⑱「Side(ぬいぐるみ)」
声をあげてなくことができれば どんなにいいものかと
結局気付かれずヒトリになると 声を潰して叫んでいる
慟哭もできないのはあたりまえ だって
僕はただのぬいぐるみ 埃塗れの解れたおもちゃ
キミはまだ知ってる? 部屋の片隅の箱とその中を
でも僕は知っている 膝を抱えて黙っている
昔の僕は 子供のキミはまだ真っ白で
本当の自分が何処にあるかなんてそれぞれ捜すこともなかった
塵が積もって随分色あせたこの体も
キミは遊ばなくなって 見知らぬ振り
それでも時は悪戯に流れてゆく 僕は動かないままそこに居る
最後の別れの時 その時さえ気付かれなかった……
いつしかキミは大人になったいた
古びた想い出のペンダント かつてキミがくれたもの
このまま飛び出して行きたいけれど ここに優しいキミ手もないし
話しかけてくれる言葉もない
あるのは冷たい箱の壁 キミの寄り添う肩じゃない
キミの部屋 今は誰もいない空き部屋
誰か知ってる? 箱の中のおもちゃを
華やかな外界から溢れて聞こえる 最近のGame 最新のMusic
一緒に思い出す キミは恋に落ちてしまったあの日を
昔の僕は 子供のキミはまだ無邪気で
未来が素晴らしいのかなんて分からなくてどうでも良くって
捨ててあった一人ぼっちの僕を拾って キミは笑っていた
こんな自分でもまだ役に立つんだ…… キミが教えてくれた
乱暴に扱われて傷付いるこの身体 また泥に塗れていても
ただ優しく拭って 洗ってくれていた
キミはもう大人 僕はずっとこのまま
時が過ぎて 太陽は昇って沈んで繰り返し
だけど箱に大事に仕舞われているんだ
僕は知っている ずっと前から
あの頃のキミはもう戻って来ないことを……




