工賃は無料、ほかは別途
「銀貨四十七枚?」
請求書を裏返す。
裏にも半頁あった。
「四十九枚だ」ガルドが訂正する。「墨が乾いていなかった。その二枚は足場保険だ」
「昨日は無料だと言った」
「工賃が無料だ」
短い太い指で、項目を一つずつ叩いていく。
「石材十六銀、木梁九銀、運送五銀、道具摩耗三銀。十二人が十日泊まる。食費と酒代——」
「宿泊費は相殺できる」
「なら三銀減らす」
「一晩、銅貨三枚の価値か」
「屋根が開いている」
料金の話で、客に設備状況を反撃に使われたのは初めてだ。
もっともだった。
とても傷つく。
ガルドが連れてきた職人十二名は、すでに広間を埋めている。道具箱は寝具より整列し、酒樽は帰巣炉からいちばん近い位置に置かれていた。
ルミラが宿泊簿を持ち、一人ずつ聞く。
「氏名、職種、何泊の予定か、食べられないものはあるか」
「石槌、左官、十泊、発酵していないものは食べん」
「銅釘、木工、十二泊、甘い豆は食べん」
ガルドの番になる。
「ガルド、なんでもやる、直るまで、水割りは飲まん」
ルミラは書き終え、穏やかに言った。「厨房に酒はない」
ガルドが僕を見る。
「請求書に酒代前払いがある」
「取り消す」
「工事の質に影響する」
「危険なところでは絶対に手を抜かないと言ったな」
彼は二秒黙った。
「なら工期に影響する」
この交渉は、毎晩の夕食後に月豆酒を一壺出すことで終わった。酒は灰耳の老人が持ってきた麹でその場で醸し、コストは共同の食事帳につける。
銀貨四十七枚については、僕たちに一枚もなかった。
「分割だ」と僕は言った。
「いい。頭金二十枚」
「頭金も分割だ」
ガルドが僕を睨む。
僕も彼を見る。
帰巣炉は傍らで静かに燃えていて、どちらにも金を出す気はまったくなかった。
最後に、いちばん危険な屋根と耐力壁から直すことにした。材料はドワーフが掛け売りし、宿屋は三ヶ月以内に返済する。期限を過ぎれば、ガルドは新しく付けた銅の排水樋を運び出す権利がある。
「なぜ排水樋だけだ」
「ほかを外すと構造を傷める」
専門的で、しかも筋が通っている。
ドワーフが泊まった初夜、金火の範囲は旧馬小屋まで広がった。
住民数は、一時三十一まで上がる。
彼らは永住の住民ではない。だが炉辺で食事をし、翌日も屋根を直し続ける気は本当にあった。炎は種族を問わず、滞在の長さも問わない。本物の選択だけを見る。
頭の中の宿屋の輪郭が、それに合わせてはっきりした。
どこに梁を足すべきか、どの石の内側にひびがあるか、どの壁の後ろに古い配管が隠れているか。すべてが、あるかないかの手触りになる。
翌日、ガルドが槌を一本渡してきた。
「金が出せないなら、働け」
足場に上がる。
「どこを叩けばいい」
「昨日は得意だったじゃないか」
槌の柄を握る。
ガルドの正しい手触りが、また来る。
知識が頭へ直接詰め込まれるわけではない。石の名前はまだ呼べないし、梁の角度も計算できない。だが槌頭をどこへ落とすか、力を何分収めるか、掌が先に感じ取る。
一打目は正確だった。
二打目も、石の縁を割らなかった。
ガルドの眉が、ゆっくり上がる。
「俺の技を盗んだのか」
「借りた」
「料金は」
「帰巣炉は見積書をくれなかった」
「素人だ」
意識を、庭のルミラへ向けてみる。
手触りが変わった。
槌はまだ手にある。なのに足場脇の土が湿すぎること、月豆には向くが材木を積むには向かないことが、突然わかる。フィアを見ると、彼女は風向旗に番号を振っていた。不規則な横風だけが伝わってきて、足場から落ちそうになる。
「今、私の技能を借りた?」フィアが仰いで聞く。
「たぶん」
「効果は」
「危険だ」
「風術師の素質がないからよ」
言い終えたところで、一陣の風が彼女の帽子を井戸へ飛ばした。
ジェリーが帽子を押し戻してくる。
宿屋の修繕は五日続いた。
主梁は鉱区から届いた黒松に替え、瓦面を張り直し、東壁に石基を足す。旧馬小屋から外した板で二段ベッドを六台作り、初めて本当に料金を取れる客室も片付けた。
部屋番号は三号だ。
一号と二号には、まだ床がない。
フィアはそれが不思議だった。
