地下は迷宮ではない
新しい校舎の下に入口が出たあと、冒険者ギルドは一日で申し込みを四十三件受け取った。
うち三十七件に「迷宮探索が得意」と書いてある。
昨日の登録では、この者たちは護衛、羊探し、料理、靴直しが得意だった。
「職業適応力が高い」フィアが言う。
「宝箱適応力の方が高い」
セインが入口を封じる。
「地下構造は不明。原則として無断進入は禁じる」
「例外条項は」ガルドが聞く。
「建築、道路、安全の人員で調査隊を組む」
結局、僕たちだった。
僕、フィア、ガルド、セイン、隻眼の弓手、灰耳の若者ロック、それに防水桶へ入れられたジェリー。
「なぜこれを連れる」アランが聞く。
「地下に汚水があるかもしれない」
ジェリーが桶の中で激しく揺れる。
「わかったらしい」
黒石の扉の向こうの階段は広く、勾配は緩い。地下牢というより、車が通るためのものだ。壁には二十歩ごとに、消えた黄晶灯がある。
フィアが微風を送る。
「空気は通っている。前方に出口が少なくとも二つ」
ガルドが壁を叩く。
「天然の岩層はない。全部、人工の補強だ。こんな金を地下に埋める建造者は、予算が大好きだったに違いない」
「予算を自分で払っていないのかもしれない」
三層まで下りると、分岐が出る。
左に剣と盾の印、右に車輪、正面は方形の箱。
隻眼の弓手は先に剣盾へ行けと言う。「武器庫だ」
ガルドは車輪へ行けと言う。「工房だ」
フィアは方形の箱を気に入る。「宝庫かもしれない」
セインは壁際の古字の翻訳に失敗し、「維持」の二字だけを読み取る。
アランは三本の道に同時に引かれる。
「どれも本物の道だ」
「今の一文は助けにならない」
最初の選択は、剣盾の方だった。
扉が開くと、金属の仮人が三十体、盾を挙げて突っ込んでくる。
隻眼の弓手が関節を射て、矢は弾かれる。セインが最初の盾を支え、僕はアランで仮人の足元の方向術式を割り、隣の仲間へぶつけさせる。フィアの風が最後の二体を扉の中へ押し戻す。
ガルドが後方で叫ぶ。「核は斬るな! 完品は高い!」
「止め方を先に言え!」
ロックが壁際に黄色い維持線を見つける。戦闘へ飛び込まず、線に沿って制御桿へ触れ、全身の重さで押し下げた。
仮人が揃って止まる。
最前列の盾は、僕の鼻から半尺しか離れていない。
壁に一行の字が灯る。
セインがしばらく判読する。
「道路障害の衝突試験区」
「守衛ではないのか」
「荷車の護板を試験している」
隻眼の弓手が弓を収める。
「なら俺の矢は何だ」
「試験への自発参加だ」
地下は怪物の迷宮ではなかった。
古代の交通修理庫だ。
車輪の印の向こうは工房、方形の箱の向こうは部品倉。金貨はない。錆びた道具、道路圧石器、灰布を掛けた魔導牽引車が三台、並んでいるだけだ。
牽引車に駄獣はいない。底部に風鳴晶の輪組が嵌まっている。運転台には前進、停止、方向桿だけがある。
「直せ」ガルドの目が輝く。
「金は?」と僕は聞く。
「神聖な瞬間に、そういうことを聞くな」
需要は実際的だ。
旧王道がいちばん遅いのは草掃きではない。悪い区間の圧実と、故障車の牽引だ。駄獣を使わない修理車一台で、職人を何十人か省ける。
ガルドは三台を分解して一台に組めと言う。
フィアが反対する。「晶輪には安定した風向きが要る。導風槽をまちがえれば、車はその場で回るだけ」
セインは使用説明を先に復元しろと主張する。
ロックは部品倉に色の違う維持札を見つけ、車上の印と対応しているのかもしれないと言った。
最初の修復は、ガルドの案でいちばん良い部品を一号車へ載せた。
風鳴晶が灯る。
車が動く。
遅く、止められない速さで後退し、扉を二枚開け、衝突試験区の仮人三十体をまた全部起こした。
「停止桿がなぜ効かない!」セインが車を追う。
フィアが箒で運転台へ飛び乗る。
「これ、停止じゃない。後方の風槽の切り替え!」
「戻せ!」
「戻した。今は後ろが前だと思っている!」
僕はアランで車輪の下の本物の走行方向を見、一剣で誤った導風線を切る。車はようやく止まり、地下水槽まで一歩だった。
ジェリーが桶から頭を出し、水槽を見て、また引っ込む。
「最初の実行に、小さな面倒があった」ガルドが言う。
「『小さな』の寸法基準を統一する必要がある」
部品が揃っているだけでは足りない。
魔導車は風向き、輪組、地面の誘導線を一式の系として扱う。ガルドが構造を持ち、フィアが方向を持ち、ロックが維持札どおりの古代の交換順を見つけ、セインが一条ずつ記録する。
僕はガルドの構造感とフィアの風感を同時に借りる。
今度は核に触れず、アランで方向槽を塞いでいる古い結界だけを剥がす。
二号車が先に戻る。
十歩、前へ歩き、止まる。
また十歩歩き、曲がる。
ガルドが車の前に立ち、道を譲らない。
「制動試験だ」
「石を置けばいい」
「石では設計者の自信が見えない」
車は彼のひげの前、二寸で止まる。
彼は振り返って宣言する。「使える」
さらに三日かけて、残りの二台を直す。
一台は道路圧実車、一台は故障した荷車の牽引、三台目は地下に残して分解学習する。速さは牛車より遅いが、昼夜、一定の牽引を保てる。
旧王道の工事は、すぐ変わった。
圧実車が晴風北門から出、ガルドの職人が砕石を敷き、車輪が続いて圧す。初日は一里半だけ、二日目は交代後に三里へ達した。軟土に出会えば河妖が先に排水し、灰耳の職人が乾いた材料を敷く。一台にすべての地形を任せない。
学校の基礎は、それで止まらなかった。
入口は校舎の側院に残し、将来の道路修理課程の実習庫にする。生徒はまだ入学していない。最初の成人見習いは、すでに車について部品を覚え始めている。
道路期限が四十二日残ったとき、晴風は白楊河口の分駅を完成させた。
古い税小屋の最初の改修は雨漏りし、宿泊客が真夜中に布団を抱えてカウンターへ上がった。二度目は基礎を上げ、排水を作り直し、もとの料金窓を宿泊登録窓に変えた。
三盞目の旅灯はまだ点いていない。だが分駅三箇所の形は、すでに揃っていた。
その夜、修理隊が旧風笛に泊まる。
客室が足りず、広間を夜番の見習いへ分け、退勤の時刻で湯をずらす。厨房は夜番に熱いスープを残し、鍵札の裏に魔導車の番号を刻む。客室の鍵を運転台へ挿す者が出ないようにだ。
ベリーが本当に一度、試した。
「大きさが同じ」
「扉は自分で走らない」
「車も扉を開けない」
もっともだが、鍵は回収した。
真夜中の巡房で、ジェリーが井戸の方からすばやく広間へ跳んでくる。
全身が青から赤へ変わり、倉庫の方向を休みなく叩く。
反響レンガの警報が、すぐ続く。
一分間の録音の中で、見知らぬ男二人が低く確認している。
「三日後、夜番を替える。先に扉を封じ、糧倉を焼く」
最後の声が一句、足す。
「アイザック会長が欲しいのは交渉だ。死人は出すな」




