36 グール王子とユウシャ様
今回短いです
お昼休み、私は予定されていた通り、グール王子の元に引きずられてきていた。
学年はひとつ上、クラスはAクラス、そして、
「リオナ!?」
そのクラスにはユウシャもいた。
……っていうか、一度ちょっと会っただけの相手の顔なんて、さっさと忘れればいいのに。
「知り合い……ですか」
レイスの声が尖っている。
「あー、えーと……」
「グール、どういうつもりだ。まさかリオナが俺にとって大切な存在だと知り、昨日の仕返しをしようと……」
こらーーーーーーーーーー!!
「あ、あの!」
私は慌てて割って入った。
「そのっ、ユウシャ様とは一度しかお会いしたことがないと思うんですけど、何か誤解があるのではないですか!」
大切な存在とか、意味……は、わからんでもない。
私はユウシャにとっては母親の教え子だし、ミラのことだからたぶん、余計なことをするなといったようなことを言ってはくれているだろうけれど、母親が気にかけている子を庇護しないなんてこと、きっとユウシャの辞書にはないだろう。
母親が気にかけている大事な子=大事な存在
その図式はわからんでもない。しかし、
「一度で充分だ。君のような存在を忘れられるわけがない」
これまた微妙な表現をしてくれる。
ま、まあ、同じく前世記憶所持者のお仲間だし、ね。こんな存在は忘れないよね。
「おいお前、リオナと言ったか?」
うひっ、鳥肌!
グール王子に名を呼ばれて、ギギギと顔を向ける。
「話はレイスから聞いているな?」
カクカク、頷く。
「では、お前を俺の物とする。文句はないな」
「フザケルな!!」
ユウシャがどこからともなく出現した魔剣で斬りかかろうとするのを、レイスが間に入って止めた。
「っ」
基本ユウシャはフェミニンなので、女の子を斬りつけたりはできないのだろう。
動きを止めて、バッと私を振り向く。
「リオナ、こんなヤツの言うことを聞く必要などない!」
悲痛な声。
私はユウシャを安心させるようにほほ笑んでから、グール王子に平伏した。
「誠心誠意仕えさせていただきます」
自分の所有権を渡すわけにはいかないので、論点をすり替えることにした。
「フン」
それがわかったのだろう。グール王子は不満げに鼻を鳴らしたが、レイスがすかさず私の傍に来てくれた。
「そろそろ休み時間が終わります。私たちはこれで失礼いたします」
「これで終わりと思うなよ?」
「はい。では後日改めまして。本日は失礼いたします」
「待て! リオナ、なぜ……」
ユウシャに引き止められたが、私たちは足早に教室を出て、本気の早足でその場を逃げ出した。
ユウシャは同情は横滑りするタイプです。




