48 魔界にて(エルス視点)
久しぶりのエルスです。なんかあんまりヤンデレてない?
リオナが学園に行く前の修行の仕上げということで、ミラがかつて行ったことがあるという、魔界に送られる事になった。
魔界というと、人によっていろんなイメージを持つとは思うけれど、俺たちの住む世界にとっては、地よりさらに下に位置する世界らしい。
その意味は、実際に魔界に行って理解したけれど。その話は後でしよう。
魔界に行く話が出た時、そこには提案したミラと、ミラに教えを乞うている俺とリオナがいて、ミラは当たり前のように、俺たちを一緒に送ると提案した。
しかし、それぞれ、裏には別の思惑があって……。
リオナはミラから、騙して俺だけ魔界に送るのだという説明を聞いたようだ。
それに、フェンリルのポッポも共犯で、俺は騙されるという筋書きだった。
筋書きだった、ということは、当然それは真実ではない。
ミラから聞いた話。
あのユウシャの剣は、魔界で手に入れた魔剣だという。
そして、ユウシャと共に魔界に入ったミラは、そこで世界の真理に触れられそうだった……らしい。
だから、俺には魔界に行きたい理由があった。
俺は、知るべきだと思ったから。
蛇……。
ミラも危惧していた蛇という存在。
あれが俺たちの運命を狂わせた。
まるでアイツの手のひらの上で踊らされるように、俺はアイツの思惑通りに行動した。
最後のあの瞬間、アイツを殺して、ビッチを殺したことだけは、アイツの思惑を外れていたと思いたいけれど、こうして転生した今となっては、それも自信がない。
もし、今回のことを仕込んだのがあの蛇だったなら?
何もわからない今の自分で、アイツを出しぬける自信がなかった。
なにか起きる前にリオナを殺すことも考えたけれど、何度も死んだ記憶のある今の俺にとっては、死はあまりに身近で無意味だ。
だから、俺は知らなければならないと思った。
リオナの傍を離れることに不安がないといえば嘘になるけれど、あのビッチが俺を裏切るのならば、その時こそ殺してリセットすればいい。
答えはひどく単純で明快。
そこにミラが保険をくれた。
俺を騙して魔界に送ったことにしておこう、と。
そうすれば、騙した俺の帰還を怖れるリオナは、傍にはいない俺の影を感じて、少しは自重するかもしれないと。
正直、あのビッチがそんなかわいいものかとは思ったけれど、そういうことにしておいた方が後々都合がよさそうなので、俺はその話に乗ることにした。
そして俺は今、魔界にいる。
魔界は……俺たちの住んでいた世界から見て、地の底にあった。
いや、その表現はおかしい……。
魔界から見て、俺たちの住む世界は空に浮かんでいた。
魔界は地の底ではない。魔界は惑星で、俺たちの住んでいた世界は、衛星のようにその星の周りを回っている。
これが世界の真理だというのだろうか?
今リオナのいる世界の端は切り立った崖になっていて、海の水が滝のように落ちて、この魔界に降り注ぐ。
ここが魔界であるなら、あの世界はなんなのだろう?
魔界に住む者たちは、あの空に浮かぶ大地を『空国』と呼んでいた。
第1章ここまでとなります。次回はいきなり中等部の予定ですが、毎日更新意外と大変なので、次回から不定期更新にしたいと思います。そのかわり、一話をもうちょっと長めにできたらいいなぁ、って感じです。




