第2章-57
「俺がまだスキルを授かって間もない時に、親がどちらも家にいないのをいいことに一人でスキルをあれこれ試してたんだ。最初はなんとなくスキルが発動する感覚だけがあって、自分が何かのスキルを授かったんだなってのは実感してた、でも結果が何も起こらないからどんどんスキルを強く発動してみたい欲が出て来てさ、とある時に自分の限界まで集中を高めてから発動してみたんだ。その時に母親がいつもより早めに帰ってきてね、玄関の扉を開けて入ってくる音が聞こえたんだ。毎日のように母親が玄関から帰ってくるのを見てたのもあって、その時は自分の部屋でスキルを試してたんだけど、発動する瞬間に母親が玄関から入ってくるのを強く、鮮明に思い描いてしまってね・・・」
「え、・・・も、もももしかて、です、が・・・」
「そう。俺は実の母親をスキルで消してしまってるんだ」
流石に皆言葉を失っている
しかしこの沈黙を続けられるほど俺も心に余裕はない
喋り切ってしまった方が楽、な気がする
「これが皆にまず知っておいて欲しい俺のスキルの危険性。そして母親をスキルで消してしまったあと、俺は倒れて意識を失い、目覚めるまで半日足らずかかり起き上がることも出来なかった、倦怠感は翌朝まで続いたよ。そしてスキルはそれ以降半年は全く使うことが出来なくなった。」
やはり皆沈黙している
「だから俺のスキルの代償はまず、集中力が必要であり、その上で消した物によっては体に力が入らなくなるし、酷いと意識も保てなくなる。更にはスキルを暫くの間使うことが出来なくなるということだな。分かってる範囲でのことなんだけど、5年のスキル訓練によって集中にかかる時間や集中力の強さ自体もかなり鍛えた。集中力によって代償も軽減できることが分かってるから、更に鍛えていけばより強い結果を残せると思う」
またみんな黙ったままかと思ったが
「あなたのスキルで私達も消すことは出来る?」
「多分出来る」
「そう。なら流石に勝てそうもない」
・・・
「フッ」
ウェスタイロンが笑いを堪え切れずに吹きだした
「フフフフフ・・・」
ナルも押し殺すように笑っている
タキは無表情で2人をみて何がおかしいのか分からない様子だった
俺はその3人の様子を見て緊張が解けた
「アハハ!」
俺が笑ったことであとほんの少しだけ残っていた妙な空気の硬さが完全になくなり
ウェスタイロンと2人で大笑いした
「ハハハハハハハ!」
「アハハハハハハハハ!」
ナルも人前で大口開けて笑うことは出来ないみたいだが
笑うのを我慢できないようだ
タキだけが何が起こっているのか分からない様子で俺達3人を見ていた
「なに?」
それを見てまた3人が笑った
面白いかどうかで言えば大したことはなかったと思う
だが俺としては救われた
タキの変なとこで張り合う性格が俺にとって一番良い形で助けになった
だから途中からは面白くなくても笑った
少しだけ涙が出ていた
笑い隠すようにして涙を拭いた
疲れるまで泣いて笑った




