23 魔界
1日1時間とかで書いてるので話細切れです。すいません。
結局、寮へはレイスと一緒に向かった。
というか、眠らされて運ばれた私には現在位置もよくわからなかったし、どうせ逃げられないなら、素直に従った方が楽できる、という判断だ。
レイスのことを信用できるかどうかと言えば微妙だけれど、私がそうであるように、レイスもストーカーの恐怖を植えつけられているようだから、王子大事での行動には説得力がある。
あの王子が自分から危険回避してくれるなら苦労はいらないのだろうけれど、野獣にそんな理性的な行動を求めても、ね……。
「ところで、今アイツどこにいるの? もしかしてまだ会ってないとか」
アイツというのは確認するまでもなくストーカー……エルスのことだろう。
「アイツなら、たぶん魔界に行ってる」
「え?」
「この学校に来るまでに少し修行みたいなことをしてたんだけど、最終仕上げで魔界に送るってことになって、転移陣に細工して、アイツは魔界に行ったけど、私は小細工して転移を回避したの」
「転移陣って……それっぽい遺跡があったのは知っているけど、使えたの?」
魔法とは、魔を使いこなすためのハウツー知識である。
そして魔法具とは家電のようなもので(とはいっても電気を使うわけではない)、昔の人が作った自分専用の魔法具には説明書もなく、使いこなすのは、実に至難の技なのだ。
「すごく勇気のある人が、いろいろやって偶然使い方を見つけたらしい。その人達は半年くらいで戻ってきたから、アイツも……いや、アイツの場合もっと早いかも」
ちなみに、すごく勇気のある人、というのはユウシャのことである。
物ごころが付き、異世界に興奮したアイツはすぐに諸国漫遊の旅に出たがり、押さえきれなくなった両親、ミラとヘイミンと共に、家族で旅をして、そしてユウシャの無謀な行動により、転移陣によって、3人は魔界へ転移したらしい。
あのユウシャの大剣もその魔界で手に入れたという話だが、これはまた別の話だ。
「…………そう」
レイスはひどく気落ちした様子だ。
半年しか猶予がないのがショックなのだろうか?
「何?」
「いや、普通なら魔界なんて場所に送られたら、帰って来ないことも視野に入れた希望的観測ができるものだと思うのに、無駄にパワーアップして帰ってくることしか考えられないのは、なぜなんだろうとこの世の不条理を儚んでいたところ」
あははー。たしかに私も帰ってこれないことは思いもしなかったかも。
「まあ、エルスだし」
「エルス?」
「ああ、ストーカーの名前」
「エルス…………どこかで聞いたことがあるような」
「あ、私の弟」
「!!!」
王子はともかく、レイスは攫ってくる相手のことを一通りは調べていたようで、私がクゼイン男爵家のリオナだということは把握していた。その調査で、私にエルスという弟がいることも、心の隅に止めてあったのだろう。
「それはなんとも、すごいストーキング技術だね」
レイスはやや青ざめているが、私は思う。
ちゃっかり野獣の側近に転生しているお前も、大差ねーよ、と。
この世界での魔界は、こことは違う世界の総称みたいな感じです。行った人間がいるのでその存在を疑いはしませんが、本当に少数な上人によって話すことが全然違っているため信用されず、そこがどんなところなのか、とかはかなり曖昧です。




