得は同じ紙に書け
赤盾公国の七通の保護条約は、一通ずつ見ればどれも気前がいい。
並べて見ると、主な問題は同じ白脊山が九回贈られていることだった。
「狼人に渡すのは南斜面の駐屯権だ」セインが第一通を指す。
「ドワーフに渡すのは南斜面の永久鉱権だ」とノヤ。
「牛角族に渡すのは冬の牧道の全部だ」ザクロが第三通を押し出す。「駐屯営も鉱坑も、牧道の上に建つ」
ロッドは七つの円卓の外側に座り、表情は変わらなかった。
「異なる契約は、署名の順で調整する」
「つまり後でサインした者が損をする、と」デラが聞いた。
「調整の責任は公国が負う」
「つまり、誰が損をするかをお前たちが決める」
河民の波止場商人は、だがダム条項を叩いた。
「公国が本当に金を出してダムを造るなら、先にサインしてもいい」
デラが彼を睨む。
「ダムは樹霊の根林の出水口に建つ」
「夏に水がないとき、樹霊は根を抜いて貸してくれるのか」
エルカンが冷たく答えた。
「河が堰き止められたあと、先に枯れるのはお前たちの上流だ」
争いは、陰謀が公開されたからといって消えなかった。
赤盾の使者が使ったのは本物の衝突だ。偽造したのは、「もう誰かがお前を害する準備をしている」という一歩だけだった。
僕は白脊山の地図を可動架に釘で止めた。
「項目ごとに印をつけろ。兵営、鉱坑、ダム、風塔、牧道。一つずつ置け」
「晴風は代替案を出すのか」とロッド。
「晴風は壁を出すだけだ」
「何だ」
「地図架もガルドが有料で作った。使い切れ」
フィアがまず領空を描いた。
彼女は竜谷の求めどおり空全体を囲まなかった。色のついた風を一筋放つ。青の気流が山脊を昇り、三つの雷雲帯の前で折り返す。
「幼竜の訓練に要るのは安定した上昇流であって、空の一寸ずつではない。この二塊を残し、羽民の東西郵路は間を抜ける。暴雪季は一条を封じ、もう一条と交代する」
レイシュウが聞いた。「航標が効かなくなったら」
「二系統。地上の灯台と高空の風鈴。私の風だけに頼れば、一度壊れたら全部切れる」
シモハネは不満だった。
「竜谷はなぜ領空を切り刻まねばならん」
ランゼルが答える。「我々も薬と塩を送るからだ。空を独占しても、迷った幼竜は家に帰れない」
ドワーフの鉱図は、なおドーンの手の下に押さえられていた。
アオカエデは全鉱脈の公開を迫らず、七方が測水員を一名ずつ出し、東鉱と地下水の関係を調べると提案しただけだった。
「井戸図は山城に残す。測水データは公開する」
ドーンがしばらく黙る。
「鉱坑が水脈に触れていないと証明できたら」
「根林は休鉱要求を撤回する」
エルカンの枝杖が床に重く落ちた。
「私は同意していない」
「では反対票を投じてください」アオカエデが言った。「私は賛成する」
ザクロは季節市を牧道のいちばん広い緩斜面へ移した。ガンドは毎年屋台を移し、草地を休ませろと求めた。デラは分解できる船板で台を作り、春の増水時には波止場の修理にも使えると提案した。
波止場商人は屋台料が取れると聞き、やっとダム条項から顔を上げた。
どの案も、一度では通らなかった。
地図は消されては描かれ、夕飯は熱いスープから冷たいスープになった。ジェリーは人の隙を見て、ダムを示す青い画鋲を飲み込んだ。
「ダム案は自然否決されたらしい」と僕は言った。
「ぽ」
「スライムに議席はない」とセインが注意した。
「公衆衛生の職位はある」
「水利の議決権はない」
ジェリーは不本意そうに画鋲を吐き出し、ついでに古い銅貨を二枚つけた。
会議は深夜まで続き、やっと最初の、不完全な共同決定ができた。
白脊山の係争事業は三十日停止する。
七方が共同で測量する。
どの側も、単独で外国軍の駐屯を許してはならない。
同盟ではない。
ただ、言い終わる前に、他人に自分の代わりに刀を振らせない、という合意だ。
ロッドが契約を閉じた。
「赤盾公国の提案はなお有効だ。各位は私下で再考できる」
カロがノヤを見る。
狼人の兄妹は、すぐには答えなかった。
ドーンも鉱権の頁を何度もめくった。
僕は彼らの代わりに拒まなかった。
翌日の正午、十四名の代表がそれぞれ表決札を卓に置いた。
駐屯の問題で拒む者、領空で拒む者、赤盾の違約仲裁が公国の首都でしか行えないと考えるだけの者もいた。
理由はそれぞれ違った。
結果は、七つのテーブルのどこにも署名が残らなかった。
ロッドは立ち上がっても、礼儀を保っていた。
「北境は保護を拒んだ。これから起きることは、各位が自ら負うべきだ」
セインが退室精算の一覧を渡した。
「窓枠の擦り傷が二室、急須の欠けが一つ、夜食費用が銀貨十二枚。保証金の不足分は追納を」
ロッドははじめて笑みを失った。
「急須は使節団が壊したのではない」
「原則として、入居者が立証する」
「例外条項は」
「当店にはない」
使節団は銀貨四枚を足し、午後に晴風を出た。
彼らは失敗を持っていかなかった。新しい命令だけを持っていった。
二日後、北境の、赤盾公国を通る薬草車はすべて辺関で差し押さえられた。
理由は再検疫だった。
樹霊の解熱樹脂、竜谷の止血苔、河民が浄水に使う藍藻、一車も出てこなかった。
ルミラは旧風笛亭の食卓を臨時の棚卸し台にした。
「晴風の常用薬はあと八日持つ。狼人の商路は五日。牛角牧場は最近蹄熱が出て、三日分しかない」
「根林はどれだけ出せる」と僕はアオカエデに聞いた。
「薬草はある。薬を扱う人と、きれいな病棟がない。以前、七方は重傷者を公国の辺城へ送っていた」
「今は入れない」
「入れたとしても、商人を捕まえたばかりの辺境砦へ、誰が負傷者を渡す」
ガルドが腕を組んで壁際に立っていた。
「病院は建てられる。金、土地、器械。三つのうち二つ先に出せ」
デラが言った。「河民は水路と洗浄を出せる」
アオカエデが言った。「根林は薬師と薬草を出す。だが鉱炉の煙を病棟の近くへは寄せられない」
ドーンが鼻を鳴らした。
「手術鉗子も、病床も、蒸し鍋も、どれが鉱炉なしで済む」
争いは、場所を替えただけだった。
今度、卓の上にあるのは領土ではない。
三日後に尽きる解熱薬だ。
僕は旧風笛亭の、使っていない部屋鍵の束を取り上げた。
「まず新しい棟は建てない」
「じゃあ病院はどこに」とフィア。
僕は第二巻で直した東倉庫を見た。
「まず宿泊客を出す」
旧風笛亭には今夜、長期客が四十七人いる。
臨時病棟を空けるなら、先に彼らへ伝えねばならない。
まだ始まっていない戦争のせいで、明日、元のベッドはない、と。




