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俺のスキルが使えない  作者: めん
第2章

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第2章-39

ナルはよく喋り、よく食べた

常識の範囲内ではあるが

およそ10歳の少女が食べる平均の量など軽く超えていた


あれだけの筋力がある理由もこれなら納得する


明日の朝も走る予定なので

前回来た時のような競う程食べることはないが

ナルが思ったより注文するので

全部食べられるだろうか?と残した分は食べないとと思いハラハラして

食べる勢いに安心して自分の分も食べる


しかもナルの話に耳を傾けながらだ


おかげでまた

味を堪能した気がしなかった

美味しいのは分かってるんだが

今度こそ来たときには料理に集中したいと思った


ナルは沢山喋っていたが

行儀は良い

口に物を入れたまま喋ったりしないし

食べ方も綺麗だった


だからこそ結構な時間がかかった

量もあったし

喋っている時間も長かったからだ


客単価的には悪くない金額だったため

居座った時間を咎められるようなことはないだろうが

店を出て結構な時間が経っていたことに気付いてから

少しだけ大丈夫だっただろうかと思った


満席ではなかったし

入って来たお客さんを断るでもなかったので多分問題ないだろうが

そんなことを考えていてふと思い出した


給仕のあの子

いたか?


目的が違ったのと、ナルにあれこれ集中していたことで

すっかり忘れていたが

目の前に配膳されたら流石に気付くと思うが

多分来ていない


店内を見回してもないので分からないが・・・


「で、でわでわ、またよろしく、お願いします。」

沢山話してこちらへの緊張もだいぶ解けたようだ

どもりも少なくなっている

「ああ!実に有意義な時間だったな!」

「ナル、すごく勉強になったよ!今度『工作』の方へも絶対顔出すからよろしくね」


お互いの今後の予定を教え合って

また今度集まってちゃんと話そうということになった

飯屋を出て

その場で解散となった

夜道ではあるがダイザフは治安が非常にいい

飯屋街辺りを夜間に歩く程度だったら

人目も多く十分に明るいので女の子一人でも安全だ


俺とウェスタイロンは同部屋なので

帰路は同じわけだが


「ナルに感化されたから読書空間に行って本を探してくるよ、先に帰っていてくれ」

「そうか。俺は先に部屋へ戻って自習しておく」


それぞれがやりたいことへと足を向けた



一方で

お店の外へ出るまで仕事中ずっと監視していた人間がいた


給仕の女の子だ

知った顔が入って来たと思って様子を伺っていたが

店内に入って来たときと

席に案内された後で人数が違うことに気付いて違和感を覚えていた


さっきまでは絶対に2人だったのに

端の席を希望してたから壁付けの大きめの座卓に案内してたから良かったけど

言われなかったら2人用の小さい席に案内してたはず


しかも

なんか、え?いるよね?

凄く、変だ


3人いるはずなのに

2人・・・


おかしいなと思って仕事に戻り

またその席を見てみると3人いた


それからはずっと3人いることに違和感はなかったけど

さっきまでは何だったの?


それに話の内容は耳を澄ましても聞こえないけど

表情だったりから話が相当に盛り上がっているのは見てわかる

何を話しているんだろう


給仕の女の子は

自分を取り巻く人間が多すぎるせいで

逆に孤立していた


自分で鍛錬しないといけない時間や

仕事の時間もあってお誘いを断りがちなのもあったけど

そのせいで周囲の人間が気を遣って

「忙しいんだから邪魔してはいけない」という

勝手な配慮の空気が出来上がっていた


それでいて周囲の人間は互いに牽制し合い

近付きすぎる人間を遠ざけることで

自分たちも遠ざかるような妙な人間関係になっていた


だから羨ましかった

気心知れた仲の様な関係性を作っている人達を見て

疎外感を憶えた


それで敢えて他の給仕の人達にお願いして

自分はあの席になるべく近付かないようにさせてもらった


だってなんか混ぜてほしいみたいじゃない

これ見よがしに存在感を出して

声をかけてほしいみたいじゃない

声かけてほしいけど!いつもは嫌だけど!

なんか自分たちだけ仲良さそうなんだもん


同僚に席に近付かなくて良いように協力してもらいながら

自分でちょっとだけ近くを通り過ぎてみたりもした


全然こっち見ないじゃない

ちょっとは気付いてもいいでしょう?

あの子だって私の鍛錬覗きに来てたのに

今日もこのお店にわざわざ来たのは何だったの?

私が働いていることは知ってて来たんじゃないの?


・・・


ダメね

武道に携わる人間がこんなに心を乱しては

常に余裕を持って優雅であること

父さんの教えを忘れないようにしなきゃ



そうは言っても年頃の少女

仕事中に心の中で取り乱すことはなくなったが

その後もずっと気になって仕方がなかった

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