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銅貨一枚で廃駅舎を買っただけなのに、魔物の荒野で国ができてしまった  作者: Karr


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三日と一枚の印

新幹線の放送が鳴ったとき、僕はアランを握っていた。


「南川方面行きの列車は、二十分ほど遅れております——」


四年前、僕はこの言葉のあとでロランシアへ歩いた。


声は本物のホームに重なる。炉火の中の十二秒の残響が、引き伸ばされたようだ。電光時計が示すのは四年後の日付。広告板は見たことのない機種を売っている。改札のゲートは一代、代わっていた。


フィアは十二炉が共同で開いた金色の道路のもう一端に立ち、半身はまだ旧風笛亭の炉火のそばにある。袖口を掴む手が、いつ切れてもおかしくない風綱を掴むようだった。


「両側の風速が違う」と彼女は早く言った。「ここの空気は汚い。魔力はほとんどない。それに、あなたの顔が青いわ」


「主な理由は、自動販売機が風券を受けないことだ」


放送は十二秒で切れた。十二炉が初めて繋がったときと同じだ。残ったのは、四年後の地球。


携帯に充電すると、百通を超える知らせが流れ込んだ。


行方不明届、会社の解雇通知、大家の解約通知。最後は昔の同僚、直人だ。「生きてたら一言くれ」


日付は四十八ヶ月にまたがる。


僕は二字だけ返した。


「生きてる」


個人の帰路は、十二炉が同時に維持しなければ開かない。炉火を一刻長く開ければ、アランのひびが一分熱くなる。長くは居られない。


地球の三日は、ロランシアではおよそ三時間しか過ぎない——道が開いているあいだ、両界の時計はもう同比しない。時間の逆流ではない。この道が引き開かれたとき、両側の進み方が違うだけだ。


こちらへ踏み出せたのは、道が僕の帰る意志に従って開いたからだ。地球に炉火はない。都市議会もない。十二都市が開門に同意したのはロランシア側。僕が帰りたいと願うのが、もう一端で出せる唯一の同意だ。フィアは自ら同行した客である。僕がいなければ、十二炉がまた灯っても、十二秒の放送が鳴るだけだ。


一日目は警察の調書と行方不明の身分を処理し、二日目は両親と当時のゲストハウスの旧同僚を見舞い、三日目は道が再び開けるかを確認した。


双月のことも、話す剣のことも、十二の炉火のことも言わなかった。事故に巻き込まれ、外部と連絡できない場所に長く滞在した、とだけ言った。穴は多い説明だ。幸い、行方不明だった人間が戻ると、人はまず欠けていないかを気にする。


直人はゲストハウス跡の隣で、麺屋を開いていた。


「お前、夜勤を二回分借りてるぞ」と、彼は牛肉麺を押してきた。「四年も消えて、どう返す」


「いま宿屋を一軒持ってる」


「またそれか」


「今度は帳簿を見る人間がいる」


フィアが初めて箸で麺を挟み、局地的な風災を起こした。僕の椀から直人の前掛けへ麺を飛ばしたあと、とても真面目に洗濯代を払った。


午後、僕は両親のところへ行った。


少し老けていた。家は変わっていない。旅行の話は作らず、とても遠く、電波の悪い場所へ行き、そこで宿屋を営んでいる、とだけ言った。


母は、商売はまた潰れるのかと聞いた。


共同経営者がいる、今度は明朝何椀要るかを先に数える、と答えた。


父が、署名の要る書類を何通か押してきた。行方不明だった人間が戻ると、紙のほうが先に疲れる。


帰る前、直人がまた戻るかと聞いた。


「見舞いはする」と僕は言った。「だがその道を切符にして売らない」


十二炉が共同開門するたび、アランの古いひびが熱を持つ。道は狭く、不安定で、歩けるのは二人まで。次の出口が同じ駅にある保証は誰にもない。商業路線として公表すれば、最初に並ぶのは旅客ではない。課税し、囲い込み、兵を運びたい人間だ。


