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私とストーカーと魔法の学校  作者: WLCノベル
第2章 初等部
41/59

40 デートへGO!

 王立魔法学園は特に全寮制というわけではない。

 しかし立地条件は市街地を遠く離れ、ほとんどの者が寮に入っているため、通いの生徒は本当に少ない。

 奨学生が寮に入るのは無料というのも、その大きな理由だろう。


 そんなわけでなのか、ボアもやっぱり寮に入っていて、朝は校門で待ち合わせをし、学校から一緒に出かけることとなった。


「お、ほんとに来た。まだ時間じゃないよ。期待しちゃった感じ?」


「うん、待たせたら悪いと思ったんだけど、ボアはもっと早かったんだね。待たせてごめん」


「ノープロブレム。待っている時間もデートの時間、それもいい想い出にする、俺イケメンじゃね?」


 いや、うん、せっかくイケメンになれそうな台詞浮かんでるのに、いろいろ台無しじゃね? とは思います。


「ボアくんはやさしいんだね。それじゃあ行こうか」


 私が良識を持って返すと、なぜだろう、ボアはククッと笑った。


「何?」


「いやいや、これはこれで、ありなんじゃね、的な。クク……」


 意味不明だし、気味悪いんだけど。


「ま、行こ。久しぶりなんだし」


 久しぶり?


「久しぶりって?」


「あ、あーーー、言ってなかったかな。俺の家この近所だから、近くの市街地は俺の庭的な?」


 ふーん。

 間のとり方が不自然だった気もするけど、とりあえず今は流しておこう。


「そうなんだ。だから案内を申し出てくれたんだね」


「ああ、せっかく友達になったんだし、リオナにも俺の育った町を見てもらいたい、なんて、これ、ほとんどプロポーズじゃね」


「フフ、ボアくんって楽しい人だね」


 ツッコミ禁止。ツッコミ禁止。


「リオナもな」


 ボアはうれしそうに笑って、私の手をとり駆けだした。


「ちょっ、わっ」


 抵抗する理由もないので引かれるまま走ろうとしたら、躓きそうになった。

 それをボアは腕をひいてフォローして、


「大丈夫、お嬢さん」


 かっこつけているが元凶が言うことではない気がする。

 それでも、


「うん、ありがとう」


 ツッコミを我慢した私は、笑顔で返した。

 こんなんが一日続くかと思うと、思わず先行き不安になる。

 むしろバラした方が楽なんじゃないかと思い始めた時、校門脇の通用口のようなところに到着した。


 校門は大きく重厚なので、貴族の馬車がくるとか、そういうことでもない限り開けられることはない。

 その代わりに利用されるのが、この通用口で、セキュリティ上の理由で騎士が数人張り付き、外に出るにも中に入るにも、生徒手帳の提示が義務づけられている。


 前日レイスが説明してくれたように、休日と言えど学校の外に出かける者は少ないので、一人一人確認して、記帳しても、特に手が回らなかったり、混雑したりということは起きないらしい。


 実際今のこの瞬間外に出ようとしているのは、私とボアの二人だけのようだ。


 私たちはそれぞれの生徒手帳を提示して、学校の敷地外に一歩踏み出した。

 そういえば、校内は高い塀に囲まれているし、来る時は馬車を利用したので、学校の外をゆっくり見るのはこれが初めてだ。


 外は、高台になっていた。

 市街地はたしかに遠いが、高台からその場所は見えて、その景色が一望できた。


 まず目を引くのは、町の中心、堀に囲まれた王城だろう。

 バッキンガム宮殿のように重厚で威圧感のある大きな城の周りは、美しい模様のように見える広々とした庭となっており、カラフルなのは花だろう。

 その外側は樹木で作られたラビリンスとなっており、塀があって堀がある。

 堀の外は、アパートのような建物や、剣術の練習場らしきものが見え、恐らくは騎士の宿舎かなにかだと思われる。

 そしてまた塀があり、堀があり。

 その外側は畑だ。あまり広くはないが、籠城する時にはきっと重宝するのだろう。

 そしてまた塀があって、堀がある。


 一般の人が住んでいるであろう市街地は、その外だ。

 遠くからではよくわからないが、大きい建物の並ぶ区域と、細々とした建物の並ぶ区域があって、なんとなく貧富の差を感じてしまう。


「お、何、見とれちゃってる感じ? この景色、君にプレゼントしちゃう?」


 ボアに声をかけられて我に返る。

 あまりの絶景に、アッチの世界へ行ってしまっていたようだ。


「ごめん。あまりにすごい景色だから、ビックリしちゃって。市街地ってあそこ?」


「そう。結構距離あるから魔法つかっちゃおう」


「え?」


 ボアがとりだしたのは……。


「スケ……ボー?」


 コロをつけたサーフィンボードのような板。

 それにボアが乗って、私にも乗るよう促した。


「でも……」


「これでいかないと、今日中に行って帰って、時間、間にあわないっしょ? さあ、乗った乗った」


 た、たしかにあの距離だと、すごくぎりぎりな気がする。


「えと、でも帰りは……?」


 行きはこれで行くとして、帰りはシャレにならない上り坂なんじゃないのか?


「だぁーいじょうぶ。帰りは超リッチなセレブばりに馬車利用するから、無問題」


 なる……ほどね。


「……落とさないでね」


 私は覚悟を決めて、板に乗った。

 落としたら殺す!


「しっかり、つかまっちゃって!」


 ギュ。

 言われた通りボアの腰にしがみつくと、ボアが地面を蹴ったりすることもなく、板が勝手に動きだした。


 ぬあっ、うひ!


 そういえば、言っていた。

 『魔法を使う』と。


 この板、魔法具か!!!

魔法具だけど、上り坂を登るパワーはないようです。

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