44 灯台もと暗し
どんどん1話が短くなる気がする……
パンを食べて、心もお腹も満たされた私は、公園の木々を見上げた。
けして森などではなく、整備された木々は、人にとって気持ちがいいように枝を落とされ、風が心地よく抜けるようになっている。
「ここ、超いいだろ? 気に入っちゃったみたいな感じ? もう夜までいちゃう?」
「あー、それもいいかも……だね」
のんびりは正義。
まさかそう返されるとは思わなかったのか、ボアは目をまたたいて苦笑した。
「もしかして、疲れちゃってる感じ? ストレスガー?」
「……ストレスガーって何?」
「ストレスがガーってある感じ。アリゲーターガー、スポーテッドガー、ストレスガー」
前の二つは熱帯魚かなにかじゃなかったか?
「ストレスガーはともかく、のんびりしちゃうとのんびりしちゃうよね。春の陽気に朝起きられないのと一緒で」
「あー」
説得力があったのか、ボアは納得したようだ。
とはいえ、今日はいちおう案内してもらうためにここに来たんだよね。
「それで、これからどこ行くの?」
「とりあえず、王城の入り口でも見に行く感じ? グール王子のお実家って、超キテるんじゃね?」
あの遠くから見えてたヤツか。
それはたしかに、間近で見てみたいかも。
「じゃ、行こうか。案内してくれる?」
私は立ちあがって、スカートについた草を払った。
緑地公園から、王城の入り口までは、巡回馬車を利用する。
巡回馬車というのは二頭立ての馬車で、魔法で車輪の摩擦力なんかを極力押さえていて、10人ばかり乗車しても、軽やかな走りを見せた。
家から王都まで来た時の馬車は、クッションがいいだけで速度は普通だったので、この差につい卑屈になってしまう。
どうせ私は田舎者だよ、と。
市街地って聞いてここに来たけど、王城のあるここはただの市街地ではなく王都なんだよな、とか、しみじみ思ってしまう。
巡回馬車を降りて、間近に見た王城は、その気持ちをさらに強くした。
大河のような堀、見上げるばかりの塀、そして……。
「王城は?」
「残念! セキュリティ上の問題で、近くまで来ると見えなくなる的な?」
的な、じゃのわい!
だったらなぜ連れてきた!?
思わず唸る私だった。
サブタイトル出オチしておきました




