二百六十枚のレンガがいっせいにいびきをかいた
最初の風鳴レンガが窯から出たとき、歌はなかった。
爆発した。
破片はガルドの頭上を越え、粘土の籠をひっくり返し、最後に院壁へ食い込んだ。
フィアが顔の前の観測板を下ろす。
「少なくとも、音は大きかったわ」
「爆発だ」と僕は言った。
ガルドが髭から煉瓦灰を振るい落とす。
「晶粉が多すぎる」
「昨日は多いほど鳴きやすいと言った」
「鳴きやすいのと、レンガに留まりたいのは別だ」
試験窯は旧馬小屋の後ろにある。
窯の煉瓦は崩れた塔から、粘土は溪辺から掘り、風鳴晶は鉱洞が要らなかった端材だ。原料にはほとんど金がかかっていない。煙道の改修、石炭、そして最初のレンガが壊した鉄シャベルの弁償は、すでに銀貨三枚ついている。
帳簿に、最初の結果を書く。
一号配合:販売不可。客を追い払う用途には可。
二塊目は爆発しなかった。
音もなかった。
三塊目は、湯沸かしが沸いたような音だ。
四塊目は真夜中に一度だけ鳴き、三号に泊まっていた旅の薬商を退室させた。
彼は旧風笛の、最初の有料宿泊客だった。
一晩銅貨五枚。最後に受け取ったのは二枚だけだ。
「設備事故にあたる」三枚を返す。「次回来たら、静かな部屋を一晩無料で替える」
薬商は荷物を抱え、慎重に聞いた。「本当に静かな部屋はあるのか」
「次はできる」
彼は庭の窯を一目見る。
「なら来年来る」
宿屋の開業収入:銅貨二枚。
試験の損失:銀貨三枚と信用。
経営状況は、非常に安定して下向きだった。
五日目の朝、厨房の窓からさらさらと音がした。
扉を押して入ると、赤い頭が窓枠に挟まっている。
猫ほどの大きさで、背に小さな翼が二枚、尾は壁の外で振り回され、口には昨夜残った蜂蜜の焼き菓子を銜えている。
目が合う。
咀嚼が速くなる。
「それは客の朝食だ」
最後の一口を飲み込み、懸命に下がろうとする。だが腹が膨れて、さらにきつく挟まった。
アランが腰で興奮する。
「竜だ! ついに聖剣を抜くに値する相手が現れた!」
小竜が火星を一口吹きつける。
アランはすぐ、安全な距離まで下がれと要求した。
フィアが物音を聞いて駆けつける。
「ベリー?」
小竜はもがくのを止め、彼女に向かって二声鳴いた。
「知り合いなのか」
「絵で見たことがある。竜谷のブルームさんの姪よ。去年、貨船について谷を出てから、戻っていない」
「竜谷は探さなかったのか」
「探したわ。見つかるたびに、また逃げるの」
ベリーはようやく窓枠から抜け、小麦粉の樽へ落ちた。
赤竜が白竜になる。
ジェリーが入口から首を出す。
ベリーもそれを見た。
二人の人外の住客が、床に落ちた焼き菓子の半分を囲み、ゆっくり近づき始める。
「ぽ」
「がう」
ジェリーが先に触手を伸ばす。
ベリーが一口で焼き菓子を吞んだ。
競争関係は、ここで成立した。
ルミラがベリーに仮の入居登記をする。
氏名はフィアが通訳し、年齢は不詳、後見人は不在、宿泊の需要は枕二つ、食事禁忌欄には「貯蔵室への単独入場を禁ず」と書いた。
「部屋代はどう取る」とルミラ。
ベリーは金とわかると、すぐ空のポケットに爪を乗せた。
「労働で相殺する」と僕は言った。「火が吐けるなら窯の傍へ」
火を吐くと聞き、目が輝く。
一日目、彼女は窯温を三倍にした。
二日目、温度が足りない。枕二つに伏せて眠っていたからだ。
三日目、窯口に焼き芋を一皿置く。決められた火量を一回終えるごとに、一塊取れる。
温度は、やっと安定した。
ガルドの評価は高かった。
「風術師より制御しやすい」
フィアは十二条の細い風で煉瓦素地へ晶粉を導いているところで、その一言を聞くと、一筋を彼の髭へ向けた。
「聞こえてる」
「聞こえるように言った」
ベリーが泊まって三晩目、帰巣炉の火光が彼女の鱗で一度止まった。
住民は一時三十二になる。
誰かが送ってきた戦力ではない。永遠に残ると約束したわけでもない。
厨房が近く、枕が柔らかく、明日も焼き菓子が食べたい。それだけだ。
帰巣炉は、その理由で充分だと考えた。
正式に第一窯を焼く日、誰もが緊張していた。
五百の煉瓦素地が窯の中に整然と積まれる。
灰耳族が素地を作り、ガルドが人を連れて晶粉を挽き、フィアが風を細流に分けて紋へ流し、ベリーが火を担当する。ジェリーは散らばった灰滓を吞み、体は青から浅灰になった。
