雷雲の中の最初の風路
行方不明の二匹の幼竜は、一匹がクル、一匹がシアンといった。
クルは雷が怖い。
シアンは雷を恐れないが、方向感覚はフィアより悪い。
その言葉はランゼルが言った。
フィアは古い尖り帽を少し下げた。
「救援中は、私を計量単位にしないでもらえる」
竜谷が空輸を開く条件は、まず普通の貨隊が白脊山の雷雲帯を抜けられると証明することだった。
今、条件は先に子供を連れ戻すことに変わった。
僕らはブルームに乗って山腹へ飛んだ。成体の青竜は中立条約で外国軍を攻撃できないが、族内の幼竜の救援はできる。旧鉱塔の残基のそばへ降ろし、巨爪が着地したとき石板を三枚潰しただけだった。
「前回より進歩した」と僕は言った。
「左爪を特に収めた」
ガルドが首を下げて数える。
「右爪は六枚だ」
雷雲は低く圧していた。
フィアは古い風向記録三十七枚と新しい測図を石台に広げる。すぐ術は使わず、まず紙の羽を十二枚放った。
紙羽は高さの違うところまで上がり、四枚は雲へ巻き込まれ、二枚は山壁に沿って回った。
「主風道が切れている」と彼女は言った。「鉱塔は目印だけではなかった。塔身の風鳴晶が上昇流を三筋に分ける。塔を外した者は晶芯を持っていった」
リシャが断面を見る。
「暴風で折れたのではない。鋸痕が新しい」
ベリーが崖際を行き来した。
「私が入って探す」
「お前は晴天の編隊しか習っていない」とランゼル。
「だから低く飛ぶ」
「雷雲に床はない」
ベリーは黙ったが、尾の先が石を強く叩いていた。
フィアの最初の航標は失敗した。
二つの岩峰のあいだに風繩を張り、持続する気流で銅鈴を鳴らそうとした。雷雲の乱流が一気に降り、三つの銅鈴が同時に逆吹きし、三つの方向を指した。
ベリーは真剣に見ていた。
「シアンはいちばん大きい音を選ぶ」
「どれがいちばん大きい」
「全部大きい」
「じゃあもっと迷う」
フィアは地面にしゃがみ、銅鈴を一枚ずつ回収した。昔なら風が急に向きを変えたと言うところだ。今回は記録だけを見た。
「私の誤りだ。風鈴に飛ぶ方向を教えようとした。雷雲はずっと変わる」
「方向を教えなくていいのでは」と僕は聞いた。
彼女が顔を上げる。
「どういう意味」
「旅灯は人の代わりに歩かない。休める場所だけを教える。航標も安全点だけを示せばいい」
リシャが突き出した黒岩をいくつか指した。
「羽民の暴雪救援は足場島を使う。どの島からも次が見える。直飛は求めない」
ランゼルにはまだ懸念があった。
「幼竜は体重が大きい。黒岩は耐えられない」
ドーンが連れてきた鉱夫が岩層を測り、堅い足場を五箇所選んだ。牛角の工隊が外した旧塔石を運び、樹霊は生きた藤で風鳴晶の破片を固定した。河民が出した藍藻灯は石の隙間に入り、雨に打たれても光る。
風術師が一人で完成した道ではなかった。
フィアも反対しなかった。
各足場に、外へ押す緩い風を一筋設計した。方向を間違えても、風は幼竜を強く回さない。前方の乱流がより強いと知らせるだけだ。
「試飛は誰が行く」と僕は聞いた。
ベリーはもう崖から跳んでいた。
「私!」
「まだ同意していない!」
彼女は赤い翼を広げ、最初の横風で少し傾いた。二番目の足場の前で銅鈴が鳴り、無理にぶつからず、ランゼルに教わったとおり翼を収めて沈んだ。
半刻後、緑の信号火が雲の中で灯った。
最初の安全島は有効だった。
続いて二番目、三番目。
四番目で、信号がなかなか灯らない。
フィアの指が風向図の上で白くなった。
「西側の乱流が早い」
「道を開けられる」と彼女は僕に聞いた。
旅灯が後ろの臨時救援所で燃えている。ベリーは旧風笛亭に泊まったことがあり、帰途のつながりは張り詰めた線のようにはっきりしていた。
僕はアランを抜いた。
「彼女が戻れる方向だけを示す」
「吾はどこまで保てばよい」
「雲を一層抜けろ」
「辛うじて吾に見合うな」
金色の道が帰途に沿って雷雲へ伸び、途中で稲妻に一截、散らされた。アランが痺れるほど震え、僕の腕も針で刺されたようだった。
道は、存在しない安全は作れない。
フィアはすぐ四番目の足場の緩風を直し、リシャが羽民二人を連れて金線に沿い雲へ入った。数息のあと、幼竜の叫びが中から届く。
ベリーがシアンを引きずっていた。
シアンはクルの尻尾を噛んでいた。
三匹の幼竜は、風に乱された赤い実の連なりのように金線を伝って雲から落ちた。ランゼルが迎え、フィアが最後の風を柔らかい坂にした。
彼らは足場に落ち、藍藻灯を四盞ひっくり返す。
ガルドがいない。当面、修繕票を渡す者はいない。
クルの翼には擦り傷があり、シアンは腹が減っただけだった。ベリーが着地して最初の言葉はこうだった。
「緊急補給、食べていい」
「先に負傷者が食べろ」
「私もだ。お腹が傷ついている」
午後、竜谷は成体の輸送竜六頭と看護員十二名を出し、白脊山から晴風までの試験航路を開くことに同意した。
無料ではない。
貨物百斤につき銀貨八枚、悪天候は半額加算、幼竜は商業輸送に出さない。領空は竜谷と羽民が共同で調度し、航標の維持費は使う七方が月ごとに分担する。
フィアは風路の総設計者に任命された。
彼女はその委任書を長く見た。
「『見習い』が書いていない」
「足すか」
「だめ」
「『屋根を吹き歪めた責任者』もない」
「天野陸」
「ん」
「今夜、酸い実をおごる」
彼女にとっては、それが祝いに近いのだろう。
空輸の第一便は、病院が至急要する樹脂と浄水用の藍藻だった。輸送竜六頭が安全島を一段ずつ飛び、どの背にも雲毛の保温箱が固定されていた。
箱が着地したとき、北境病院の退院の銅鈴がちょうど鳴った。
同じとき、白脊山北面の地平でも角笛が鳴った。
リシャが高空から降り、偵察図を薬箱の上に押す。
赤盾公国の三個軍団が旧界標を越えた。
二千四百人、攻城車十六輛。
彼らは空を歩かなかった。
新しく直した軍路に沿い、白脊山へ進んでいた。




