第2章-37
その後もナルは普段喋らない分の欲求不満を爆発させるかの如く
俺とウェスタイロンを前にしてタダッキニ先生のことや
今自分が夢中になっている「工作」での作業のことなどを怒涛の勢いで喋り続けた
相変わらず若干のどもりはあるが
熱意の方が上回るようだ
それに聞いていて専門性が強く勉強になるし
ナルがそれはそれは嬉しそうに話すので
俺達も気の済むまで話させたい気持だった
が
余りにも止所無い
夕食の時間もだいぶ良い頃間だ
ウェスタイロンがナルに気付かれないように肘をついてくる
横目でチラッと見ると
こいつは俺に「そろそろ何とかしろ」とでも言いたげな雰囲気だ
恐らくだが自分の印象は悪くしたくないのだろう
せこいやつだ
しかし確かにウェスタイロンに任せても言葉が強すぎてナルを傷付けかねないか
どうにか隙をついて・・・
「そうだナル!俺達3人で夕食でも食べながら話の続きを聞かせてくれないか?そろそろ良い時間だしな」
割り込んでみたが
どうだ?
「そ、そうですね!私ったらつい話し込んで、し、しまいましたね。え、で、でもでも・・・ご一緒、しても良い、んです、か?わ、私もお食事に・・・」
「勿論だともナル!俺達はもう友達じゃないか!なあ?」
「(こいつ調子いいことだけは言いやがって)ああ!そうだよナル、一緒に行こうよ」
「う、うぅぅ嬉しいですっ!わわ私ここに来てから、お爺ちゃんかキニ爺としか、ご飯食べて、無かったので・・・」
表情が凄く赤くなっているのが分かる
「よし!では俺が店に連れて行ってやる!ナル、そしてお前も付いてこい!今日はナルに俺達友達が出来た記念に奢ってやろう!」
「だ、だだだ大丈夫ですっ!お金なら、あああります、ので・・・」
ナルは恐らく「工作」の方で稼ぎはあるんだろうな
多分俺よりも持ってるんだろう
下手したらウェスタイロンより持ってる可能性はあるぞ
「お金の有る無しではないのだナル。これは気分の問題だ!俺が嬉しいんだからナルは黙って奢られていればいい!しかし次からは折半だぞ?友達だからだ!いいな!?」
「はひっ!」
俺が一応誘ったはずだったんだがな
まあどちらも気分が良さそうだし放っておくか
ウェスタイロンの後をついていくナルは
大きめの荷物を持っていたので
大変だろうと声をかけてみる
「ナル?重そうだね、荷物持とうか?」
「い、いえいえいえいえ。わ、わ私の荷物重いので・・・」
「遠慮しないでいい”っっ!!?」
軽い気持ちでナルの荷物を分けてもらおうと手を伸ばしたが
少し持ったところで重さにびっくりした
持てなくはないが
かなり重い
ナル、平気そうに持ってたよな?
「わ、わわ私結構、力持ち、なんです・・・。む昔から、だ、誰かに荷物とか、も持って貰ったりしたこと、なくて・・・。ぜ、全部、じじ自分で持つようにして、たら、いつの間にか・・・」
また顔が赤くなっている
今度は気恥しいのだろう
乙女だしな
筋力に見合わないが
意外性すごいな
しかし俺も一応男として譲れない部分はある
ナルがいくら力持ちでも
彼女が平気そうに持っている荷物を俺が簡単に諦める訳にはいかない
「確かに重い、っけど!」
持てない訳じゃない
それにこれから「開拓」で基礎体力を鍛え上げるつもりだったんだ
丁度良いじゃないか
こんな所でも負けてはいられない
「持たせてもらうよ!話たくさん聞かせて貰ってるからね」
そう言って先を歩くウェスタイロンに置いて行かれないよう「行こう」と声をかける
ナルは嬉しそうに口を結んでいる
さっきも言ってたが、あまり人に甘えられるような環境にはなかったんだろうな
ご飯の下りでもご両親の名前は出てこなかったし
何かしらの事情があるのだろう
本人が語るまでは敢えて触れる必要もない
学園に来てから初めて出来た友達だからな
何かと大切にしたい
ウェスタイロンのやつ
どさくさに紛れて俺のことも友達と言ってたな
正直じゃないやつめ
俺もか




