「魔導車の東線は鎖されている。北線は耐荷重が足りない」


「補強できるか」


「安く、早く、丈夫に。三つのうち二つだ」


「早く、丈夫に」


「結構だ。どうせ議会が払う」


予算席から反対が三声同時に上がった。


争いは、ようやく具体的になった。


そのまま言い争わせる。問題が「どの都市を犠牲にするか」から「木材は誰が出すか」に変われば、まだ直せる。


フィアが新しい風路図を、点いている九枚の机のあいだに広げた。


「空の退避を竜だけに頼ってはいけない」彼女は早口だ。「黒日は魔力のある航標を引っ張る。風路を普通の気流区間、羽民の中継区間、竜運の高空区間に分ける。欠点は遅いこと。利点は、本物の風は奪えないことだ」


「どれくらいかかる」


「図面に二時間、試験飛行に四時間」


「帝国南路は五時間後に銅湾へ近づく」とセインが言った。


「なら先に三時間試せ」


フィアが僕を睨む。


「風路は宿のシーツではない。片面乾かさなくても敷けるものじゃない」


「もっと速い案はあるか」


「ある。今出発して、飛びながら直す」


「危険だ」


「だからまた、代わりに否と言うつもり?」


観測尺を腰へ戻す。指は、少しも震えていない。


四年前、彼女はより大きな魔力で方角の誤りを隠した。今は地図に空白を残せる。空白は現場観測が要る、という意味で、適当に吹く、という意味ではない。


「いい」と僕は言った。「ベリーが護衛を二隊」


「一隊。もう一隊は負傷者を運ぶ」


「いい」


彼女は振り返るとすぐ歩き出した。


「フィア」


「今度は何」


「戻ったら宿の屋根を見てくれ。黒日が三号の物干し竿を緩めた」


「戦争が終わるまで、修繕費には入れない」


扉が後ろで、ぱんと閉まった。


議会は最終的に、主炉集中案を撤回し、分散受け入れ、弾力退避、支配された道路の切断に切り替えた。


僕が全員を説得したからではない。


鹿鈴谷の羽民伝書手が採決の前に着き、現地住民自身の決定を持ってきた。炉種は現地に残す。守炉人は退避する。街は空にしてよい。火は動かさない。


紙には二千七百あまりの指印があった。


僕たちはそれを尊重した。


昼、最初の鹿鈴谷負傷者が晴風の駅に着いた。


水路沿いの、もともと雲餅祭用だった長棚が仮病区になる。遮音煉瓦が魔導車の騒音を止め、河妖が支渠を半尺上げ、担架が水面沿いに安定して動けるようにした。ジェリーはベッドの下を一周ずつ転がり、泥と魔法の残渣を食べる。便所の方角だけは、断固として見ていないふりをした。


「公衆衛生局の責任者だ」と、怪訝な負傷兵に説明する。


ジェリーは「責任者」と書いた小さな帽子を被り、威厳をもって「ぽ」と鳴った。


負傷兵が少し笑った。


今日、最初の悪くないことだった。


夕方、アランが帰巣炉のそばへ連れて行けと言った。


半剣を机に置く。


黒日の引力で炉焰が東へ傾き、剣身の断口も暗い赤を帯びる。


「吾に案がある」とそれは言った。


「先に代価を言え」


「ますます叙事詩の鑑賞ができなくなったな」


「叙事詩はたいてい、修繕の見積もりを出さないからだ」


アランが少し黙る。


「黒日は太陽ではない。無数の道路許可印を重ねた中枢だ。オードランはすべての路を帝国所有と宣告し、火と人を唯一の終点へ引いている」


「所有権を斬るか」


「外から斬れば、一本しか切れん。完全に無効にするには核心へ入り、帝都へ通じて退出できない総路を見つけねばならん」


断口を見る。


「今のお前は、人参も斬れない」


「吾は人参など斬ったことがない!」


「だから先に剣を直せ」


「並の鉄ではだめだ。旧風笛が初めて炉を点けたときの煙晶、矮人山の風鳴鉄、樹霊の活木膠、竜谷の褪鱗……十二の炉火を違う人間が四年育てた。吾にも十二城それぞれの材料と、彼らが本当に得意な技術が要る」


「生贄か」


「材料費だ」


ガルドがいつの間にか門口に立ち、顔が真剣だった。


「材料費のほうが生贄より高い」と彼は言った。


筆を取り、新しい申請書の一行目を書く。


十二城共同でアランを再鍛する。


用途:黒日へ入り、核心の道路を斬る。


いちばん下に、もう一欄あった。


成功確率。


アランが急かす。「極めて高い、と書け」


考えて、書いた。


|他に案はない。|


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