第2章-28
「今からスキルの発展講習を始めるが、基礎講習では教えていない『基礎講習の内容』が一つだけある」
ガコーノトが一拍置いて教室を見まわしている
「それは、『過去に誰かが授かっていたスキルを、新しく生まれてきた人間が授かることがある』ということだ。知っての通りこの世界で授かるスキルは被ることが無い。要は同じスキルを持つ人間は存在しないと言うことだが、それは『同時に存在しない』ということだ。過去には存在した、という事例はある」
ガコーノトは間を取るのが好きなようだ
「では何故、基礎講習では教えられなかったのか?だが例えば今、非常に有用なスキルを持つ人間が存在しているとする。そのスキルは誰もが羨むようなスキルだが、世界で同時に2つ以上同じスキルを持つことは絶対にないなら、その者を殺せばどうなるだろうか?もしかしたら自分の子供がその有用なスキルを持って産まれてくるかもしれない。当然その確率は非常に低いが、絶対にないとも言えない。冷静になれば普通はしないことなんだが、狂信的な者が異常な行動を起こすことはままある。そしてこういう悲劇は実際に起こっている。」
「本来であれば規制されるような内容なんだが、世界中に知れ渡っているために今更情報規制なんてものは機能しない。であるならばどうするかだが、基本的には自分のスキルを周囲の人間に吹聴しないということだ。当然、隠し通すのは無理があるし仕事等で使う場合もあるんだが、要は少しでも自己の防衛を行えということだ。」
「なのでスキルの内容的には基礎的なことなのだが、ほんの少しでも内容理解を深めたいとのことでスキルの発展講習の最初に行うことになっている。全員理解できたな?」
そう言ってまた教室中を見回している
大事な内容ではあるんだが
何となく癖が強いのが気になってしまう
集中しなければ教師の癖ばかり見て内容を理解できなくなりそうだ
しかしスキルの発展講習の内容は
以前父ロヴィオから教わったことが殆どだった
むしろロヴィオが言っていたことの方が実戦や経験を踏まえた内容だったので
より理解を深めることが出来ていたと思う
熟練度の話や常時発動型と自己発動型に分けられる話
遺伝性があることや
脅獣に対する有用そうなスキルを持つものは積極的に志願してほしいと言った内容だった
ガコーノトと毎回目が合うのはちょっと嫌だったので
下を向いて筆記帳に板書を取るふりをして
自習していたのは正解だったかもしれない
食堂横の読書空間に置いてある図書は貸し出しもしているので
飯を取りに行ったついでに何冊か借りて来ていた
今回自習で使っていた本は「実践的工作集」と表題に書かれている
予めどんな工作をするのか少しでも頭に入れておけば
今後受ける時に役立つはずだ
ガコーノトが話し出し
内容が知っていることだったら先にどんどん書き進めていた感想用紙もある程度埋まり
講習を終えた
交換できる食券は6枚分のようだ
丁度昼になるのでそのまま食堂の方へ行こう
ウェスタイロンは待たなくても良いだろう




