第2章-31
「開拓」の講義の内容は簡単なものだった
要点だけ言えば
・目的は道や拠点候補地の整備、中型以上の罠を設置するための整備が主
・ほとんどが人海戦術の人力によるゴリ押し整備なので体力が必要
・休憩は決められているが、食事や飲料等は自前で用意する
・作業服は自前で用意し、保護帽や安全靴は義務ではないが推奨はされている
・開拓に必要な道具は用意されている
・日雇いと期間雇に分かれるが、期間雇の方が日給は良い
・現場監督の指示に従って作業を行う
・作業中の事故では保障が出るが、自身が原因の怪我等に保証は出ないし事故等を起こすと請求される
・与えられた作業目標を時間内に達成した場合、追加作業を得るか、帰宅するかを選べる
・与えられた作業目標を時間内に達成できない場合、報酬が減額される
追加で
・10歳~15歳に与えられる作業量は16歳以上の人間より安全かつ少ない、当然報酬も少ない
とのこと
そして、開拓業務に貢献できるスキルを持つものは、貢献度合いに応じて手当が付く
これらが講義中に説明された
俺も、横に座っている給仕の女の子も割りと真面目に講義を聞いていたが
後ろからは集中力のなさが伺えるほどガヤガヤ話し声が絶えなかった
教員が黙ってはないのではないか?と思って少々ヒヤヒヤしたが
毎度のことらしい
さして気に留めてはいないようだった
途中抗議の邪魔になるほどの声が聞こえて来たこともあったが
教員が注意するより早く周囲の屈強な大人達が制圧していた
強力な抑止力だ
それ以降は騒ぎもやや落ち着いていた
抗議が終了すると
皆足早に教室から去って行ったが
俺は集団に飲まれたくなかったので人の波が落ち着いてから出ることにした
抗議中は当然かもしれないが
隣の女の子と何も交流は出来なかった・・・
せめて名前だけでも聞きたい!
騒めきが静まるのを今か今かと待ち
そろそろ話しかけようかというところで
「ねえ、明日の朝なんだけど」
「はい!」
ハキハキと返事し過ぎた・・・
だっていきなり来るんだもん
少し女の子は怪訝そうな顔をしていたが
気を取り直して
「あなたが今朝来た時間より少し早く来てもらえる?」
「ああ、大丈夫だよ。」
「そう、よろしく」
そう言ってさっと立ち上がり
教室から淀みなく出て行った
あまりの無駄の無さに呆気に取られてしまい
「なまえ・・・」
何も成果を残せなかった自分に落胆した
こんなに受け身で自分のやりたいことも成せない人間だっただろうか俺は
相手は俺のことを個人としては見てないようだ
ただ走ってた人
今の所評価はそれだけか
いや、気落ちしても仕方ないだろう
何もないよりは、何かはあるんだ
爪痕は残せなくても機会は作れている
焦るな
ふーっと溜息を大きく付き
次の講義を確認する
今日は1回の講義で終わる「工作」もある
丁度本も読んでたことだし都合がいい
「開拓」と比べて「工作」はあまり人気のない仕事だ
「工作は」罠や武器類の製作と、毒など脅獣に対して有効な手段を調合するので
知識と器用さが求められる
その上で失敗作を戦場に送ることは出来ないので、作業には集中力を求められる
ただし作業場は基本的に安全圏にあるので
危険性はかなり低い
工作業務が得意な狩人や実践級の人は戦地で工作を任される場合もあるが
基本的には補佐的な業務になる
その道を極めた専門家が多い
稼ぎは普通だ
端的に言えば成果物を上げた個数や量によって報酬が出るからだ
作れなければ出ないし
沢山作れれば沢山出る
さっきの「開拓」の講習に来ていた筋肉隆々の人達は敬遠する
真逆の仕事と言っていい
が
年齢を問わないところもあるので
激しい運動が出来なくなった老人等もこの工作業務は行っている
仙人の様な熟練者もいたりするとか・・・
今回はまだこの業務に携わる気はないけど
講習は何度もあるわけじゃないし受けられるときに受けておきたい
本も読んでいて興味も出たし
「工作」の講習に行ってみよう




