第2章-61
俺とルートはそれぞれ自分で座学の時間割を組み立てていたが
ナルは「工作」
タキはこの間俺と一緒に行った「交信」
加えて4人で一緒に受けた「捕捉」
1回で済む座学もあれば2回必要な座学もあり
2度受けることに全く意味がない訳ではないが、流石に薄れると言うことで
話し合って全員の時間割を組み立て直した
一緒に受けられる数を最大にし
既に受けている座学には基本出席せず
2回目を受けに行ったり、兼ね合いで別の1回目の座学を受けに行ったりするようにした
これで4人が大体同時期に全ての初歩を受け終えられる予定だ
ナルは出来ればもう一度「工作」の座学を受けに行きたいと嘆いていたが
時間割が合わずに断念
俺とルートも正直行きたい気持ちはあるが仕方ない
タキは今まで全く受けられなかった座学の予定がびっしり埋まっていくことに
妙に興奮しているようだった
相変わらず表情はほとんど変わらないが
気持が高揚してくると僅かに身体が動き始めるようだ
座っているときにほんの少し上体を前後に揺らしたり
立っているときは右足、左足と重心を交互に移動させて横揺れしていたり
楽しそうで何よりだ
しかし朝は走り込み
日中は座学にびっしり時間を費やすとなると
タキが今まで鍛錬を行っていた時間が中々取れなくなる
夜は働きに出ているし
どうしようかというところでルートから提案があった
「みんな俺のスキルは憶えているな?スキル支援と言って、スキル効果や恩恵、スキルで生み出された物や結果を増幅させる効果がある。であればタキ、お前の【棒術習得】に関しては俺のスキルがかかった状態で行った方がより効率的になるはずだ、俺もスキルを相手にかけることで熟練度を上げたいと思っているからな。クロスとナルのスキルも同じだ。どうせなら4人で一緒にスキル訓練をした方が良いと思うが?」
それは考えてはいた
ルートのスキルを聞いたその時から
使えば使う程に利点のあるスキルだなと
だが一応確認しなければならない
「それは有難い申し出だけどルート、君のスキルの代償はなんだ?まだ聞いてなかったと思うけど」
「代償は体力と集中力の消耗だ。あとは俺自身にスキルの恩恵が全くないことくらいか、今まで複数人に続けて使ったことはなかったからな。どれくらい消耗するかは分からん。やってみて無理のない範囲で行使するつもりだ、安心しろ」
「分かったよ、集中力の消耗なら今度俺がやってる集中訓練も教えるからやってみよう」
「助かる」
今の所は持久力がこの4人の中で一番足りないルート
これからの課題はそこになってくるかもしれないな
「タキはスキルの代償とかないの?」
「私のスキルは行動に対して結果として発動されるスキルだから、代償は多分ない」
「なるほど」
俺の父親ロヴィオと似たような感じだろう
父も研鑽することでより研ぎ澄まされていくスキルだった
「ナルは?【認識阻害】の代償」
「わ、私のスキルも集中力と体力を消耗します。で、ですが恐らく、ル、ルートさんほど代償は大きくないと思い、ます・・・。そ、そもそも【認識阻害】自体が『弊害スキル』の扱いじゃないかと、キ、キニ爺は言ってました。」
「そうなんだ、凄いのにね。訓練中の無理はしないように絶対皆に言ってね」
「は、はいっ!ありがとう、ございますっ」
『弊害スキル』と『恩恵スキル』
差別用語になり兼ねないと言うことで人に使うことは推奨されない言葉だ
自分で自分のスキルを説明する際には『弊害スキル』
人のスキルを持ち上げるような際には『恩恵スキル』
と使う場合はそこそこある
一般的に『恩恵スキル』ほど代償が大きいとされていて
『弊害スキル』は何なら代償が無いものもある
完全に2つに分けられるものでもないから
どっち寄りだとかで考えられるものだ
ナルのスキルは聞いてる分には強力でしかないけど
確かに【認識阻害】で自分の存在が希薄になってしまっては人間関係の構築に悩むこともあるだろうな
それに何かしらが起こった時に犯人扱いされてしまう可能性もある
考え方次第だとは思うが
恩恵ばかりではないと言うことだ
その点も含めて全員のスキルの熟練度はしっかり上げて行った方が良いな




