第2章-27
スキルの発展講習の部屋に着いた
開いていた扉に2人で同時にねじ込む様にして入ったので
若干詰まってしまった
結果的に一番情けない姿を晒している
しかもウェスタイロンに至っては
今日は出来る限り安静にしておく筈だったところ
無益な争いのせいで余計に体力を消耗した様だ
微妙に顔が青ざめている様に見える
「病み上がりの癖に無理するなよ」
「黙れ・・・、お前が意地を張りさえしなければ何も問題はなかった・・・」
こいつは、と思ったが
教室の扉前で騒ぐのも迷惑だと言うことに気付き
相手居る席に座った
ウェスタイロンは教卓から一番近い真ん中の最前列に座っている
俺は別に必ずしも隣に座る必要もないかと思い
入り口側の端の席の前から3番目の席に座った
ウェスタイロンの姿は良く見えるが
無茶したせいで調子が悪そうだ
アホなやつ
暫く待機していると
教員が入ってきて講習が始まった
この発展講習を受けている人達の中で俺が知っている人間はウェスタイロンだけのようだ
「本日スキルの発展講習を担当するガコーノトだ。時間をより濃密なものにするためでもあるが、基礎講習で教わる内容は受けている、または知っている前提で勧めさせてもらう。この時点でやはり基礎講習を受けたいと思う者は今のうちに退出して良い」
そう言って一拍置き
教室内の生徒を見回し
退出する意図のある生徒がいないことを確認してまた喋り出した
「よろしい。ではここにいる全員に資料と感想用紙を配る。授業の最後に感想用紙を提出することで、今回の発展講習を受講したことと認める。尚、内容については質の高さ等を求めたりしないが、白紙での提出は認められない。最低でも私が今日話した内容が何だったかくらいは書き留めるように。」
スキルの講習では特に採点されるようなことはない
究極言えば寝ていても問題はない
なのでただ講習を受けに来て
今回であれば講習終了時に感想用紙を適当に提出すれば受理され、食券ももらえるわけだ
だが
そもそもこの講習さえも義務ではない
基本的には受けたくて
教えて貰いたくて受講している
なので怠ける意味がない
しかしガコーノトと名乗ったこの男性教員は
ある程度生徒たちに目的意識を持たせたいようだ
ただ黙って聞いているよりも手を動かし、そのために頭を動かさせた方が
より講習内容を理解できるだろうと言う考えだろう
勿論、効率のいい学習方法とは人によって異なるだろうが
ガコーノトはそうさせたいようだ
生徒全員が筆記用具を用意する中
とある生徒が挙手してガコーノトに質問を投げる
「あの、ガコーノト先生!文字が書けない場合はどうすれば良いですか?」
そうなのだ
この世界の識字率は高くない
このダイザフという学問に秀でた地域でさえこういう人間はいる
俺とウェスタイロンの他にも10歳程度の生徒はいるので
文字の読み書きが出来ない人間はそこそこ存在する
それを聞いてガコーノトは
「文字を書けない人間は板書された文字を可能な限りそのまま書き写すように。先ほど言ったように内容は問わない。しかし書き写すことだけに集中してしまっては本末転倒なので、あくまで私の話を聞いて理解することに重きを置くこと。」
これから困ることが増えるので文字の読み書きは出来るようになっておくこと
と付け加えていた
ウェスタイロンは・・・
当然のように文字を書くことは出来そうだな
先程よりは顔色も良さそうにしている
これ以上気を配る必要はないだろう
俺も講習に集中するとしよう




