仲介のない市場
ドワーフ山城の宿屋は、身長で料金を取る。
少なくとも、最初はそう理解した。
カウンター後ろの女ドワーフが、ガンドの角、ランジャの翼幅、フィアの帽子を測り、三種類の付加料金を出した。
「扉枠の保護、羽毛の掃除、高空の帽子掛け」
「普通の人間は」と聞く。
「壊さなければ、足さない」
アランは満足そうだ。
「古代遺物を尊重する宿屋が、ついに現れた」
女将がそれを見る。
「話す兵器、夜間の騒音保証金は銀貨二枚」
僕が代わりに払った。
車隊は着いた。荷は、自分では金にならない。
山城の市場はもともと、金穂商盟が倉庫を三列、押さえている。外来の商隊に商盟の証憑がなければ、城壁外の雨除けで店を出すしかない。一日の場所代は銅貨二十枚。
「銅貨二十枚?」商業ギルドの随車会計が算盤を折りそうになる。「青麦鎮は三枚だ」
市場官が雨除けを指す。
「ここの屋根は頑丈だ」
言い終わるか終わらないかで、石瓦が一枚落ち、空き店へ当たる。
「去年は頑丈だった」
金穂の現地支配人が、その日のうちに僕を訪ねてきた。
「月豆は一袋銀貨一枚、煉瓦は百枚で銀貨三枚」宿屋の食堂で値段を出す。「晴風が今受け取っている見積もりより二割高い」
「山城の小売は」
「商盟内部の情報だ」
通りを一周、聞いて回る。
月豆は一袋、銀貨三枚半。
防音レンガには同類がなく、鉱夫の宿舎、鍛冶場、夜勤の家庭が興味を示した。百枚に銀貨八枚を出すと言う者もいる。
「晴風の荷が要らないんじゃない」フィアが言う。「ここの値段が見えないことに慣れているだけ」
「だから自分で売る」
初日の出店は、すぐに失敗した。
防音レンガの試験壁を雨除けの下に積み、横で鍋を支えて月豆スープを煮る。歌うレンガは客寄せを担当し、ゴブリン劇団がいちばん大きく録った一句を流す。
「通ります通ります——」
山城市場の石壁三十面が、同時に残響する。
「——お見逃しなく——なく——く——」
鍛冶通りの者は鉱崩の警報だと思い、ドワーフ五十人が槌を提げて飛び出してきた。市場官は銀貨一枚の罰金を科し、拡声設備をすぐ撤去しろと命じた。
ガルドはまったく納得しない。
「三筋の通りまで届くのは、品質だ」
「宣伝が効くほど、罰金は正確になる」
二番目の問題は、信用だった。
金穂商盟は何年もの納品記録を出せる。こちらには霧泥だらけの車が七台あるだけだ。鉱主は次の煉瓦が途切れるのを心配し、パン屋は月豆の湿度が不安定なのを心配し、高額の手付を先に払う者はいない。
荷を分け直す。
一人の商人が車ごと買い取るのを待たない。
月豆は統一した木升で小売りし、協同組合の湿度記録を店先に掛ける。防音レンガで小屋を二軒組み、買い手が片側で鑼を叩き、反対側で効果を聞けるようにする。ガルドは敷設の教えを出すが、見積もりを材料、手間、酒代の三欄に分けた。
「なぜ酒代を別にする」と聞く。
「透明だからだ」
車隊は毎日、残在庫と帰路の運賃を公開する。十枚だけ買う者もよく、混載したい者は一台を共同で持つ。
フィアが歌うレンガを、二歩以内でしか鳴らないように直す。
「方向制御」彼女は言う。「前からできる」
「一昨日、山城の者も聞いた」
「今を大事にさせるため」
三日目、荷は半分売れた。
四日目、鉱夫の家族が連合で防音レンガ二千枚を注文する。
五日目、山城の学校が月豆を冬の口糧として注文し、古い道具一式で代金を相殺したいと申し出た。
