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銅貨一枚で廃駅舎を買っただけなのに、魔物の荒野で国ができてしまった  作者: Karr


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北境七盟

ヴィクトルは停戦の場所を晴風に選ばせた。


僕は旧風笛亭の裏庭を選んだ。


屈辱のためではない。


議事庁の床はまだ平らになっておらず、七つのテーブルが自分で滑る。


裏庭は少なくとも平らで、厨房に近い。


赤盾代表団が着いたとき、まず見たのは西壁の戦損、薬を待つ負傷者の列、ガルドが入り口に貼った修繕募金票だった。


ヴィクトルは礼服を着ていなかった。


赤甲の肩片が欠け、外套の縁は乾いた泥だらけだ。向かいのセインの制服袖口にも、西門の月豆漿が残っている。


本当に刃を交わした二人は、どちらも外交の肖像には向かなかった。


「公国軍は旧辺線まで退く」ヴィクトルが先に口を開く。「双方が捕虜を交換し、商路を再開する。条件として、北境は越境賠償の追及を止める」


「だめです」とルミラ。


ヴィクトルが彼女を見る。


「お前は晴風の財政官か」


「農業と行政の代表です。徴用された糧食千七百袋、貨車十二輛、負傷者の治療費はまだ増えています。追及を止めれば、普通の商戸が戦争の帳を払うことになります」


赤盾副使が帳冊を開く。


「公国は無限の賠償は受けない」


「だから上限と証拠があります」


ルミラが分類帳を三冊押し出す。


私的損失、公共修復、負傷者救助。きれいに分かれている。


ヴィクトルはもう「追及を止めろ」とは言わなかった。


七族の要求も同じではなかった。


カロは赤盾軍が狼人商路へ二度と入るなと求めた。


ドーンは差し押さえられた鉱車と工匠の方が気になった。


デラは公国が上流に私設した税閘三基の撤去を求めた。


シモハネは赤盾が竜谷領空を認めることだけを求め、ランゼルはすべての救援航路を軍事封鎖するなと足した。


エルカンは根林で枯れた幼樹の賠償を求め、アオカエデは薬草と医士の通行開放を求めた。


ガンドは冬の牧道に新しく鑿られた界碑を気にした。


レイシュウは旧鉱塔から外された風鳴晶芯の返還を求めた。


僕が彼らの要求を一句「晴風の指導を認めよ」にまとめれば、交渉はずっと楽だっただろう。


この十二日にしたことも、全部冗談になる。


車輪つきの円卓七つを裏庭へ運び、各方は自分の損失を自分で話した。


テーブルは時々風で動く。


ガルドが先に木楔を打っていた。


「外交の進歩だ」と僕は評した。


「楔一つ銅貨二枚」


「言わなかったことにしてくれ」


いちばん大きな争いは賠償ではなかった。


赤盾公国が支配する三つの附庸部落だ。


灰岩狼人、浅湾河民、紅蹄牧戸は何年も前にそれぞれ保護条約を結んでいた。契約は公国の駐屯、代収税、移住制限を許すが、脱退条項はない。


ヴィクトルが言う。


「これらの部落は公国の保護を受け、公国の防務も負っている。北境が一戦勝ったからといって、一方的に出ていくことはできない」


セインが契約の最後の頁を開く。


「締結時、灰岩部落の代表四名のうち二名は拘禁されていた。浅湾河民の印はすでに廃された旧議会のものだ。紅蹄牧戸の契約は五年ごとに更新し、今年は公開確認をしていない」


「手続きの瑕疵は契約無効を意味しない」


「永遠に有効であることにもならない」


赤盾副使は三部落を直接七盟へ入れ、公国撤兵と交換すると提案した。


僕は首を振った。


「彼ら自身が選ぶ」


「公国に残りたいと選んだら」


「なら残る」


カロは明らかに賛成しなかった。


「灰岩は同族だ」


「だから説得しに行ける。代わりにサインはできない」


長く黙った。


「信じてもらえなかったら」


ノヤが傍で言った。「なら先に断橋を直せ。別の道を見せればいい」


最終条項は、三つの附庸部落が六十日以内に公開表決すると定めた。公国軍は先に居住区から退き、国境哨所だけ残す。公国に残る者は従来の貿易権を保つ。独立するか北境議事体系へ入る者は、人口も財産も差し押さえられない。


