29 入学初日終了
更新10分くらい遅刻した
最終的に目指すのが3階ということで、下から見て行くことにした。
まずは別棟の浴室だ。
入り口からまっすぐ延びる廊下を突きあたりまで進んで右に折れ、そこから続く廊下を突き当たりまで行くと、左手に別棟へと延びる渡り廊下がある。
「シャワーは個室にもついているでありますので! こちらの浴室を使うのはオープンな方々になっております!」
アンナがハキハキ説明してくれる。
しかしオープンな方って……そりゃレイスみたいに性別偽ってたら、ポロリが怖くてとても利用できないだろうけども。
「この国にお風呂の文化が広まったのは5年程前くらいからですので! まだまだ辺境の者たちは裸の付き合いに慣れないのであります」
「え、そうなの?」
「高名な魔法師ミラ様が広めるまでは、ほとんどの者は大浴場の存在など、想像もしなかったであります」
おおう。高名な魔法師ミラって、番長のことだよね。
まあ、うん。私たちお風呂の国の人は、お風呂ほしいし、広めたくなる気持ちもわからんではないけど……。
なんか番長って結構、そういうことやって来てそうなのかも。
だってここ、異世界とか言うワリには、欲しいものに困ることってあまりないし。
「次は天文台に行くであります!」
見学でお風呂の中に入るのもどうかということで、入り口だけ確認したら天文台に向かうこととなった。
そういえば、
「アンナは本物の女なの?」
ふと気になって聞いてしまう。
アンナは一瞬にして、赤くなった。かわいいな、おい。
「あ、は、ひ、はい! 自分はおそまつながら、女性であります」
ほう。
「でも前世は立派な男だったのであります! だから心は男なのであります」
「へえ」
思わず生温かい目で見てしまう。
「うう、ひどいであります!」
なんて、馬鹿馬鹿しい話をしている間に、天文台に上がるエレベーターの前にきた。この世界に電力はないから、動力は何か別の物なのだろう。
ともあれ乗りこんで、
「天文台までは一気であります!」
その言葉通り、労せずして天文台についた。
ちなみに、この世界の星座は、当たり前のように前世の宇宙とは全然違うのだが、日の暮れかけたこの時間には、見つけやすい大きさの一番星が輝く。
この時間に一番星が輝く方向が、この国の北だ。
天文台には巨大な望遠鏡のゴテゴテしたものもあったが、肉眼で一番星を確認できたので、それでよしとして、次に向かうことになった。
本館に戻り、食堂を案内してもらったら、そろそろ美味しそうな匂いがし始めていた。案内してもらうのはいいけれど、このままではすごく遅い夕食になってしまう。
あとは、直接いくのではなく、そこへ向かう廊下を教えてもらうだけにして、一旦部屋に向かうことにした。
3階は部屋がたくさんあって迷いそうだと思ったが、レイスと私の部屋は門部屋だったので、分かりやすかった。
下手すると1番いい部屋なのかもしれない。
アンナがノックすると、レイスが部屋から声をかけてくれたので、私たちは中に入った。
まず、目に入るのは、大きなガラス張りの窓、中央の応接セットも白を基調とした高級そうなゆったりしたデザインで、部屋の隅の白い陶器の花瓶には、薔薇が活けられている。
脇にある小スペースには、食器棚やお茶を入れるための道具が揃っており、バストイレらしき扉と、あと、扉が二つある。
確認すると、扉の奥は一人分のベッドや机が置いてあって……。
2人部屋とは言っても、半分個室感覚のようだ。
私が部屋の中を物色していると、チリリン、応接間からベルの音が聞こえた。
「何?」
戻って確認すると、レイスがベルを鳴らしたようだ。
「今日はここに食事を持ってきてもらうから、メイドを呼んだだけ」
ああ、食堂いかなくてもいいのか。
「リオナは荷物もまだ整理してないんだろ? どうせすぐには来ないから、ゆっくりやるといい」
「うん、ありがと」
わたしは礼を言うと、実家から送っておいた荷物をほどいて、整理することにした。
食事が来たのは、整理が半分も終わってない時分で、食事をとった後再開したが、結局遅くまでかかってしまった。
そんな時間に、別棟の浴室まで足を運ぶ気分にもなれず、その日は軽くシャワーだけ浴びて、そのまま寝ることにした。
ようやく1日目が終わりました




