第2章-53
「ありがとうクロス。ここからは私が話すから」
そう言ってタキは俺の横くらいに立って話し始めた
「まず、あなた達のことを見て、クロスから話を聞いた上で2人を信用して話すのだけど、私のスキルは【棒術習得】。槍や長棒みたいに、長い武器や得物と言ったものを扱い、訓練すればするほど習熟するのが他の人より圧倒的に早いスキル。だから訓練しなければ全くスキルの恩恵は得られないし、スキルが誤解されて伝わっていたら寧ろ無用の長物になりかねない。でも私は6歳のときに神託を授かってから、たゆまず訓練を毎日続けて来た。私の棒術や槍術がどれほど脅獣に対して有効かなんて分からないけど、いずれ狩人になって少しでも人々の生活から不安を取り除きたいと思っているの。あなた達3人のことは私の職場『冷しんせん』で見ていて、とても仲が良さそうで羨ましかった。私もあなた達の輪に入れて欲しい。けれどあなた達の目的に合わないなら今ここで断ってくれて構わない」
・・・
言葉の少ないタキにしては頑張って話した方だ
誠意は伝わるだろうが
やっぱり説明が足りない気がする
2人ともまだ黙している
「ウェスタイロンもナルも知ってると思うが、タキは周囲に沢山の人間が寄ってくる。でも本人曰く仲のいい人は一人もいないそうだ。周りの人達は勝手にタキをぞんざいに扱えない人として持ち上げてくるばかりで、そんな人間関係に辟易しているみたいだ。まあ、タキも言葉は少ないし表現が上手い方じゃないから八方美人にもなれなければ、上手く切り離すことも出来ない。要はタキのやりたいことの邪魔になってるんだな。そんな中俺達の存在に気付いて、少人数で夢中になって全員が全員に言い合える様な仲に見えて羨ましく思ったらしい。俺と一緒に走ったことのついでに、半ば助けを求められた様な感じだ」
・・・
どうだろう
ナルはかなり警戒心を解いている様に見える
ウェスタイロンはと言うと「ふーっ」と息を吐き
「なるほどな。合点がいった。細かい経緯はおよそ省いているんだろうが、きっとクロスの配慮で濁しているんだろうな。そこまでつつくのは節度を超えると見た。それに、エカハさんの言葉からは決意の様なものを感じた。」
そこまで言ってウェスタイロンはナルの方を少し向いた
ナルはそれに気付き
「わ、わわ私も、つつつい先日お2人と話したばかり、ですので。な、なんといいますか。エ、エ、エカハさん?から私達、が・・・なな、仲良く見えてたってのが、う、うれ嬉しいと言いますか、えへへ。3人で、だ、大事な話を、すすするのはこれから、ですし・・・、先を、ここ越されちゃった、な、なんて・・・」
「そこだ!クロスお前は少し勘違いしているぞ、ナルはよく分かっているな素晴らしい!俺達はこれからなんだ、別に排他的な集団を作った憶えはないぞ?だが義理を通したい気持ちはよく分かった。約束は元々3人でと言う話だったからな。」
ウェスタイロンはタキの方をしっかりと向き
「エカハさん、元々は3人でこれから話そうと約束していたが、君も一緒に聞いてほしい。君の話は先に聞かせてもらったからな。俺達3人に、自分を仲間に入れるかどうか判断して欲しいと言っていたが、それは俺達も同様だ。君も俺達を判断する。それが平等と言うものだろう?」
タキの目が少し大きく開いた様に見えた
彼女は特別扱いを嫌っていた
しかし今回は下手に出て自分を見て欲しいと出た
それをウェスタイロンは汲み取った上で否定し、平等を持ちかけた
やっぱり凄いなこいつは
「ええ、よろしくお願い」
「こちらこそよろしくお願いする」
「当然俺もよろしく」
「わ、わわ私も是非、よよよろしくお願いしますっ・・・」
これでようやく足並みがそろったな




