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俺のスキルが使えない  作者: めん
第2章

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第2章-32

「工作」の座学

受けに来ている生徒は俺と同年代しかいない

一応同時期に数回は開かれる初歩の座学だが

「工作」は生徒があまり集まらないために2回のみとなっている


担当する教師が始業時間より随分早く教室に入って来たが

お爺ちゃん先生だ

優しそうな雰囲気だが

両手がゴツゴツしているのが近寄らずとも分かる


多分、職人の手だ


教卓に座学で使う教材等を置くと

近くの椅子に腰かけた

時間までゆっくり待つつもりだろう


程なくしてウェスタイロンが教室に入って来た

お爺ちゃん先生に一礼してから

教室中を見回し

奥の方に座っている給仕の女の子辺りに一瞬目が留まった様に見えたが

そのままこちらを見てズカズカ近寄って来た

女の子の周りの席は全て埋まっている


「おい、教室を出る前に一言くらい声をかけるもんじゃないか?」

俺の隣に座りながらいちゃもんを付けてくる

先生を気にしてか声量は随分抑えめだ

「お前が我先にとガコーノト先生に詰め寄ったんじゃないか、やりたいことがあったんだろ?」

「疑問をその場で解決できる機会があるのに逃すのはおかしいだろう?お前も近くに寄ってきて俺の質問する内容に興味を示せば良かったんだ」


なんて自己中心的な考え方してるんだこいつは

・・・

言い返そうとも少し思ったが

残念

今俺の心にはかなりの余裕がある

寛大な心で許してやろう


「憶えとくよ、教室を出る時には声をかければいいんだな?」

「ああ、俺を置いて勝手に出て行くなよ」


ふん

こうしてみると可愛げのある奴にも見えてくる

寂しかったのかそうかそうか


しかし心の余裕とはほんとに大事だな

金持ち喧嘩せずとはよく言ったものだ


こいつが妙に言いがかりをつけて来なければ

明日から一緒に走り込みをする約束をした子を教えてやっても良かったが

いやどうだろう?

教えなかったもしれないが

こいつはみすみす機会を失ったと言う訳だ

気付いた時にはもう遅いからな


しょうもないやり取りをしていると

座学の時間になった様だ

椅子に腰かけていたお爺ちゃん先生がゆっくりと教卓につき

話し始めた

「みなさん、工作の座学へようこそ。工作は人手不足でしてな、皆さんの中から少しでも興味を持ってくれる人がいたらと思って老骨にムチ打って来ました。」

にやりと笑っている

笑いこそ起きないものの生徒全員が緊張を和らげてくつろいだ雰囲気が漂っている

声の大きさ、高さ、間の取り方などが心地いいのだろう

内容が面白ければ集中させやすそうだ

面白くなければ寝てしまいそうだが・・・


「私の名前はタダッキニ。学校長のラムーズとは旧知の腐れ縁です。この時期になると有無を言わさず呼ばれますので勘弁してほしいのですが、あまりに泣き付かれるので仕方ないのです。おっと、泣き付かれていると言ったのはここだけの内緒にしてくださいね。」

ニコニコして教室中を見回している

お茶目な人だ


「さて冗談はここまでにして早速座学に入りましょう」

タダッキニは少し腰を伸ばして、若干空気を切り替えた

生徒たちはくつろいだ雰囲気のまま座学の準備をしている


ここの先生たちは本当に優秀な人達ばっかりなんだろうな


「工作」に関してはやるつもりがあまりなかったが

俄然興味がわいて来た

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