第2章-29
午後からは初歩の「開拓」を修めるべく
まずは座学に参加する
初歩で修めなければならない
採取、工作、調達、交信、調査、捕捉、開拓、運搬、解体、野営、撤退、始末
これら全て当然ながら、いきなりやらされる訳はない
実践級と比べても圧倒的に安全ではあるが
危険が伴わない訳でもないし
素人が適当にやって失敗すると
実践級の人達や狩人の命に係わる場合もある
中でも
工作、開拓、運搬、解体、野営の5つは
どちらかというと身体を動かす仕事なので
座学よりもやって慣れろの精神が強めだ
なので座学も1回で終わる
他の初歩は2回以上受けなければならない
今回は「開拓」の座学を修めれば
早速明日から開拓業務に携わることが出来る
初歩の業務は基本的に朝から夜まで
休憩は適宜取ることになるが
1日仕事になるのがほとんどで
場合によっては2日以上かかることもある
「開拓」の座学を受けた後は他の初歩座学を修めてもいいかもしれない
内容次第で決めよう
食堂で昼食を摂りながら
予定を立てていた
出来れば本を読みながら食べたかったが
そういった行為は禁止されているからな
食堂のご飯に不満はないが
何度も食べたくなるほど美味しい訳ではない
普通だ
特にこのダイザフ周辺は美味しいご飯屋さんが犇めいている
なので正直な所は外食に目移りしてしまうが
まあまだ食堂のご飯も全て食べてみた訳でもないし
食券も新たに手に入ったことだ
一旦は節約と行こう
行きたい飯屋はほぼ決まってるようなもんだしな・・・
そういえば置いて来たウェスタイロンは今どこで何をしているんだろうか?
食堂に来た気配はなかったが
食堂は朝から夜まで開いてるので
大体いつ来ても飯にありつくことは出来る
なので決まった時間に来なければならない訳ではないが
他の講義やら業務やらは時間が決まっているし
休憩時間も大体同じだ
だからこの時間に食べておいた方が食いっパグれないとか考えて行動するものだが
余程薬膳汁が嫌なのだろうか?
哀れなやつ
さっさと飯も食べたので食器を返し
「開拓」の座学までは読書空間で時間を潰そう
一方ウェスタイロンはと言うと
スキルの発展講習終りにガコーノトを捕まえて質問をしていた
「ガコーノト教諭、スキルの熟練度に限界はありますか?」
「いい質問だウェスタイロン。スキルの熟練度に限界があるかどうかを確かめられた者はいない。なので今の所は限界はないとされている。しかしそれは予想の範囲であることと、『限界』というものを確かめられないから言われていることであり、もしかしたらあるかもしれないんだ」
「では、熟練度を上げることに生涯費やせば、どこまでもスキルを磨くことが出来るかもしれないと言うことですね。」
「いかにも!しかし立ちはだかるのは人間の体力と精神力だな。人は無限には生きられないし、全盛期を過ぎれば老いが始まる。老いが始まってからの人生の方が長いくらいだ。老い始めてからは既にある程度熟練してしまっているスキルを更に使って追い込む必要性が出てくるな?でなければさらに熟練させることは出来ないからだ。スキルはただ使えば熟練していく期間と、磨きをかけて行く期間に大きく分けられるが、磨きをかけるには環境も大切だ。窮地に陥った時とかな。しかし窮地に陥いるには危険性を回避できるだけの体力が必要だ。」
ガコーノトは1人にたいしても間を開けて喋っている
「賢い君ならもう理解できるな?」
「スキルの成長に限界はないけど、スキルを成長させる人間に限界があると言うことですね」
「その通りだ」
ガコーノトはにやりと笑っている
ウェスタイロンはそれを聞いて何か考え込んでいる
ガコーノトは暫くその様子を伺っていたが
「もう聞きたいことが無ければ私は行くが、構わないか?」
「あ、はい。結構です。お時間頂きましてありがとうございました。ガコーノト教諭。講習とても分かりやすかったです。お疲れさまでした」
ガコーノトは非常に満足したような顔をして
片手を挙げながら教室から出て行った
「結局はやれるところまでやるしかないか」
ウェスタイロンは独り言を漏らしながら
自分の座っていた席に戻り
何やら自分の頭の中を整理するように筆記帳に書き綴っている
この教師は今日この後に使われる予定が偶然なかったため
誰もウェスタイロンを邪魔することはなかったが
ウェスタイロンは度々
一人の世界に入り込んで集中してしまう癖があったので
気付いた時にはお昼時をとっくに過ぎてしまっていた
「あいつ!(クロス)せめて声くらいかけろ!」
自業自得だが
この後の予定等を潰してしまったことを
一言も声をかけなかったクロスの責任にして
慌てて今から行ける講習の方へと足を向けた




