14 魔法
意外に思われるかもしれないが、ストーカーと番長は結構仲がいい。
ぶっちゃけストーカーは、わたしより番長の方を信用しているんじゃないかと思う。というか、ほぼ確信している。
だから番長……ミラが私達の家庭教師になってから、エルスは必ずしも一緒にいる、ということはなくなった。もちろんあの、前世の記憶の、真偽の話も関係しているだろうし、エルスはエルスでやりたいこともあるのだろう。
そんなわけで、私とミラは、用意してもらった勉強部屋で、二人きりだった。
歴史の勉強とかそういう話もあったのだけれど、教材である本さえ貸してもらえば勝手に読むので、二人きりの今は話がしたかった。
それよりも、二人きりの時は話がしたい。
「それでさ、私達より人生経験豊富なミラさん」
「なにさ」
「私達の前世の世界ってここと随分違うと思うけど、この世界にそういったものを想像する手掛かり的なものはあるわけ?」
私は考えていた。
例えばあれが前世の記憶ではなかったとして、あれを組みたてた者がいるはずだ。
この世界にいながら、剣と魔法が発展しているのではなく、あんな科学という技術が発展した世界を想像するのは、すごく、おかしなことだ。
荒唐無稽な妄想で済ませるには、少し出来すぎている気がする。
「そうだね、ない事はないと思うよ。この世界には魔法があるからね」
「どういう意味?」
「リオナは魔法についてどれくらい知ってる?」
魔法。この世界におけるそれは、0から何かを生みだすものではなく、前世の世界では魔として忌避されて、その存在すら否定されている法則でもって、何かを生みだす技術だ。
エルスの使っていた『炎玉』や『恋人の羅針盤』は魔法品と呼ばれる、魔法技術を使ってつくられたものだ。使用するにも、魔法知識を必要とするらしい。
というのは、本で読んだだけで、実際に使ったりとかしたことはないんだけど。
「本で読んだだけ。いわゆる魔法というよりは錬金術みたいなものかな……って。あってる?」
確認に聞くと、ミラは頷いた。
「大体そんな感じだね。その魔法の中に、異世界に関連するものがいくつかある。平行世界の延長みたいな印象だけど、異世界を覗く技術も、魔法にはあるらしい。だから、あの前世の記憶が、実際にある異世界から構築されたものだとすれば、説明がつかなくもない」
なるほど、すでにあるものを模倣しているのなら、カユイところに手が届くのも不思議ではない。
それでも、前世の記憶なんてストーリーを作る魔法師の存在には違和感を感じるが、完全否定するのが難しいのも、また事実だった。
ようやく魔法の話が出てきました。『炎玉』は爆弾、『恋人の羅針盤』は人の持つ個別のオーラみたいなもので方向を示します。S極とN極の代わりに、自分と恋人の位置が使用される感じの魔法具です。