整った解放ではなかった。


残る者もいる。


出ていく者もいる。


少なくとも扉は、はじめて錠で死んでいなかった。


停戦二日目、双方が捕虜を交換した。


北境は赤盾兵士百八十七名を返し、宣誓は求めなかった。赤盾は差し押さえられた商人、鉱工、医士を合わせて三百九名送り返した。


最後の一団が西橋を越えるとき、晴風の生徒が橋際で一人ずつ登録した。


「氏名、行き先、宿泊は要るか」


灰岩狼人の一人が「行き先」欄を長く見た。


「まだわからない」


生徒が黄色い部屋札を渡す。


「なら先に三晩。四日目にまた書いて」


旧風笛亭の決まりは、同盟が大きくなっても変わらなかった。


先にベッドを与え、それからどこに属するかを話す。


三日目、停戦書に署名した。


赤盾は白脊山以北へ退き、薬草、塩、普通商隊の通行を開き、風鳴晶芯を返し、限られた公共修復金を払う。北境は公国領土を求めず、撤兵も追わない。


ヴィクトルが最後の頁にサインする。


「鴉嘴堡を取れただろう」


「取って何をする」


「国境を握る」


「分駅を三つ直したばかりだ。屋根の漏る辺境砦をもう一軒受けたくない」


彼は僕をしばらく見た。


「防衛線を広げなかったことを後悔するぞ」


「かもしれない。お前も貨車十二輛を壊したことを後悔する。請求書は公国へ届く」


ヴィクトルは笑わなかった。


加わってもこなかった。


赤盾軍が去るとき、隊列はなお整っていた。陰謀を暴かれたから戦力を失った群れではない。議会が主戦派へ次の糧と兵を足すのを拒んだだけだ。


戦争が終わったのは、白脊山が持ち、晴風が倒れず、公国内部で証拠を公開しようとする者がやっと発言できたからだ。


その夕方、七族代表は議事庁へ戻った。


今度話したのは臨時防務ではない。


北境病院には長期の資金が要る。


竜運航路には共同維持が要る。


白脊山の鉱、水、風、牧道には、争い続けられる手続きが要る。


連合軍も、一度の戦時協定だけでは永遠に存在できない。


『北境七盟章程』は夕飯前から翌日の朝食まで書いた。


七方は土地、法、内部議会を残す。


晴風は総督を出さない。


共同議事は道路、医療、族をまたぐ貿易と防務だけを扱う。どの決議も少なくとも五方の同意が要り、一方の内部土地に関わるときはその方の同意も要る。


セインは七方の表決で、初代の正式な共同防務官になった。


彼はなお僕に宣誓しなかった。


「任期は二年です」と彼は言った。「七方議事で罷免できます」


「いい」


「短すぎるとは思いませんか」


「旅館の支配人の試用は、たいてい三ヶ月だ」


フィアは風路の総設計者に任命された。


委任範囲は晴風から竜谷、高地、白脊山の安全島五つまで。彼女は名の下に真面目な一行を足した。毎季再測。風が永遠に従う保証はない。


ガルドはそれを見て、病院予算の傍にも一行足した。費用が永遠に従う保証はない。


章程にサインした瞬間、七族管轄と晴風がともに覆う人口が、はじめて登録を終えた。


一万二千四十七人。


数字は空に浮かばなかった。


北境病院の入り口にある七種の寸法の靴、三つの分駅から同時に上がる朝食の煙、竜の背の薬箱、季節市で予約された百六十の屋台になった。


旧風笛亭の今夜のベッドが全く足りないことにもなった。


七盟の成立宴は庭にしか置けなかった。


七つの円卓が帰巣炉から分けた火鉢を囲み、負傷者、工匠、郵送員、薬師、商人が自分で席を探す。祝う者、賠償を話す者、魚汁に樹霊の香葉を入れるかどうかで激しく争う者もいる。


同盟は歌のなかほど荘厳には聞こえなかった。


満員の旅館に近い。


騒がしく、混み、帳が多い。


だが誰も中に錠をかけられていない。


夜が更けてから、僕はフィアと最後の一列の仮敷きを見終えた。


彼女は白脊山でほとんど三日眠らず、それでも各窓の風向を記し続けた。


「朝描いてもいい」と僕は言った。


「明朝の風は今夜の風ではない」


「手が震えている」


彼女は少し止まり、筆を僕へ渡した。


「なら書いて。私が言う」


カウンターの後ろで、炉火が小さくなるまで座った。


アランは柔らかい布の上に横たわり、ひびにはガルドが調合した保護油が塗ってある。傷ではない、「大型歴史功績が残した紋章」だと主張した。


僕は暴かなかった。


明け方、大門が叩かれた。


難民でも商隊でもない。


王都の金羽騎士が一人、門外に立ち、三重の金縁の公函を両手で捧げる。


セインは封印を見て、赤盾の戦書を受け取ったときより真剣な顔をした。


僕は公函を開く。


命令は一つだけだった。


|王国摂政院は晴風臨時管理人天野陸を即刻王都へ召す。王廷の許可なく北境七盟を無断で締結した件を説明せよ。|


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