19 一難去って……
エロシーン終了です。
ユウシャが登場して、状況は一変した。
彼が問答無用で斬りかかったので、グール王子は応戦せねばならず、グール王子に奉仕させられていた女の子は放置された。
「チッ、またお前か」
「それはこっちの台詞だ。グール、覚悟しろ!」
キンキンカンカン、刃と刃で火花が散る。
力はほぼ互角……いや、ややユウシャが押しているように見える。
この分なら……。
ひそかにバックレても気付かねんじゃね?
私は思った。
普通で考えれば、もう助かったようなものだし、不動でいるのが一番目立たないのだが、残念なことに私はユウシャと顔見知りだ。
パッと見、ユウシャと王子はいろいろ因縁がありそうだし、ここでユウシャの知り合いなんてことがバレたら、話がややこしくなる可能性がある。
だから、できればここをバックレたい。いや、いますぐバックレよう。
思い立ったが吉日。
幸いにもユウシャが鎖を破壊して扉は開きっぱなしであるし、私は速やかに、扉の外に逃れた。
眩しい!
扉の外は、林の中だった。
緑々しい木々と木漏れ日。一転さわやかな光景だ。
振り返ると、さっきまでいた場所はやはり倉庫か蔵といった感じの建物で、同じような建物があと2棟並んでいる。
ここがどこなのかはわからないが、今は位置を確認するより安全の確保と思い、私はその場を離れようとした。
しかし、
ガチャリ。
冷たい金属が手首に当たったかと思ったら、何かの嵌まる音。
緊急事態にズアーッと寒気が上がって来て、手首を確認すると……。
チャリ。
手首に嵌まった鉄の輪っか、短い鎖に繋がっていて、その反対側にも鉄の輪っか、人の手首付き。
つまりは手錠が、自分の手首に嵌まっていて、手錠の反対の輪っかは捕獲者の手に嵌まっていた。いわゆる、刑事が怪盗を捕まえる時のような、気合いを入れた捕獲だ。
「話があるんだけど、いい?」
その手首の主がニコリともせず、声をかけてきた。
美しい銀色の髪をショートボブの切りそろえ、白い肌、薔薇色の唇、長い睫毛の奥のアメジスト色の瞳。
見間違えようもなく、私を罠に嵌め、拉致った美少女だ。
「あ、は、な、なんでしょう」
私の選択は猫かぶりで誤魔化すというものだったが、その少女は顔を歪めて嫌そうにしただけだった。
「ここではマズイ。移動するよ」
チャリ。
手錠が重量が重く感じる。
鉄か、鉄なのか!
試しにガチャガチャしてみたが、やはりオモチャではなく、本気の拘束具だった。
「もういい?」
私の無駄なあがきを一瞥してから、少女は歩きだした。
手首で繋がれているので、ついて行くしかない。
「どこ……へ行くの?」
「……池」
池?
「臭いから」
……そういえば、私は尿まみれだった。
ともかくも、ここがどこなのかさえ把握できていない私は不利すぎる。
ここは彼女に従うことにした。
次回、彼女の素性がわかります。




