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銅貨一枚で廃駅舎を買っただけなのに、魔物の荒野で国ができてしまった  作者: Karr


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24/83

最初の旅灯

暖炉の火は、ほんの少ししか明るくならなかった。


堅い餅を一枚、焼くのに足りる。


二十七人が囲んで、食べていいか争うのにも、ちょうど足りる。


「古代術式の反応よ」フィアが炉の前にしゃがみ、鼻先が危うく火に触れる。「食べ物を勝手に入れないで」


ガルドはすでに一片を割っていた。


「味は変わらん」


アランが厳かに言う。「四十年前へ送られたら、本駅の郵便車を急かしておけ」


火は広がらず、帰巣炉のように建物全体を感じさせもしなかった。頭の中に、ごく薄い方向だけが残る。旧風笛は南にあり、道は安全だ。


夜が明けても、その感覚は残っていた。


「分炉ではない」と僕は言った。「路灯に近い」


七号がカウンター後ろに立つ。


「本駅の暖炉の設計用途には、夜間誘導が含まれる」


「これから旅灯と呼ぶ」


「名称変更には授権が要る」


「臨時の別名だ」


「許可する」


出発前、チェックアウトをする。


七号の点検は細かい。手拭い二十三枚、鍵十二本、ガンドがつなぎ合わせたベッド二床、そしてアランがこっそり枕元の棚へ入れろと要求した高級剣油。


「三号室で遺失物を発見した」それがフィアに紙の巻を渡す。


「遺失じゃない。室内の戻り風を測るために、わざと置いたの」


「旅客が退室後に携帯していなければ、遺失だ」


「じゃあ今、出なければ?」


僕は彼女を扉の中から引き出す。


「あとで戻る。先に七号に預かってもらえ」


七号が遺失札に書く。|用途不明、主人が遺失を拒否する紙一巻。|


旅灯は道を直さない。糧も作らない。


だが、それが伝える方向に沿えば、帰りに結界へ埋まった路盤から一度も外れなかった。アランが石板を探し、フィアが風旗を立て、ガルドが悪い区間を標す。速さは昨日の二倍だった。


需要が変わった、ということだ。


道を一度に敷き切る必要はない。区間ごとに方向を示し、風雨を凌ぎ、先を確認できる足場があれば、車隊は通行しながら維持できる。


晴風へ戻り、この考えを臨時議会へ持ち込む。


商業ギルドは旅灯を有料倉庫へそのまま入れたがった。


「倉敷料を払った者だけが方向を知る。収入は安定する」代理会計が言う。


ルミラが反対する。「命を救う路標を、先に積荷表で調べてはいけない」


ガルドは全石の分駅を造り、二層の矢塔と時刻を告げる便所を付けろと言う。


「金は?」と僕は聞く。


「毎回、俺の台詞を先に言うな。仕事がしにくい」


フィアは旅灯を高塔へ掛け、羽民が空から見えるようにしろと主張する。


「暖炉を塔の頂へ?」セインが聞く。


「煙道を風標にできる」


最初の試験で、鎮北の空地に仮の石炉を積む。


住民十八人が一緒に食事し、一晩泊まり、翌日も晴風に残ると言った。条件は主炉の認定と同じなのに、火はまったく反応しない。


フィアが風を足す。


ガルドが風鳴晶を替える。


ベリーが自ら火を噴き、昼食の鍋底を焼き抜いた。


「火の問題ではない」僕は一面のスープを見る。「何かが足りない」


アランが言う。「白楊前駅は、本物の駅舎だ。通る者を待つ人がいて、ベッドがあり、登録があり、閉じられる扉がある」


空地の石炉には何でもある。それを住処と呼ぶ人間だけがいない。


「旅灯は灯台だけではだめです」ルミラが言う。「人が手入れする足場でなければ」


案は、すぐ高くなった。


分駅三箇所にベッド、井戸、糧倉、厩、管理者が要る。晴風は今、道すら直せない。


「既存の建物を先に使える」セインが古い地図を広げる。「白楊前駅が最初だ。白楊河口には廃税小屋があり、霧谷西口には猟師小屋がある」


「税小屋にベッドはない」ガルドが言う。


「猟師小屋に井戸はない」ルミラが言う。


「だから先に手紙を送る。誰が手伝えるか確かめる」フィアが屋根を指す。「空路は地面の完成を待たない」


その午後、羽民三十人が旧風笛へ面接に来た。


第一巻の移住隊について定住した者たちだ。普段は工房で軽い荷を運び、迷った綿雲羊を探す係もいる。先頭の羽民はランジャといった。右翼に風切が二本欠け、話す速さはセインより遅い。


