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私とストーカーと魔法の学校  作者: WLCノベル
第1章 入学前
18/59

17 羊の群れ

ヒドイシーンが続いてます。

 私は言いたい。


 誰かて自分がかわいいやん。幸せになりたいやん。と……。


 わたしの右隣りの女の子は今の状況にパニくっていて、髪で拘束されているにも関わらず、もがき逃げようとしていた。

 だから私が髪を切って拘束を解いてやると、「うえっ」とか声を漏らしつつ、弾かれるように転がった。


 おそらく、何が起きたのか理解できていないのだろう。


 暗いのでその表情までは確認できないが、私の手で自由を得た彼女が身を起こす気配がして、柱に響くずんどこ音が止まった。


「ほう」


 感心したような少年の声。


「自分の髪を切り裂いて逃れるとは潔いな。気に入った」


「ヒッ」


 動く。


 ここからでは、彼女が何を見たかはわからないが、息を呑むような悲鳴は恐怖に彩られ、弾けるように地を蹴った。


「フッ……面白い」


 動く気配はもう一つ。

 少年は逃げた彼女を追って、ゆっくりと歩きだした。


 やっぱりこういう場合、動く者があったら追いかけるよね、とか頷きながら、生贄ヒツジとなってくれた彼女に軽く感謝する。

 これで少しは時間が稼げるだろう。

 私は、少年の気配が離れるのを待って行動した。


 あの少年はもちろん、他の拘束された女子たちにも気取られないよう慎重に、自分を拘束している髪を切り落とし、少し自由になった状態で、モーションを最小に留めながら、他の女の子たちの髪を切り落としていく。

 できるだけすばやく、犯人が特定されないような順番で。


 え? 髪は女の命?

 ははっ、それってどこの宗教用語?


 自分一人が自由になったのでは、今野獣に追いかけられている彼女みたいに、標的にされるだけだ。

 私は全員を自由にしてから、そのままの体勢で誰かが動くのを待った。


「ひぇ……なん……」

「髪が……もういやぁーーーーーっ、ああああーーーーーー、助けてー助けてー」

「あっち、出口かも……い、行こうよ」


 混乱する者、パニックを起こす者、明かりの差し込む場所に気付いて建設的な意見を出す者。

 反応は人それぞれだけれど、建設的な意見に私も賛成だ。あれがそのまま出口である可能性は低いだろうが、罠であったとしても、確かめる価値はある。


 パニクっている子はともかく、少しでも冷静さのある子たちは出口と思われる光を目指し、私もそれに従った。


 弱い草食獣が群れるのは、自分の身を守るためである。

 わかりやすく言うと、隣のヤツが喰われている間は自分は喰われないという法則だ。こんな状況で群れから逸れるなど、あり得ない。


 ほとんどの者が右へ倣えで光の方へ向かって、その扉らしきものに突進した。


 ガィン。


 返ってきたのは金属が張りつめ震える音。

 見ると、鉄製扉の取っ手に極太のチェーンが絡みついて、ガチガチに繋ぎとめられている。


「そんな……」


 先頭をきって扉を目指した子が、愕然と呟いた。


 カツ、カツ、カツ、カツ、カツ、カツ、カツ、カツ。


 そこへ、足音が近づいてくる。

 全員の髪を切り裂いて、誰かが動くのを待って、扉まで移動して、それなりに時間がかかっていた。

 生贄ヒツジで稼いだ時間は、もう使い果たしたということだ。


「残念だったな」


 光に照らされて確認したその姿は、まだ幼い少年だった。

 予想した通り年は5、6歳。

 深淵を思わせる闇色の髪に、射るように鋭いラピスの瞳、幼いその顔には酷薄な笑みを貼りつけて、その服装は、上質な生地を金糸銀糸で飾り立てた、眩い王族の着るような衣装だった。


 なのに……。


 戦慄するしかない。

 その下半身は何もつけておらず、その中心は情欲にまみれ、たぎっていた。


 まだ幼い小さな体にあって、なんという異質だろう。


 どこからともなくアンモニア臭がして、ゾッっとした私は、その場に崩れ落ちた。

主人公は結構鬼畜です。だってビッチだし。

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