31 朝食時間
翌日、早すぎず遅すぎずの時間に起きた私は、身だしなみを整えてから応接間へ移動した。
応接間では、レイスがブレックファーストを摂っている所で、その傍に立っていたアンナが、私に向かって胸を張った。
「おはようであります! いますぐリオナさんの朝食も用意させるであります」
ハキハキ言って、出て行ってしまう。
「あー」
今朝は食堂を利用するのもいいかと思ってたんだけど……。
「今はまだ、食堂に行かない方がいい」
わたしの気持ちを読んで、レイスが説明してくれた。
「君は家柄的にも中途半端だし、寮では基本年功序列だから、昨日のことを聞かれたら、面倒になるかもしれない」
昨日の……
「君が髪を斬って回ったせいで、髪の短い子は目をつけられる」
「髪の短い子なんて珍しくないじゃない」
「それでも、昨夜は髪の短い子が注視されていたらしい。なんといっても王子のお手つきだからね、側室を狙っているような女子には無視できないんだろ」
えいやいやいやいや。
「ちょっ、そんなことまで周知なの? いやそもそも常識的に……」
この年齢であんな事件起こすの、絶対におかしいんですけど。
「もちろん、詳細までは周知されていないけど、王子の遊び相手になっただけでも充分だろ。髪を斬られるなんて事件も起きているだけだし」
しつこいな。
「でも、だからってずっと接触を避けるなんて無理でしょ? ずっと部屋メシにするつもり?」
「いや、今日の昼には問題は解決する」
今日の昼?
「王子が君の後ろ盾になってくれる」
「は?」
「……ワザとらしい」
「何がよ」
「王子と僕の話、隣の部屋で聞いてたんだろ?」
「なんのこと?」
「時間の無駄だから、先を話すよ。王子は僕の友達というだけで、君を囲ってくれるらしい。たぶん興味を持ったんだと思うけど」
チッ。
「とにかく王子の庇護下に入れば、他の者には手出ししにくくなるし、君にとっても有益なことだと思う。もし王子が何かしようとしても、死ぬ気で僕が守るから、おとなしく従ってほしい」
「死ぬ気で守るの?」
「それができないと、王子の身に危険が迫るからね」
あー、はいはい。
「私も自分がかわいいから、王子が何かしてきそうになったら、本気で仕掛けるよ?」
「その時は僕が君を殺すから安心していい」
うふふふふふふふふふ。
「二人とも、怖いでありますから!」
いつ戻ってきたのか、朝食を手にしたアンナが、悲鳴に近い抗議の声を上げた。




