33 駆け引き
今回も短いです。
レイスはなんて言ってたかな……。
『あいつのことだから、見つけようとしても簡単に尻尾を掴ませたりはしないだろうし、あっちから出てくるのを待った方がよさそうだ』
この場合、『簡単に尻尾掴めちゃいましたけど』と文句を言うべきか、それとも『来るの早っ』とツッコミを入れるべきか。
いや、これですぐに蛇と確信しちゃったのは付き合いの長さの問題だから、レイスにとってはなかなか気付けないレベルなのかもしれない。
「おーい、おーい」
言葉をなくしている私に、蛇が呼びかけた。
コイツは馴れ馴れしいから初対面の人間に対してもこうだろうし、私はまだ何も言っていないのだから、蛇はまだ私に気付いてない可能性が高い。
とはいえ私が気付いたくらいだから、いずれ気付かれるのだとは思うけれど、私だと気付かれる前にいろいろ情報を手に入れた方が賢いよね。
「ご、ごめんなさい。いきなりだったから、驚いてしまって……あの、貴方は……その……」
「ああ、俺? ボア=コート。アンタのクラスメート」
そりゃそうだろうよ!
ツッコみたいのをグッと堪えて、
「あ、ごめんなさい。私はリオナ=クゼインです。よろしく」
「へえ」
蛇……いや、ボアは感心したように頷いて、
「アンタ変わってるんだな。庶民の俺に普通に挨拶とか? そもそも貴族の女子でこのクラスにいるの、アンタだけじゃん? 一体何者?」
私が貴族というのはブラフだろうか?
だけどここは引っかかっておいたほうがよさそうだ。
「何者と言われても……私は貴族とは言っても田舎者だから、こちらの事情はよくわからないの」
「あれ、本当に貴族だったんだ?」
「え?」
「いや、俺の周りの子とは雰囲気が違うと思ってカマかけただけだったんだけど、やっぱお貴族様なんだ、俺名探偵じゃね。」
あーはいはい。
「そうだったんだ。コートくんって賢いんだね」
「やっぱり? 超天才とか思っちゃう感じ? 憧れちゃったりする感じ? 『俺に触れると火傷するゼ』みたいな?」
「あはは」
ウゼエ。
「でも賢いのも当たり前だよね。コートくんは奨学生なんでしょ?」
「まぁねん。けど、リオナだってこのクラスなんだし、優秀じゃん。同じ同じ」
「ありがと。試験頑張ったから、そう言ってもらえるとうれしい」
「と、それは良いとして、まだ最初の質問に答えて貰ってない感じなんだけど、どーして髪切っちゃったんだ? これ重要、教えてくれない?」
「あー、うん……ごめん、話したくない」
「えー」
「ごめんなさい。複雑なの……でも、レイスと一緒に登校した理由は言えるよ。彼女と私、同室なの」
これは、調べればすぐにわかる情報だ。すでに手に入れている可能性もある。
「昨日仲良くなって、一緒に登校することにしたんだよ」
「……へえ」
ボアは好奇心に輝く瞳を、瞼の中で円を描くようにクルリと回した。
…………そのクセ前世からだけど、気持ち悪いから止めた方がいいと思う。
ボアはエメラルドツリーボアとかのボアです。名前は憶えやすさ最優先で。