アランは商標を刻みたいと言った。
「全名はだめだ」と僕は言った。
「偉大な商品には偉大な署名が要る」
「レンガ一塊は掌二つ分しかない」
「略号なら刻める」
十七文字を告げた。
ガルドは、一字増やすごとに加工費が銅貨半枚だと言う。
アランは自ら諦めた。
窯火は一晩燃えた。
夜が明けてから、第一陣のレンガを挟み出し、庭に一列に並べて冷ます。
フィアが最初の一塊へ息を吹く。
「うぅ」
短く、澄んでいる。
二塊目は笛のようだ。
三塊目は小太鼓のようだ。
子供たちが囲み、交代でレンガに風を送る。庭にはすぐ高低の音符が響き、ルミラまで一塊を手に取って試した。
ガルドが腕を組む。
「できると言っただろ」
「最初の一塊が爆発したときは、そう言っていなかった」
「工芸の探索は失敗に入らん」
検品を始める。
最初の十塊は正常に鳴る。
十一塊目で、低い「ふぅ——」が伝わった。
ガルドの顔色が固まる。
十二塊目も「ふぅ——」。
次いで、庭に歯軋りの音がはっきり聞こえる。
全員がゆっくりガルドを見た。
彼は眠るとき、こうだ。
「偶然だ」と彼は言う。
フィアが一列のレンガを同時に立て、一陣の風を送る。
「ふぅ——るぅ——」
二百六十枚のレンガがいっせいにいびきをかいた。
音は院壁を越え、屋根の鳥を驚かせて飛ばす。山腹の野兎は揃って穴へ戻り、ベリーは怖くて芋の半分を炭にした。
ガルドの顔が、だんだん赤くなる。
「なぜだ」
フィアが一塊を手に取り、調べる。
「素地が窯の中で、いちばん安定した震動を記録したのよ」
「窯の傍でいちばん安定した震動は何だ」と僕は聞いた。
全員がまたガルドを見る。
昨夜、窯番の後半、彼は窯門の傍で眠っていた。
検品票に書く。
合格二百四十塊。
特殊効果二百六十塊。
用途不明。
「売れるか」とルミラ。
「建材としてはだめだ」と僕は言った。「いびきをかく壁に住みたい者はいない」
ガルドが反論する。「隣に人がいる証拠になる。臆病な客向きだ」
「まず遠い倉庫へ運べ」
二百六十枚のレンガは風の中で一路いびきをかき、手押し車で旧馬小屋へ送られた。
その夜、宿屋の広間で初めての製品会議が開かれる。
ガルドは窯を改め、熱流を層分けすると言い、ルミラは素地の厚さが揃っていないから半分が過剰に記録したと考えた。フィアは風力の分配にまだずれがあると認めたが、ガルドのいびきの責任は拒否した。
三人とも、僕の第一案は受けなかった。
工程を組み直すしかない。
素地は先に同じ寸法の木枠を通す。
晶粉は重量で袋分けする。
風道は一条から十二条へ変え、一条につき一列だけを持つ。
窯番は交代制。ガルドは十歩以内で眠ることを禁じる。
「ドワーフへの不当な規定だ」
「お前への規定だ」
「ならなお不当だ」
第二窯には、さらに石炭が要る。
糧食も七日分しかない。
また失敗すれば、三度目を試す金もない。
会議のあと、ルミラが宿泊帳と食事帳を揃えて僕の前に置いた。
「ドワーフ十二名は工事が終われば去る。フィアはまだ屋根の借金がある。ベリーは毎日焼き菓子を六塊食べる」
ベリーが机の下から首を出し、訂正するように一声鳴いた。
フィアが通訳する。「今日は五塊だけだと言ってる」
「重点は今日じゃない」
額を揉む。
窓の外で、荒野を通りかかった商隊が一台、いびきをかく倉庫の傍に停まった。
商人が風の中で長いあいだ聴き、なんと宿屋の扉を叩いた。
「あの音は、そちらの製品ですか」
僕が答える前に、ガルドがカウンターへ駆けつける。
「限定版だ」
商人が顎を撫でる。
「競争相手が、ちょうど宿を開いたところだ」
二十塊買っていった。
一塊、銅貨一枚。
用途は聞かなかった。
借金を返せる商売ではない。だが帳簿に、初めて正の一行が増えた。
去り際、商人は普通に歌うレンガをまた一塊手に取る。
風が通り、レンガは澄んだ三音を出した。
「これが安定して五百塊作れるなら、全部欲しい」
カウンターに銀貨一枚の内金を置く。
「十日後に納品だ」
その銀貨を見る。
第二窯は、まだ点火していない。
納品数は、すでに契約へ書かれた。
ガルドが傍らで小さく言う。「今なら酒が買える」
「先に石炭だ」
銀貨をカウンターに鎖し、部屋番号札を並べ直す。
今夜も仮の寝床は三十一。いびきをかくのは二十二人だ。
だが少なくとも、二百六十枚のレンガは運び出した。




