第六、五話 遊鬼と闇市
「車、良」
あの車フォルム、良き。
悪魔さん、相談…いや、やめ。
経費で落とす。残高確認、確認…
「……」
お金なし。経費削減不可。無理。
選択肢1,諦め。選択肢2、闇ルート。
「……」
…闇ルート選択。間違いなし。悪魔さんに相談不可。こちらで対処。
「行動開始」
ピロピロピロッ、ピロピロピロッ。
「こちらの電話番号は現在使用されておりません。」
「0C0ー831Oー6666」
「……」
歯車が虫入りのさくらんぼを潰しながら回転するような音だけが、
電話ごしに何度も、何度も、響く。
「…後ろを振り返らずに、少しお待ちください。」
妙に甲高い肉声がふわっと背後から現れる。
パチッ、パチッ
「……」
「……」
アタッシュケースのパッチン錠の音だけが聞こえ…
「お待たせいたしました。…取引ありがとうございます、何をお求めでしょうか、お客様」
「リムジン、パーツNO,44、66、100」
売人のやたら強い筆圧と異様なラジオの音声だけが一室を支配する。
「……」
「…取引ありがとうございます、会計方法は何をご希望でしょうか」
「1」
「それは、とてもありがたい、ですね。ははは、ははは、ははは…」
歯ぎしりと肉を爪に押し込むような音だけが響く。
「……」
「…取引ありがとうございます。またのご利用お待ちしております。」
後ろを向いたら、永遠に閉ざされる一方通行の取引。
取引方法1は、命の欠片と呼ばれ、だれでも支払い可能なものを取引している。
人間の場合、この取引の選択は、……意味する。