「郵送隊は作れる」彼女は言う。「ただし件数払いには応じない」


商業ギルドの者が、言葉を失う。


「多く送れば多く稼げる。よくないか」


「暴風の日がいちばん難しい。件数はいちばん少ない。件数払いなら、安全点検を避けろと人を追い込む」


若い羽民のアオバは反対した。「固定給はのろい郵便を養う。私は件数払いがいい」


三十人が、先に自分たちで喧嘩を始めた。


ランジャは安全を譲らず、アオバは効率を譲らず、切手を描くだけで遠路は飛びたくない羽民も二人いた。種族の利点は、統一した答えを出してくれなかった。


最初の勤務表も失敗する。


アオバは手紙を三通多く送るため、日没前に白楊前駅を二往復した。二度目の帰りに、宿屋のシーツを干す縄へ突っ込み、シーツ六枚を抱えてジェリーの掃除桶へ落ちた。


ジェリーの「ぽ」は、たいへん不満だった。


フィアが彼の翼を見る。


「もう一便飛べば、明日は足で送ることになる」


最後に、基礎日給に遠距離手当を足し、暴風と夜航は別に数えることにした。一人一日、遠距離は最大二区間。フィアが風況で通行札に署名する。郵送、道路観測、分駅補給はまとめて組み、件数を増やすための重複飛行はしない。


「勤務は公開、手当も公開」セインが規約に印を押す。「例外条項:緊急救援に上限はない。ただし帰還後は強制休息」


アオバが長いあいだ見る。


「三便は飛べると思う」


ランジャがゆっくり言う。「先にシーツ六枚を弁償しろ」


郵送隊ができた最初の夜、旧風笛に空き部屋はなかった。


三階の雲毛置き場を空け、低いベッドを十五床敷く。羽民の睡眠には横木が要る者もいれば、敷布団を好む者もいる。ガルドが夜通し木枠を二列釘打ちし、急ぎ工事として銀貨一枚を請求した。


「鎮庫が出す」


「今回は値切らないのか」


「明朝、三十通が出発する。荷物を掛ける鉤を、もう一列足せ」


一人ずつ鍵を渡し、緊急連絡先と食事の禁忌を登録する。ランジャは窓際を望み、アオバは干す縄の近くを固く拒んだ。切手を描きたかった二人の羽民は信袋の整理を任せられ、旧風笛の屋根が漏る絵柄を本当に描いた。


「なぜ漏りを描く」と聞く。


「わかりやすいから」


反論できない。


翌日、三十の影が宿屋の屋根から上がる。


白楊河口へは税小屋改修の寸法を運び、霧谷の猟師へは協力の誘いを運び、青麦鎮へは最初の直通便を運んだ。旅灯の微光が旧王道に沿って点き、羽民が風の中で路標を一つずつ校正する。


十日目、晴風は二十一里の道を掃き出した。


白楊前駅が、本物の旅人を迎え始める。七号が最初の営業票を送り、宿泊三人、馬換え一頭、危険物アランを普通荷物に分類するのを一度拒否、と書いてあった。


道が、呼吸を始めた。


同じ日の午後、商業ギルドが一車の歌うレンガを、封を切らずに鎮へ引き戻した。


ルミラが荷箱に貼られた見積もりを裂く。


金穂商盟が北西全体で、同時に値段を変えていた。


歌うレンガの買い取りは六割下がった。


雲毛の織物は五割下がった。


月豆は、去年の市価の三分の一しか残っていない。


見積もりの末尾には、アイザック会長の金色の麦穂印が押してあった。


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