22 レイス
そう言えばまだ名乗ってなかったね、と前置いて、女装少年は名を名乗った。
「ボクはレイス、ゴルドバール家の二男だ」
「ゴルドバール?」
「ああ。昔から王族の側仕えをさせてもらっている家なんだ。爵位は一応男爵だけれど、それは褒賞でもらっただけで、あまり重要視されてない」
男爵ってことはうちと同等か……。
でも名前だけってことは、領地の方は適当なのかもしれない。
「はい、拭いて」
手錠を外して、先に水からあがったレイスは、吸水性の高い布を突き出した。
なんでこんなものが? とかはわざわざ確認したくもない。プレイの後、王子が身を清める必要もあるだろうし、プレイ中にも使うかもしれない。
その通常用途を考えると少しブルーになるが、布には何の罪もないで、私は池から上がって受け取った。
最初こそレイスのことを男と知って意識したけれど、レイスはそれとわかっても性別を感じさせないし、脱ぐときに全然隠してなかったものを、今更恥じらうとかもなんだか虚しいし。
隠すより速さを重視して、体を拭き、用意してくれた服を身につけた。
「で、もう行っていいの?」
確認のために聞くと、軽く肩をすくめて、……これは肯定?
「別に行っても構わないけど、同じ寮に行くんだし、部屋は同室にしてもらうから、先に帰ってもあまり意味はないと思うよ」
「……男、なんだよね?」
「王子の相手を捜すには女子寮にいた方が都合がいいから」
当たり前みたいに最低な理由だ。
「同室なの?」
「戻ってから調整させる予定だから、今はまだ違うかな」
「……逃がさない……てこと?」
「執行猶予中も監視は必要だろ?」
王立の学校だもんなぁ。王子の威光があれば、部屋割りくらいなんとかなるよね。
「私たち、アンとダイアナみたいね(棒読み)」
「あはは、本当だね」
私の持ち出した古い名作文学にレイスは相槌を打って、ほんとに前世記憶所持者なんだよな、とお互いを確認する。
「あ、そうだ」
レイスが急に目をまたたいた。
「……なに?」
警戒しながら促すと、レイスは斜め上を見てから、私に視線を戻した。
「君を殺したのはストーカー?」
「え?」
「ユウシャもボクも王子もあのストーカーに殺されてここにいるから、君もそうなのかと思って」
え……。
「あのスト-カーなら、君を殺して僕も死ぬ、みたいなウカレたことも言いだしそうだし、アリかな、と思うんだけど」
いや、アリかナシかで言えば、たしかにあったことだけど……。
「どういう意味?」
「否定しないってことは肯定かな。これは繋がったかもしれないね」
「だから何が?」
「前世の記憶持つ者の共通点。殺戮者である本人を含めて、全員があのストーカーによって殺されている。ボクは王子を殺されて、アイツを法廷に引きずり出そうとしていたから、アイツが殺した相手は多少把握しているんだ」
探偵役?