三日目の夕方、僕は旧携帯番号を消し、残っている人間へ残せる説明を残した。


フィアはホームの端で、都市の灯を見ていた。


「あなたの未来計画に、ここはあるの」


「ある」


「ロランシアは」


僕は彼女を一目見た。


「先に戻る。旧風笛亭は今日、観察団が入る。ルミラは僕の部屋まで出しているはずだ」


「答えになってない」


「未来計画には旧風笛亭がある。十二都市がある。お前が担当する風路がある。それから、対外予約しない帰省部屋が一室ある」


彼女は顔をそらし、風向きを記録した。耳が夕焼けより少し赤い。


「その答えは、かろうじて合格ね」


僕たちは金色の道路へ踏み戻った。後ろの都市は魔力のない灯の川に縮み、前方からはベリーがケーキを探す叫び声が届いた。


ロランシアへ戻ったその日、曜石帝国観察団が到着した。


観察団は合わせて二十七人、黒塗りの魔導車六台、墨から引き上げたように同じ黒さの箱が四十八個。


団長のヴィザー使節が、宿泊文書を僕へ渡した。


「帝国は団全員の一年分の部屋代を支払う用意がある」


「旧風笛亭の客室は十九室だけだ」


「借り切れる」


カウンター脇で、すぐ三声の抗議が上がった。石梯堡へ行く途中のドワーフ一人、看病に来た河民二人、三号室の常連である羽民郵便。好条件で追い出されるのは受けない。


僕は文書を押し戻した。


「最多で九室。使節団は普通に登録する。武器は封存。魔導車は北貨物場。初夜は無料にしない」


ヴィザーは、雨漏りし、七度直したカウンターを一目見た。


「総管理人自らチェックインを」


「今日の当番だ」


彼は微笑み、名を書いた。


晩餐は十二都市議事堂に置いた。ヴィザーは先に軍の話をせず、帝国主砲も見せない。随員に十二組の銀白い軌件、ベリーより高い保鮮庫、自分で食卓まで歩いて酒を注ぐ魔導侍者を運ばせた。


ベリーは侍者を長いあいだ見つめた。


「ケーキは運べるの」


「運べる」とヴィザー。


「貿易、支持する」


ルミラが、見本皿へ伸びる爪を押さえた。


帝国の条件は、本当に非常識なほどいい。鋼軌は石背ドワーフの見積より四割安く、魔導車頭は五年の掛売り、帝国市場は雲毛、反響レンガ、北境薬草を三年関税免除。技術者を出して十二都市の本線を敷くことまで引き受ける。


ガルドは軌件を何度も叩き、顔色が悪くなっていった。


「こんな鋼が、この値段では鉱石すら買えない」


「帝国重工業の規模の優位だ」とヴィザーが答えた。


「聞こえるのは、誰かが差額を払っている、という話よ」とルミラ。「誰」


ヴィザーはようやく協定の最終頁を開いた。


漆黒の円印が一枚、紙に圧されている。縁から十二の細歯が伸びる。


「技術条件は一つだけ。今後、すべての炉門、魔導軌道、龍運発着場は、帝国許可印を使う。通行身分を統一し、密輸を止め、晴風商品を東方へ無障壁で入れることもできる」


十二都市の代表は、その場で二つに割れた。


月泉城代表が先に口を開いた。「免税が得られるなら、なぜ使わない」


セインが付録まで捲った。


「許可取消権は帝国道路総署に属する。争議の審理地も帝都だ」


「標準認証にすぎない」とヴィザー。「秩序のない開放は、最終的に道路の濫用を招く」


僕はアランを印のそばへ置いた。


剣身が突然、とても小さい悲鳴を上げた。


痛がるときの大げさな叫びではない。


古い傷の中で、誰かが鍵を一捻りしたようだ。


金線が剣脊から浮き、紙の裏面を照らした。十二の黒歯は印泥ではない。極細の契約術式で、協定の「永久」「統一」「撤回不可」のすべてへ噛みついている。


アランの声が低くなった。


「これは通行許可ではない」


ヴィザーの顔の笑みが、初めて止まった。


「グランセル・オルヴィア・フォン・カス<PRIVATE_DATE>は、同類の術式を見たことがある。印を持つ者は道路を閉じられる。道路のもう一端の同意は要らない。十二炉がこれを受ければ、すべての炉門の最終鍵は帝都に残る」


僕は協定を閉じた。


「値段はいい」


「だから」


「だから、なおさら署名できない」


窓の外で、帝国魔導車六台が同時に黒い街灯を灯した。


ヴィザーは協定をしまい、怒らない。


「総管理人は、もう一晩考えていい」


「客室九室、朝食七時。それは一晩考えていい」


彼は立ち上がるとき、その許可印を卓上に残した。


印は紙に着かなかった。木卓の中へ、十二の黒痕をゆっくり噛み出していった。


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