27 蛇
蛇。
不本意ではあるが、あの男は私の一番仲の良い男友達と言える。
小学校から同じ学校に通ってはいたが、知り合いになったのは中学に上がってからだ。その時、私たちの不本意なあだ名は、ほとんどがヤツの付けたものだと知った。
噂が好きな男で、あの男が持ってくる話は、ほとんどが後の事件の火種になっているほど性質が悪かった。
たとえば、ストーカーと付き合っていた当時、元カノが利用されただけの存在だったと、私に教えたのは奴だった。
頭に花が咲いていた私は、むしろそれを喜んだけど、蛇はストーカーがおかしな行動を取る度に教えてくれて、
勇者や野獣とその仲間たちを殺したのがストーカーだってことも、あいつの言葉から辿りついた答えだった。
そして、こちらの事情を知るはずもないストーカーの元カノが、ストーカーに利用された件で私に文句を言ってきて……。
どこから情報が行ったのかと聞けば、あいつは悪びれもせず、自分だと答えた。
『だって仕方がないじゃない。
俺ってば、噂を流すのが生き甲斐の人なんだし、
面白い噂は待ってるだけじゃ手に入らないんだし、
他人任せとか、無責任なことをしない俺って、
あれ、エラくない?』
うん、全然エラくはない。
だけど蛇の話は確かに面白くて、正直、人の不幸は蜜の味で……。
だから、あいつと長らく友人やってた私も、結構腐ってる自覚はあるんだけど、被害にあったことはあっても、加担したことはないから、特に問題はないと思われる。
番長とかは、私が友人として付き合っている事自体、いい顔はしなかったけど。
それはともかく……。
「蛇がストーカーに殺されている可能性は高いと思う」
たしか、ストーカーに殺されたあの日、私は待ち合わせ場所に突っ立っていた。
待ち合わせの時間は20分過ぎていて、携帯は通じず、いくら時間にルーズなアイツでも、これはないと思い始めた頃だった。
待ち合わせの相手は蛇。
ストーカー被害でやや引きこもりがちになっていた私に、外で起きているいろんなことを教えてくれると、呼び出された。
しかし来なくて……。
あの時、すでにストーカーに殺されていた、ということなのだとすれば、待ち合わせに来なかったことにも説明がつく。
第一、別れる原因を作ったのはほぼアイツだし、ずっと私との距離が近いアイツのことをストーカーは快く思ってなかったし、むしろ殺さないでいる理由を探す方が難しい。
「ということは、アイツもここにいるのか」
久しぶりに会いたいかも。あの時、結局話できなかったワケだし。
「うん、蛇に対してそんな反応をするのは、君くらいなものだろうね」
レイスは、毛虫でも見るような目で私を見ていた。
なんだかなぁ。
蛇って確かに最悪だし、ロクなことしないんだけど、なんでか誰にでも嫌われてるんだよね。
私?
私は感謝してるよ。だって真実も知らずにあのストーカーとずっと付き合ってた方が、不幸だったもの。
「まあでもわかった、そういうことなら、覚悟だけはしておくよ」
レイスはふっと短いため息を吐いた。
「あいつのことだから、見つけようとしても簡単に尻尾を掴ませたりはしないだろうし、あっちから出てくるのを待った方がよさそうだ」
蛇だけに!
「あ?」
「え、何も言ってないよ」
脳裏で呟いた揶揄にすらイラつくレイスは、本当に心は狭いと思いました。
すっごい前にちょっと出てた『男友達』は蛇のことです。あとは『教授』が出てきたら主要キャラはそろうかも……@予定は未定