現金は全部受け取らなかった。
晴風の道路工事には鉄の突き棒、輪箍、魔晶錐が足りない。学校には机と椅子、鍛冶の騒音が届かない教室が一室足りない。最後に道具二十箱、古い荷車四台、現銀金貨六枚を得た。
「金貨六枚で学校は建つか」フィアが聞く。
「半分だ」
「なら屋根のある半分を先に」
「生徒は上半身だけ入るのか」
彼女は本気で少し考える。
「風を防げる教室を先に」
山城の職人ギルドは金貨三枚の追加融資に応じた。条件は晴風の鉱石独占ではなく、晴風の学校が毎年、ドワーフ以外の職人見習いを十人受け入れ、ドワーフが農業、記帳、風路を学ぶのも認めることだった。
ガルドが最初に反対する。
「職人の課は少なくとも五年だ。十人では少なすぎる」
学校の準備係が言う。「基礎学校だ。お前のひげ彫刻学院ではない」
「ひげは構造美学に関わる」
長いあいだ争い、最終の課程は読み書き、算術、道路常識、基礎工芸、そして自由選択の栽培、演劇、飛行理論になった。種族は課程を決めず、年齢も決めない。最初の申し込みには灰耳の子供もいれば、記帳を学びたい四十歳の牛角車夫もいた。
帰路の前、霧谷西口の猟師小屋を見つける。
主人はトーマンという人間の老猟師だった。家を晴風へ渡すのは厭うが、横の廃倉は貸すと言った。
「宿屋の店主にはなりたくない」と彼は言う。
「灯を見、登録し、緊急の水と糧を出せる人がいればいい」
「迷った人間は面倒だ」
「たしかに」
「金も借りる」
「それもたしかに」
「なぜ勧めない」
「言っていることが、全部正しいからだ」
彼は少し黙る。
「月の借り賃は銀貨五枚。獲物を、お前たちの客に驚かされるな」
最初の倉改修で、旅灯を中央へ置いた。煙道が短く、火を入れた瞬間、全員が煙で外へ出された。
ガルドは屋根を壊して建て直せと言う。
トーマンが猟弓を抱えて門前に立つ。「瓦を一枚壊せば、銀貨一枚増しだ」
フィアは横へ煙を導けと言い、セインは隣の猟師の家へ吹き込みかねないと指摘した。最後に河妖が沈灰の水槽を造り、煙道を古い塀に沿って風下へ回し、羽民が屋根に低い風標を足した。
倉にはベッドが八床しかない。
トーマンは食事を出さないと譲る。密閉した糧櫃を置き、宿泊料に堅い餅一枚と湯を含めた。当直は羽民の郵送隊と猟師が交代し、帳簿は十日ごとに晴風へ送って公開する。
最初の夜、車隊の者、トーマン、羽民二人が炉端で月豆の煮込みを食べる。
明日もここに泊まりたいと、本気で思う者がいた。
炎の中から、二盞目の金色の旅灯が分かれた。
晴風へ戻るとき、七台は十一台になっていた。
鎮の者は北門で暗くなるまで待つ。学校建設の資金金貨九枚、道具、鉱石、山城の注文を持ち帰る。車隊の者は最初の公開分配を受け、延払いの給与とリスクの収益をまとめて清算した。
宿屋の広間に、新しい料金札が掛かる。
白楊前駅、霧谷西駅、ドワーフ山城、三地の連泊は九割引。
その夜、宿泊登録は庭まで並んだ。仕事を求める車夫、職人、小さな商人が家族を連れ、新規の長期宿泊申請だけで百四十七件あった。
晴風は、荷を売る場所だけではなかった。
道の真ん中になり始めていた。
翌日、冒険者たちは宿屋の壁の依頼を、一枚ずつ引き剥がした。
最後の紙の裏に、金穂商盟の告示が刷ってある。
|晴風ギルドで任務を受ける者は、北西七城の冒険者ギルドがその経歴を一時停止する。|