「なぜ一号から始めないの」
「三号の錠前がいちばんいい」
「じゃあ三号は一晩いくら」
「屋根が漏れなくなってから、銅貨五枚」
「私が住んでる十二号は」
「マイナス五銅貨。毎日、借金を相殺し続ける」
彼女は鍵を少し強く握り、もう聞かないことにした。
六日目、新しい住居が着工する。
ルミラは、灰耳族を全員本館へ押し込むことに反対した。宿屋は短期の客に残すべきで、長く暮らすなら厨房と物置と、ものを植えられる窓台が要る。
ガルドはもともと、二階建ての石楼を設計していた。
「頑丈だ。十戸住める」
ルミラが首を振る。
「地下の貯蔵が足りない。冬の暖房も薪を食う」
ロックが半地穴構造を出した。上半分は木壁、下半分は搗き土。ガルドは威厳が足りないと言い、二人は壁の厚さで半日争った。
僕は代わりに決めなかった。
帰巣炉は建築の問題を感じさせてくれる。中に住む人が何を望むかは、教えてくれない。
最後に、彼らは院の外で見本の家を一つ掘った。
最初の掘削位置は、排水溝の下流だった。夜に小雨が降り、地穴の半分が水で埋まる。
ガルドが水際に立ち、髭を怒らせて逆立てる。
「誰が場所を選んだ」
ロックが彼を指す。
「地盤が硬いと言ったのはそっちだ」
「硬いのと乾いてるのは違う!」
ルミラは裾を捲り、水の深さを測った。
「争うな。南へ八歩ずらして、盲溝を一条足す。窓台は高くする。種を干す場所が要る」
二度目の見本の家は、水を入れなかった。
石基は膝までで、石材は半分で済む。沈んだ部分は保温し、木壁は全石の家より風が通る。ガルドはそれでも門枠に山紋を一回り刻み、これが工事の尊厳だと主張した。
落成の日、灰耳族六戸が交代で中を見る。
ミロが新しい窓台に伏せ、風鈴草の鉢を真ん中に置いた。
ルミラが壁を撫でる。
「住める」
ガルドが訂正する。「五十年住める」
「屋根は」
「中で風術師が服を乾かさなければな」
フィアは十二面目の観測旗を挿しているところで、聞いていないふりをした。
夜、長机を新屋の門前へ運び、食事をする。
帰巣炉の火光が宿屋の広間から伸び、地面を辿って新屋の敷居まで落ちる。鎖ではない。門前で、帰りが遅い者のために誰かが灯を残したようなものだ。
槌を手に取る。今度は、ガルドを探そうとしなかった。
掌は、最後の木楔をどう締めればいいか、まだ知っていた。
借りた手触りは、一晩で職人にはしてくれない。
だが繰り返した動作は、本当に手へ残り始めていた。
アランが壁際に寄りかかり、口調はフィアのポケットの果乾しのように酸っぱい。
「伝説の開路剣を持ちながら、壁を積むのに夢中か」
「壁は自分から噛みつかない」
「道こそが英雄の栄光だ」
「部屋がなければ、道の先の人はどこに住む」
アランはしばらく黙った。
「なら少なくとも、目立つ位置に掛けろ」
新屋の門脇に掛ける。
ミロがすぐ剣柄に小さな黄花を結んだ。
アランは抗議しようとして、結局声を出さなかった。
翌日、鉱区から端材の藍晶がまた一車届く。
ガルドは、風鳴晶層から掃き出した砕料だと言った。音色が純でなく、値がつかない。
一片を手に取る。
風が結晶を抜け、短い音符が一つ鳴る。
同時に、ルミラがガルドの請求書を再び僕の前へ置いた。
「屋根は直った。新しい家もできた。第一期の返済まで、あと二十日」
「今の収入は」
「零」
「備蓄は」
「十九人と職人十二名で十一日分。ドワーフが酒を水代わりに飲まない前提だ」
ガルドが酒壺を抱える。
満車の売れない晶石の砕料を見る。庭に積んだ粘土も見る。
「レンガは歌うか」と僕は聞いた。
フィアが晶片を一つ、煉瓦の素地の傍らに置き、軽く風を吹く。
レンガは、もちろん答えなかった。
ガルドはゆっくり酒壺を下ろした。
「晶粉を混ぜるつもりか」
「まず一塊」
「窯を改める必要がある。温度も試す。晶粉の割合もわからない」
「できるか」
ガルドが髭を撫でる。
「できる」
少し止まり、いつものように補足した。
「金は」
銀貨四十七枚の請求書を押し返す。
「できてから返す」
ガルドは長いあいだ、僕を見ていた。
それから請求書の下に一行足す。
|試験窯改造費:仮記帳。|




